日本が長く受け継いできた森や木の文化と匠の技を、次世代につなげるために設立された高知県立林業大学校。
県の面積の8割以上が森林という高知県特有の環境を生かして、未来の林業を支えようと決意する若者たちにスポットを当てる。
日本の林業を再生したい!
志を持った若者たちを育成
「森の技術」を学ぶために
各地から人材が集まる
高知県立林業大学校(以下:林業大学校)は林業・木造建築のスペシャリストを育てる学校。世界的な建築家の隈研吾(くまけんご)氏が学校長となり、各分野の第一線で活躍する専門家や建築会社の代表などを特別教授として招き、研修生たちは実践的に学んでいる。開校の背景にあるのは「豊富な森林資源をダイナミックに活用するためには、担い手の確保が必要」という思い。
1年で即戦力となる人材を育成する基礎課程は、林業を学ぶための入り口。林業に従事するにあたって必要な技術を身に付けるとともに、数々の資格取得に励む。まずは、森林の成り立ちや樹木の種類を覚えることからスタートし、伐採や造材の技術を実際に現場で覚えていく。卒業後は、その技術と資格を生かして森林組合や林業関係企業などへ就業する研修生のほか、1年間で林業の奥深さを知り、さらに専門的なスキルを得るために専攻課程に進む研修生も多い。
専攻課程には、森林管理コース・林業技術コース・木造設計コースの3つがあり、卒業後の目標に応じて各分野の専門知識を習得する。例えば木造設計コースでは、設計事務所や工務店などに就業した際、必要になる木造建築の知識を実際に目で見て、手で触れる体験の中で学んでいく。



幅広い分野で活躍する
スペシャリストを目指す
今年4月、林業大学校には林業未経験者から経験者まで合計40人ほどが県内外から入学した。そのうち基礎課程の研修生は23人。18歳から39歳までの幅広い年齢の人が在籍するが、高校を卒業したばかりの若者の割合が多いのが特徴だ。京都府出身の小倉弓汰(おぐらゆんた)さんもそのひとり。林業に従事する父の姿を見て育ったため、小さい頃から林業家になるのが夢。「継ぐにしても外で修業してから」という父の言葉に背中を押され、進学を決めたという。取材の日は、あいにくの悪天候。だが、小倉さんをはじめ作業着姿の研修生たちは生き生きと重機の操作練習を行っていた。初めて重機に触れる研修生も多いが、仲間と切磋琢磨しつつ取り組むため、上達が早いという。
一方、高校の建築科から木造設計コースに進学した河上広起(かわかみひろき)さんは「素材のことを知らなければ、いい木造建築物は造れないと思った」と話す。全国に18ある林業大学校(※)の中で木造設計まで学べる学校は2校のみ。こちらでは、木造住宅から中大規模木造までの設計技術を習得できる。
林業のエキスパートから木造建築をプロデュースできるスペシャリストまで養成する学校とあって、若者たちが将来を見据え、自分の目的にあった学びを得ようと次々と学校の門を叩く。
自分が好きな道で自分らしく自分を生かす。そんな新時代の価値観を持った人材が、高知の、そして日本の、林業を支える希望となる。
※林野庁ホームページ 林業技術研修教育機関
「森林・林業に関する学科・科目設置校一覧表(大学校)」平成31年4月現在





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