「クライミングパーク」では、地元の高校生たちも汗を流している。平成30年4月に西条市内にある丹原高校に誕生した、愛媛県初のスポーツクライミング部の部員たちだ。主将の加地未来(かじみらい)さんは四国中央市出身だが、中学生のときに体験したスポーツクライミングに本格的に取り組みたいと同校に進学した。「競技人口が少ないため、一生懸命に取り組めば世界を相手に戦える競技者になれるかもしれない…という夢を抱いています」と話す。
加地さんをはじめとする部員たちは、週に2回、「クライミングパーク」で練習をしている。創部当時に4人だった部員は、2年目に14人に増えた。これを受けて、丹原高校では校内に簡易式の壁2組を整備した。指導にあたっている近藤悠貴(ゆうき)教諭は、愛媛大学クライミング部の出身。「基礎体力や身体能力はもちろん必要ですが、コースどりでは頭も使います。生徒たちには体も頭も鍛えてもらい、高校選抜大会や国体で優勝できるような選手に育ってほしい」というのが、近藤教諭の願いだ。
西条市民だけではなく、世界のトップアスリートも、この施設を訪れた。平成30年10月オーストリア代表選手の合宿が同市で行われた。訪れた選手の1人は、「2018世界選手権」の「リード」種目で1位に輝いたトップアスリート。その練習風景を見学した市民が刺激を受け、さらに利用者が増えるという波及効果も生まれている。