祭りやアクティビティー(体験型観光)は人を呼び寄せる有効な手段。春は古民家にお雛様が飾られる「土佐の町家ひなまつり」、夏はマリンスポーツや川遊び、秋はゆずの収穫祭、冬は岡御殿ライトアップイベントなど、中芸地域には四季を通じてさまざまな祭りやアクティビティーが根付いていた。
こうしたものに加えて、住民グループが主体となって行う「ゆずFes(フェス)」を新たに立ち上げた。これにも「協議会」の狙いがある。「日本遺産に認定された文化財は、中芸地域全体に点在しています。従来の祭りなどの他に、各地で特徴を生かしたイベントを開催すれば、より多くの人々に日本遺産をアピールできると考えたのです」と中村さん。
夏休みに開催された「第4回ゆずFes」では、安田町の川エビ漁体験、ゆずを使ったお菓子作り体験などを実施。親子連れが参加し、大いに盛り上がった。漁体験の指導にあたった安田町の川漁師は、川エビやゴリが捕れ、子どもたちが大喜びする様子に顔をほころばせた。お菓子作り体験の先生は、奈半利町に菓子店を開いた菓子職人。ゆずゼリー作りを子どもたちに教えて、ゆずのおいしさを伝えた。各分野のプロたちが先生となった「ゆずFes」や収穫体験は、地域外の人たちが中芸地域の魅力を体験する好機にもなっている。
日本遺産認定により、さらに強く結ばれた中芸5町村は、今、故郷の「宝」を活用してこの地にさらに多くの人を呼び込もうとしている。