柑橘の収穫量、全国第1位を誇る愛媛県※。主な生産地の一つ宇和島市で、
さまざまな柑橘の栽培を手掛けるみかん農家を中心として、5年前に設立したのが「NPO法人 柑橘ソムリエ愛媛」だ。
令和2年春からは、同法人オリジナル検定も新たにスタートさせる、柑橘愛にあふれた団体を訪ねた。
※農林水産統計および平成28年産特産果樹生産動態等調査

柑橘の収穫量、全国第1位を誇る愛媛県※。主な生産地の一つ宇和島市で、
さまざまな柑橘の栽培を手掛けるみかん農家を中心として、5年前に設立したのが「NPO法人 柑橘ソムリエ愛媛」だ。
令和2年春からは、同法人オリジナル検定も新たにスタートさせる、柑橘愛にあふれた団体を訪ねた。
※農林水産統計および平成28年産特産果樹生産動態等調査
「NPO法人 柑橘ソムリエ愛媛(以下:柑橘ソムリエ)」は、平成27年に設立。宇和島市のみかん農家を中心に、飲食関係者、みかん愛好会に所属する大学生などが集まり、「温州(うんしゅう)みかん(以下:みかん)」や中晩柑(ちゅうばんかん)の「伊予柑」「せとか」「はるか」など、柑橘の魅力を多くの人に伝えようと誕生した。現在、所属するメンバーは25人。そのうち、柑橘の栽培に携わるのは18人で、あとの7人は住む地域も仕事もバラバラ。地域や職種は関係なく、柑橘好きであれば誰でも入会できる。主な活動は、全国各地で開催されているマルシェなどへの出店と、そこでの柑橘に関するワークショップやさまざまな柑橘の食べ比べ会。「柑橘ソムリエ」ブランドとして柑橘や柑橘ジュースを販売することも活動の大きな柱だ。
一口に柑橘といっても、種類によって酸味、甘味、苦みなどのバランスが全く異なる。「例えば、みんなみかんにそんなに違いがあると思っていないから、食べ比べしてもらったときの反応が面白いんですよ」と理事長の二宮新治さんは笑う。
魅力を伝えるからには、自分たちが納得できるものを提供したい。シーズンになると、その日採れたばかりの柑橘を月1回の定例会の場に持ち寄り、出来栄えを評価し合う。それぞれの柑橘の持つ魅力が消えてしまうからと、柑橘ソムリエ全体として、肥料の種類や栽培方法などの統一はしない。個々の個性を生かしながら、いいものを作っていくのが、柑橘ソムリエのスタイルだ。「メンバーの意見に耳を傾けたり、直接マルシェでお客さまの声を聞いたりする中で、自分はどんな味のみかんを作りたいかを改めて考えるようになった」と、中心メンバーのひとり毛利武志さんは言う。
メンバーには、京都で服飾関係の仕事をしていた二宮さんをはじめ、IターンやUターンで就農した人も多い。最も若い桐田肇さんは、兵庫からのIターン組。小さい頃の遊び場だったみかん畑を高齢の祖父母が手放そうとしていることを知り、高校生のときに就農を決意した。農業大学で学んだ後、みかんづくりを始めて3年。新しい時代にあった農業を考える上で、いろんな年代の幅広い意見が聞ける場は心強い存在だ。
「みかんをはじめ柑橘の魅力を自分たちが楽しみながら伝えていくことが大事だと思っています」と笑顔で話すメンバーたちが今、最も力を入れているのが、オリジナル検定の準備だ。柑橘の歴史や栽培方法、品種ごとの特徴などを学ぶ講座を受講してもらい、検定に合格した人に「柑橘ソムリエ」の称号を付与するというもの。講座以外にも、テイスティングなどの実技を行う。柑橘への愛があれば誰でも受講可能で「メンバーがそれぞれ得意分野の講義を担当するので、語りたいことが多すぎて時間内に収めるのが大変かも(笑)。とにかく多くの人が楽しく受けられるようにしたい」と二宮さん。柑橘ソムリエ第1号誕生となる検定は、今年3月に松山市で開催される。
消費者の柑橘離れも、若い世代の農業離れも、それらについて知る機会がないことが理由だと二宮さんは言う。それぞれ個性があって魅力的な柑橘の話を、もっと知りたくなったら、ぜひあなたもソムリエに。
住所 |
愛媛県宇和島市白浜274 |
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メール | skankitsu@gmail.com |
URL | https://citrus-sommelier.com |