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ひとことジャーナル
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今や2人に1人ががんになるといわれています。その中には女性特有のがんもあります。「がん」と聞くとヒヤリとしますが、早期の段階で治療すれば高い確率で治り、完治も可能。つい、家事や仕事に追われて検診が後回しになりがちですが、ご自身のためであることはもちろん、大切な人、あなたの周りの家族のためにも「がん検診を受ける」ことを考えてみてください。


女性特有のがんってなにがあるの?

子宮がんの発生する場所は二つ

女性に特化したがん検診として、全国の市町村単位で実施されているのが、乳がん検診と子宮がん検診です。

乳がん検診は外科・乳腺外科の領域で、主にマンモグラフィを使って乳房の検査をします。乳がんは40歳代以降がハイリスクとなります。

子宮がん検診は産婦人科領域です。子宮には、がんのできる場所が2カ所あります。子宮の入り口にできる「子宮頸がん」と赤ちゃんを授かる部分である子宮本体にできる「子宮体がん」です。みなさんが「子宮がん検診」と認識しているものは「子宮頸がん」の検査です。

子宮体がんの検査も受けましょう

二つのがんは発見できる検査が別です

子宮に発生する二つのがん。以前は子宮頸がんの患者が多かったのですが、最近は子宮体がんが増えています。子宮頸がんの検査で、子宮体がんは発見できません。逆に、子宮体がんの検査でも子宮頸がんは発見できません。このため、別々の検査が必要です。市町村のがん検診だけを受けている人は、子宮体がんについて調べられていないことを知らない人が多いです。人間ドックでも、子宮体がん検査はオプションになっているケースが多いので、確認してみてください。

えっ?!「要精密検査」…でもあわてないで

かかりつけ医を持ちましょう

子宮頸がんは、HPV(ヒューマンパピローマウイルス)感染との関わりがあります。最近、子宮頸がんは若年齢化しており、がん検診では唯一20歳からの受診がすすめられています。子宮体がんのリスクが高い人は閉経した50~60歳代。女性ホルモンが深く関わり、肥満傾向や高血圧・糖尿病など生活習慣もリスクになります。検診時の問診で、生活内容や家族にがん患者がいるかどうかを尋ねるのは生活習慣等によるリスクを探るためです。

かかりつけ医を持っているとリスクへの指導に加え前回からの変化を見つけてもらいやすく、必要な検査の説明も受けられます。発見の難しい卵巣がんも、検診時などに一緒に診てくれている先生が多いと思います。

継続検診、継続受診で健やかに

検診で異常が見つかると焦りますが、すべてが「がん」ではありません。次の段階の検査を実施し、その結果によって、がんや病気の可能性の高い人はさらに精密な検査、その後治療に進みます。一方、深刻な病気である可能性が低い場合、経過観察は必要ですが、現状での治療は不要。「3カ月後、6カ月後にまた追跡検査をしましょうね」といわれる人が大多数です。

不安を払拭し、質の高い生活を送るためにも、積極的に検査を受けること、継続して受診することが大事です。

西口 園惠 sonoe nishiguchi

平成11年香川医科大学医学部卒業。卒業後、岡山大学産婦人科教室、香川県立中央病院で研修を受け、香川県立中央病院女性外来を担当。現在は、あさひクリニックの産婦人科で、医師として母親として、しっかりとしたカウンセリングをし、患者さまに合った治療を考えながら診察を行っています。