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ひとことジャーナル

いざという時の備え
わが家の非常持出袋を準備しよう

日本各地で地震などの自然災害が頻発している近年、「もしものために」と非常持出袋の必要性を実感している人も多いのではないでしょうか? 今回は災害から避難する場合に、何がどれくらい必要なのかを考えましょう。

非常持出袋を準備する場合、考えれば考えるほど品数が増えて、何が本当に大切なのか分からなくなってしまうものです。命を守るための非常持出袋が重すぎて、逃げるのが遅れてしまっては本末転倒。大人の男性一人につき10kg、女性は6kgを目安に、子どもは軽くして一人一袋ずつ用意するようにしましょう。

市販されている非常持出袋は選ぶ手間もなく便利ですが、購入の際は注意が必要です。実際の例では、ペットボトルが大量に入っていて背負うのも大変なほど重いものや、布の軍手が入っているものがありました。布製のものは釘やガラスから手を保護できず、ケガをする可能性があるのでNG。セットになっているものは購入前に中身もしっかり確認しましょう。

非常時に、何より守るべきは命です。まずは無事に避難所にたどり着くことが最優先。道路や家などの安全を確認してから、必要なものを取りに行きましょう。

スマホからオーブンレンジにレシピを送信する女性

避難には第1次避難、第2次避難、第3次避難があるのをご存知ですか? それぞれのタイミングで、行動や用意するものも変わります。

その場からまず避難所へ
「第1次避難」

まずは避難所へ安全にたどり着くことだけを考えて行動するのが、第1次避難です。非常持出袋は両手が空くリュックにして、中身は楽に持てることを意識しながら最小限にとどめましょう。中身が多くなりすぎないよう、あらかじめ30Lぐらいのリュックを用意することがコツです。

そして大切なのは、非常持出袋を押入れやパントリーなどにしまい込まないこと。いつでも使えるように玄関近くの収納などに、ヘルメットやホイッスルと一緒に置いておき、必要なときにすぐに取り出せるようにしましょう。

避難所から帰宅して
過ごす「第2次避難」

第2次避難をする場合は、1週間は生活できるように、食糧や水・日用品を備蓄しておきます。食事の内容にも注意しましょう。1日に1回は温かいものを口にすると気分も落ち着きます。

水を注ぐだけで温かくなる発熱剤と加熱袋がセットになった、携帯加熱セットなども市販されていますので、もしもに備えて用意しておいてもいいでしょう。

在宅避難から避難所へ
「第3次避難」

第2次避難をしていても、近隣の火災に巻き込まれたり、余震で家が倒壊する危険が高まる場合も。そのように新たな危険に備えて避難所へ行くことを第3次避難といいます。

この第3次避難の場合は、一人3日分くらいの食糧品と水・日用品・非常用トイレを持って逃げましょう。なぜ3日分必要かというと、地震発生後72時間は人命救助活動が最優先になり、救援物資がすぐに避難所に届くとは限らないからです。その期間は自助・共助で乗り切る覚悟が必要です。 避難所のトイレは不衛生で使いづらいこともあるため、非常用トイレの持参をおすすめします。また、体を拭けるウェットティッシュがあれば体を衛生的に保つことができます。

3日分の荷物を運ぶとなると、4人家族なら大きめのスーツケース2つ分くらいになります。足元の悪い中を歩くことも想定し、キャスター付きで運べたり、ショルダーバッグにできたり、リュックとして背負えると便利です。こちらも玄関近くに収納しておくことをおすすめします。

乳幼児がいる場合の非常持出袋

乳幼児には大人とは別に準備しておくものがあります。まず、離乳食は屋外や避難先でも食べさせやすい個包装タイプを用意しましょう。母親の不在時を想定して、母乳育児であっても液体ミルクを用意しておくと安心です。

幼児向けには、飲みきりサイズのロングライフ牛乳なども便利です。子どもは環境の変化に敏感なので、少しでも不安を和らげるように、キャラクター付きのお菓子やカレーもあるといいでしょう。

アレルギーの人は情報共有を心掛ける

災害が起こると食品の入手が困難になるので、アレルギー対応食材を普段から2週間分備蓄しておくことをおすすめします。乳児の場合は、アレルギー対応ミルクの準備などもお忘れなく。

非常時には炊き出しが行われることがありますが、誤食を避けるため、遠慮しないでアレルギーであることを伝えましょう。またいつもの薬や吸入器などを携帯し、お薬手帳も持ち歩くと安心です。

アレルギーを持つお子さんの場合、アレルギー情報が周りの人に十分伝わるとは限りません。 「食物アレルギーサインプレート」を携帯させたり、 医師の指導のもとアナフィラキシーショックに備えた緊急補助治療薬の準備も必要です。

災害などの事態には、必需品の準備も必要ですが、命を守るための知識や心構えも大事。家族みんなで日頃から話し合い、防災意識を持っておきましょう。

岡部 梨恵子

千葉県浦安市在住。東日本大震災で液状化現象に直面した体験から防災に取り組むようになる。防災士・ファイナンシャルプランナー・整理収納アドバイザーなどの資格を活かし、防災グッズや備蓄品、被災後の食・お金の知識についてもセミナーを開催。その分かりやすい語り口から、メディアへの出演多数。
http://okabekataduke.info/