四国の中心部に位置する徳島県三好市は「四国の灘(なだ)」と称されることもある、隠れた酒どころ。
多くの人に町に来てもらいたいとの思いから、
酒好きのメンバーが集って、平成12年に始めたのが「四国酒まつり」だ。
今では、県内外から約28,000人もの日本酒ファンが集まるイベントになっている。
“乾杯!”の声が町中に響く
お酒が取り持つ多くの絆
三好の魅力を知ってほしいと
始まったお酒のイベント
明治から戦前にかけて、十数軒の酒蔵があったという三好市。移り変わる時代の中で、今も残る酒蔵を盛り上げ、吉野川流域の山深い土地で生み出す酒のうまさをPRしようと、商工会議所青年部のメンバーたちが催したのが「四国酒まつり」だ。
当時、市内にある3つの酒蔵が、新酒の時期に出来たての酒をふるまう酒蔵開放の日をそれぞれに設けていた。開放を同じ日にすれば、遠くからも人が呼び込めるのではとメンバーのひとりが発案し、全員賛同。「せっかくなら、四国内の酒を集めた試飲会をしてはということになったんです。理由は自分たちが飲みたいから(笑)。そこまで綿密な計画性はなかったんです」と当時のメンバーで、現・四国酒まつり実行委員長の千葉秀治(ひでじ)さんは笑いながら振り返る。
初回の来場者は1,000人強。酒蔵見学のほか、会場に集められた約30蔵の酒を試飲する小規模のイベントだったが、来場者からの評判は上々。来年も開催してほしいという声もあり、次の年も…と回を重ねるうちに、次第にリピーターが増えていった。また、旅行会社が企画するコースにも入るようになり、10回目を迎える頃には6,000人近くが集うイベントに。12回目からは、町内にある団体が、地元の特産品などを販売する「うだつマルシェ」を同時開催するようになり、さらに来場者は増加した。また、宿泊もしてもらいたいと、大歩危・小歩危地区の旅館と協同で、温泉や料理をお酒とともに楽しむ催しも始めた。「私たち実行委員会は“一緒に何かやりたい人はみんなウェルカム!”という考え。催しが増えることで人が集まるのなら、それが町にとっていいことですから」と千葉さんは笑う。



四国各地から集めた日本酒が
町を盛り上げる起爆剤に
昨年2月には、節目となる20回目の「四国酒まつり」が行われた。それまでは40蔵だった蔵数(くらすう)を80蔵に増やした会場には、開始早々から多くの人が詰めかけた。3つの酒蔵の見学も行列ができるほどの盛況ぶり。来場者同士で「毎年、楽しみにしているイベント」「新しい酒や珍しい酒、初めて飲む酒に出会えるのがうれしい」と口々に話しつつ、町のあちらこちらで酒を酌み交わす場面が見られた。2月の酒まつりに加え、数年前からは、その季節限定の酒を中心に楽しむイベント「夏の陣」「秋の陣」が行われるようになった。「三好市=酒どころ」というイメージは少しずつ定着している。
現在、実行委員会には30人ほどが在籍。月1回のペースで、イベントをより良いものにするための会議を行っている。同時開催する団体や旅行会社などと意志疎通を図ることも忘れない。「蔵数も同時開催のイベントも増えたことで、酒蔵への連絡や各団体との調整、酒量の確保などで、当日まで気が抜けません」と事務局を担当する阿波池田商工会議所の竹内勲さん。だが、賑やかな町を見るとその苦労は吹き飛ぶという。
今年の2月22日には、21回目の「四国酒まつり」が開催される。実行委員会のメンバーは、それぞれ仕事の合間をぬって何度も打ち合わせし、着々と準備を進めている。「お酒が好きという単純な理由だから長く続けられるのだと思います。ちょっと意見がぶつかっても、会議のあとに酌み交わせば分かり合えるのが酒の良さですよ」と千葉さん。お酒好きにはたまらない日本酒の祭典が、今年もまたやって来る。




お問い合わせ
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備考 | 酒蔵開放あり |
住所 |
徳島県三好市池田町サラダ1661 |
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電話番号 | 0883-72-0053 |
備考 | 酒蔵開放あり |
住所 |
徳島県三好市井川町辻231-2 |
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電話番号 | 0883-78-2014 |
備考 | 酒蔵開放あり |
住所 |
徳島県三好市池田町白地井ノ久保386-1 |
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電話番号 | 0883-74-0611 |
備考 | 酒蔵開放なし |