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「旬」は、魚や野菜、果物などの食材の出盛りの時期を指す言葉。一般に旬のものは味が良く栄養価も高いとされており、収穫量が多いことから値段も手頃になる。特に夏から秋にかけては、おいしい野菜が豊富。家庭の食卓を豊かにし、食べるもので健康づくりをして、笑顔いっぱいの日々を過ごせるようにしたい。

そこで「野菜ソムリエ上級プロ」近藤路子さんに、四国各地の旬野菜が主役となるオリジナルレシピを開発していただいた。

株式会社フードスタイル 代表
野菜ソムリエ上級プロ

近藤路子(みちこ)さん

平成20年に中四国以西で初の「シニア野菜ソムリエ(現・野菜ソムリエ上級プロ)」の資格を取得。野菜や食育に関わる講演活動、レシピ開発、フードコーディネートなど幅広く活躍している。

株式会社フードスタイル代表

http://www.foodstyle.biz

香川県のオリジナル品種であるアスパラガス「さぬきのめざめ」の最大の特徴は長さ。長いものなら50㎝にもなるという。成長しても穂先が開きにくいという特徴があり、通常の品種の2倍の長さにまで育てられる。

アスパラガスに含まれるビタミン類やカリウムなどの栄養成分は、ゆでても流失しにくいのが特徴。「アミノ酸の一種であるアスパラギン酸やルチンには、さまざまな効能があります」と近藤さん。アスパラギン酸の利尿作用は有害なアンモニアを体外に排出し、新陳代謝の促進などに効果があるといわれている。ルチンは血流をスムーズにし、血圧の降下作用がある。鮮やかな緑色の素であるβ(ベータ)カロテンは、強い抗酸化作用があり、オリーブオイルと一緒に摂取することで効率よく吸収できる。食材の抗酸化作用は、免疫力の向上や老化防止などに効果が期待できる。

香川県農業試験場で開発され、平成17年に品種登録された「さぬきのめざめ」。シャキシャキとした歯応えと爽やかな甘みをもち、3・4月と7・8月が旬。
(写真提供/一般財団法人 かがわ県産品振興機構)

1.「さぬきのめざめ」をスライサー等で帯状に長く切り、ベーコンは細切り、ニンニクは薄切りにする。[A]の材料はボウルで混ぜ合わせておく。

2.フライパンでベーコンを中火で焦がさないようにカリカリに炒め(3分程度)、取り出しておく。

3.フライパンにオリーブオイルを入れ、ニンニクと鷹のつめを弱火で温める。香りが出たら、「さぬきのめざめ」を加えて炒め合わせる。

4.しんなりするまで(3分程度)火が通ったら[A]を混ぜ合わせたものを加え、すぐに火を止めて手早くかき混ぜながら余熱で火を通す。

5.お皿に盛りつけてベーコンをトッピングする。お好みで黒コショウを添えてもおいしくいただける。

温暖で降雨量が少なく、海水のミネラル分を豊富に含んだ砂地で栽培される徳島県のサツマイモ「なると金時」。皮が鮮やかな紅色をしており、ビタミンCや食物繊維も豊富。8月頃から早掘りの収穫が始まる。この時期に収穫したものは水分が多く、一般的には2、3カ月貯蔵することにより、適度に水分が抜けて甘みが増す。焼き芋にするなら10月以降のサツマイモがおすすめだが、「早掘りの瑞々(みずみず)しい味わいは、この時期ならでは」と近藤さん。

サツマイモにはリンゴの5倍ものビタミンCが含まれており、加熱しても損なわれにくい。シミ対策や炎症の緩和に効果的であるため、夏の疲れた肌の症状改善にうってつけだ。

サツマイモの皮には抗酸化作用があるアントシアニン、糖の吸収や脂肪の蓄積を抑える働きがあるクロロゲン酸、また、カルシウムが含まれているので、調理する際には、皮ごと使いたい。

「なると金時」は平成19年に商標登録され、鳴門市、徳島市、板野郡の指定された砂地で栽培されたものだけがこの名で流通している。収穫は晩夏に始まるが、貯蔵したものは一年中手に入れられる。
(写真提供/公益社団法人 徳島県物産協会)

1.一口大に切った豚肉に酒、しょうゆを揉みこみ下味をつける。

2.「なると金時」は皮ごと乱切りし(水にさらさない)、他の野菜は一口大に切る。

3.天ぷら鍋に油を注ぎ、油が冷たい状態で「なると金時」を入れる。そのまま中火で170〜180度まで加熱し、3分程度揚げてから取り出す。

4.[1]に片栗粉をまぶし、中火(170〜180度)で4〜5分揚げて取り出す。水気を拭き取った野菜も手早く素揚げする。

5.別のフライパンに[A]を入れて混ぜながら中火で沸騰させたら、全ての具材を入れて全体に絡めて完成。

石鎚山の名水で知られる西条市で、在来品種として栽培されている「絹かわなす」は、皮が薄くて絹のように柔らかく果肉が瑞々(みずみず)しい伝統野菜。

鮮やかな紫紺色のなすは、通常、5月頃から出荷が始まり、7〜9月にピークを迎える。丸なす、米なす、長なすなどの種類があり、いずれも果肉には90%以上の水分を含んでいる。「なすの栄養素で知られているのは、皮に含まれるポリフェノールの一種ナスニン。抗酸化作用や眼精疲労の回復に効果があるとされています」と近藤さん。また、果肉には体の熱を逃がす作用があるカリウムが豊富に含まれており、夏バテの解消にも一役買ってくれる。さらに食物繊維も豊富でカロリーも低い。

下ごしらえの際にはナスニンは水溶性なので、長く水につけず、サッとくぐらせる程度に。また水気を拭き取る手間も惜しまないことが大切だ。

「絹かわなす」は、青リンゴやナシなどの果物を思わせる食味が特徴。果実は300〜350gが標準だが、大きいものは500gにもなる。
(写真提供/西条市農業協同組合)

1.へたを落とした「絹かわなす」は約3cmの輪切りにし、水にさらしてから水分をふき取る。

2.むきえびは包丁の背で細かくたたき、酒、塩、水切りした絹ごし豆腐と良く混ぜ合わせる。

3.「絹かわなす」に薄く片栗粉をまぶし、[2]と交互になるように重ねる。

4.耐熱容器に入れてラップをし、電子レンジ(600W)で5分加熱する。

5.[A]を中火で1分程度沸かし、[4]の蒸し汁も加えてあんを作り、「絹かわなす」にかける。 仕上げに茹で枝豆を散らす。

高知県はしょうがの生産量が日本一。ハウス栽培の新しょうがは高知市など、露地栽培のしょうがは四万十町や土佐市などが主な産地だ。秋に収穫する露地しょうがは、低温・低湿の貯蔵庫で保管する。

その爽やかな辛みのもとであるジンゲロールは殺菌力が強く、解熱、鎮痛、抗炎症作用も認められている。体内に入ってきた細菌やウイルス退治にも効果がある。また、ジンゲロールは、熱を加えるとショウガオールという成分に変化し、血流を良くし、体を温めてくれる。「冷房病など、いわゆる『夏の冷え症』のとき、シロップなどに加工したしょうがを紅茶に加えて飲めば、冷えの解消を助けてくれます」と近藤さん。

消化吸収を助け、清涼感のある香りが食欲をそそるので、夏バテで食欲が減退したときにもおすすめ。一般的には薬味にすることが多いしょうが。このプリンのほか、シフォンケーキやクッキーなどのお菓子に使うとさらにバリエーションは広がる。

写真上は春〜夏に収穫されるハウス栽培の新しょうが。写真下の茶色いしょうがは、10・11月に収穫される露地栽培。貯蔵して年間を通して出荷している。
(写真提供/高知県農業協同組合)

1.鍋に紅茶葉と牛乳、生クリームを入れて温め、沸騰直前で火を弱めて3分程度煮た後、茶こしでこす。

2.[1]にしょうがのすりおろし汁を加えて一度こす。

3.卵黄と黒糖を混ぜ合わせ、[2]を少量ずつ加えてなめらかに混ぜ合わせる。

4.粉ゼラチンを混ぜながら加えて再度沸騰直前まで温め、粗熱をとって器に注ぐ。

5.冷蔵庫で冷やし固め、クコの実、しょうがの蜂蜜煮などを添えれば完成。