瀬戸内海の燧灘（ひうちなだ）に面する愛媛県新居浜市。JR新居浜駅から車で約5分、県道136号、通称金子山通りにある「欧風レストランSHINOHARA（しのはら）」は、白壁に掛かるトリコロール（3色）のフランス国旗が目印の西洋料理店です。

オーナーシェフの篠原伸明さんは、令和元年、日本司厨士協会の技術金賞を受賞。同年、全国技能士連合会から全技連マイスターに認定された、プロも認めた名人です。

店名の“欧風レストラン”には、フレンチの枠にとらわれず、気軽に楽しめるランチから特別な日のディナーまで、多くの人に親まれる多彩な料理にチャレンジしたいという思いが込められています。

客席と厨房を仕切るカウンターの壁面には、お客さまが、その日に抜いたワインのコルクが思い出として貼り付けられています。コルクにはサインが入ったものもあり、お客さまと楽しいひと時を共有したいという篠原シェフの思いが伝わってきます。

平成16年、篠原シェフはドイツ・エアフルトで開催された第21回世界料理オリンピック大会に日本チームの一員として出場。当時、日本ではまだ珍しかった電化厨房を使っての大会に備えて、高松市にある四国電力の電化厨房体験施設「プロキッチン」で練習を重ね、見事、銀賞に輝きました。

電化厨房の快適さを実感した篠原シェフは、帰国後、当時の職場で電化厨房の導入を提案。驚くほど暑かった厨房を働きやすく、快適な職場に一変させ、後輩に店の後を託して独立しました。

「欧風レストランSHINOHARA」の開店に際しては、迷うことなく電化厨房を採用しました。

お客さまとのふれあいを大切に考えたオープンキッチンは、客席と厨房の空間が一体であるため、客席のエアコンがあれば厨房は真夏でも小さな扇風機だけで十分。厨房からお客さまの食事の進み具合を見ることができ、サービス向上にも役立っています。

厨房では、次々とできあがる温かい料理に、IH調理器がフル稼働しています。「私は業務用と家庭用、両方のIHを使い分けていますが、家庭用IHがあれば、大抵のメニューはできますよ。今、作っているのはハーフコースのメインディッシュのミニステーキ。家庭用IHを使っています」と篠原シェフ。お客さまに料理を提供しながら、気軽にレシピを解説し、家庭でできるプロのIHの技と魅力を伝えています。

実は篠原シェフ、子どもたちの食育教室の講師も務めています。

教室では、IHを使っているため、子どもたちは炎への恐怖心を抱くことなく、火加減を数字で覚えることができ、心から料理を楽しんでいます。「体験を通じて、子どもたちに食の楽しさと正しい知識、食習慣を身に付けてほしいですね。料理をつくりながら子どもたちと語らうのが何より幸せな時間ですよ」と語る篠原シェフの顔には、やさしい笑みが広がっていました。