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ジャンピングふるさと
「主婦視点」で開発されたオリジナル商品。地元で水揚げされた魚を活かした調味料の数々

女性ならではの視点を活かし、
地元の漁業を支えるチカラに

有限会社 土佐佐賀産直出荷組合

高知県黒潮町で加工業を営む「土佐佐賀産直出荷組合」。
地元の素材と天然の材料だけを使って「家族に安心して食べさせられるもの」だけをつくる水産加工・販売会社だ。
主婦の視点で生まれた商品を活かして漁師町の未来につなげる、女性たちによる事業を紹介する。

看板商品の和製アンチョビ「きびなごフィレ」

地元の魚にひと手間加え
消費者に喜ばれる商品に

 土佐佐賀産直出荷組合の代表である浜町(はままち)明恵さんが会社を立ち上げたのは16年前。勤め先の水産会社が倒産し、次の仕事先を探しているとき、商品があれば買い取ってくれるという問屋さんの言葉に背中を押されたのがきっかけだった。知り合いの干物店で教えを請いながら、魚をフライや唐揚げにして卸すようになり、産地でつくった加工品を喜んでくれるお客さまが多いことに気付いたという。「欲しいと言ってくれる人はいるので、加工する量が増えれば、獲れすぎたときに困るという漁師さんの悩みが解消する。その上、地元に女性の働く場があることに意味があると思ったんです」。そこで、少しずつ業務を拡大。スタッフもひとりずつ増やしていった。

 スタッフは主婦が中心。子育て中の女性も多い。自然と「家族に食べさせたいと思える安心なもの」が商品化の基準になった。そうした中で初めて生まれたオリジナル商品が、新鮮な「きびなご」をじっくりとオイルにつけ込む和製アンチョビ「きびなごフィレ」。味はもちろんだが、きびなごを美しく見せるための詰め方や瓶の形状にまで徹底してこだわった。「自信を持って販売できるようになるのに3年かかった」という商品だが、雑誌やテレビなどに数多く取り上げられる看板商品に。家事を担う自分たちの発想や意見が市場で受け入れられた手応えが、さらに「主婦視点」を強化することにつながった。

浜町さん
「味と安全性」に徹底してこだわることが大切と話す代表の
浜町さん
社訓
会議室に飾られている土佐佐賀産直出荷組合の社訓
小魚に衣を付ける様子
白身の小魚「メヒカリ」に衣を付けていく加工チーフの竹中さん。揚げるだけで栄養満点のおかずになる半加工の冷凍食品は特に人気だそう
ベトナムからの研修生
ベトナムからの研修生は現在4人。長年経験を積んだスタッフも「覚えが早いし丁寧」と感心する作業ぶり

それぞれの状況に合わせ
いきいきと働ける場を

常に定番がある大手と違い、同社では季節によってはもちろん、その日の水揚げによっても加工するものが変わってくる。「それを、新鮮な魚をその日のうちに加工していると評価してくれる取引先やお客さまがいることがありがたい」と浜町さんは言う。小骨を一本一本丁寧に取り除くなど細かい作業も多いが「商品を自分が口にしたらどう感じるか。そこを一番に考えて妥協はしません」と、食品加工のチーフ竹中住恵(すみえ)さんは作業の手を休めずに話す。主役である地元の魚をどう加工するかを考え、天日塩で発酵させた「魚醤(ぎょしょう)」や真空パックに詰められた「カツオのたたき」など高知ならではの商品を開発。さらに、傷みやすいため県外ではなかなか味わえない小魚を冷凍のフライにするなど、高知らしさに使いやすさをプラスした加工品が続々と増えている。

より安心して食べられる商品づくりを目指すため、平成27年には、加工場を移転・拡張。「私が引退するまで現状維持という選択もあるなと迷ったこともありました。でも女性が働ける場所が増えれば、この町の未来につながるはず。じゃあもうひと頑張りしようかなと(笑)」と浜町さん。「子どもが熱を出したり、親の介護があったりと、仕事以外に手を取られることも多いのが主婦。それをいちいち気後れしていたら続かないですよ」と笑うが、何かあったときに助け合える絆が、いい仕事を続ける原動力になっている。

カツオのたたきをわら焼きで作る様子
施設を拡張してから手掛けられるようになったのが、地元で水揚げされたカツオを使った「わら焼きカツオのたたき」
スタッフの皆さん
右上/食品添加物・保存料等を一切使用せず、手作業でつくられる冷凍食品
下/生き生きとした笑顔でポーズをとるスタッフの皆さん。チームワークの良さが伝わってくる

お問い合わせ

有限会社 土佐佐賀産直出荷組合
住所

高知県幡多郡黒潮町佐賀72-1

電話番号 0880-31-4188
メール h.magms75@aioros.ocn.ne.jp
URL http://www.tosasaga-fillet.com