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特集 珈琲&紅茶 自宅で楽しむひと味違う一杯 特集 珈琲&紅茶 自宅で楽しむひと味違う一杯

仕事や家事、子育てなどで忙しい毎日、珈琲や紅茶を味わうひとときは、ホッと心を和ませてくれる。珈琲や紅茶の成分のなかで、一般的によく知られているのはカフェイン。これらの飲み物が眠気覚ましに用いられるのは、覚醒・興奮作用のため。

また、近年はそれぞれが持つさまざまな効能にも注目が集まっている。珈琲には、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が含まれており、老化の原因となる活性酸素を抑制する効果があるといわれている。一方、紅茶に含まれるテアフラビンは、ウイルスの増殖を抑える効果が確認されている。

そこで今回は、珈琲に関する本の著者でもある徳島県のロースター・庄野雄治(しょうのゆうじ)さんと、愛媛県で初めてティーインストラクターの資格を取得した森千秋(もりちあき)さんに、それぞれの上手な淹れ方を教えていただいた。

ペーパードリップやネルドリップ、サイフォン、フレンチプレスなど珈琲の抽出方法はいろいろある。また珈琲メーカーなどの器具を使う方も多いが、「私は、手に入りやすい道具を使い、ひと手間を楽しめるペーパードリップが好きです」と話すのは、徳島県徳島市にある珈琲焙煎所aaltocoffee(アアルトコーヒー)の庄野雄治さん。

今回、紹介するのはペーパードリップの基本的な淹れ方。用意する道具は【写真1】の6品。これらがあれば、ペーパードリップで珈琲を淹れることができるが、「できれば珈琲ミルも用意してほしい」と庄野さん。珈琲豆は見た目から乾物のように思いがちだが、生鮮食品と同じように、なるべく空気に触れないように扱うのが正しい。空気に触れることで酸化が始まり、味や香りが損なわれてしまうのだ。挽いた状態では酸化しやすくなるため、できるだけ豆で購入し、淹れる前に挽くようにしたい。「ミルがない場合は、すり鉢ですって砕いてもいいんです。挽きたてにこだわってください」と話す。

異業種から転身し、平成16年に珈琲の焙煎を始めた庄野さん。焙煎した珈琲は、姉妹店の「14g(ワンフォージー)」でも提供している
自宅でおいしい珈琲を淹れる方法を知ってもらうために平成26年に『コーヒーの絵本(発行:ミルブックス)』を出版。同著は現在第10刷と版を重ね、韓国語版も出版されている。他に珈琲に関する著書が複数ある
左が中深煎りの豆、右が深煎りの豆。深煎りの豆を細かく挽き、高い湯温で入れると苦味とコクが強くなる

豆選びに際しては、珈琲豆の種類について知っておきたい。珈琲豆は1種類の豆を焙煎したストレートと、2種類以上の豆を合わせたブレンドに大別される。また、産地によっても味は異なる。一般的にキリマンジャロなど高地で採れる豆は酸味が強く、マンデリンなど低地の豆は酸味が少ない。そして焙煎具合。浅煎りは酸味が強く出て苦味は少ないが、深く煎るほど苦味が強くなる。ストレートかブレンドか、どこで採れた豆なのか、また、煎り具合で味わいは何通りにもなる。さらには粗く挽いた豆は隙間を湯が素早く通るため、苦味が出にくく、酸味や甘みが強くなる。反対に細かく挽いた豆は湯がゆっくりと通り、苦味成分もより多く抽出される。

豆を保管するときには、空気や直射日光に触れる部分が少なくなるように遮光袋や珈琲缶を利用し、高温、多湿になる場所を避ける。また、霜や結露によって味が劣化し匂いが移るため、冷蔵庫に入れることはおすすめしない。たくさん購入した際には、封をした状態で冷凍保存する。使用する際には、湯を注いだとき、温度を下げないようゆっくりと自然解凍を。そして、なるべく早く使うのが良い。

「いろいろな豆や煎り具合、挽き具合を試して、好みの味わいを探すのもいいものです」と話す庄野さんは、一人でも多くの人に、豊かな珈琲ライフを楽しんでほしいと願っている。

豆の入った袋は遮光や防湿の処理が施されている。袋のまま保管する際には、中の空気をしっかり抜いて冷暗所に置く

お問い合わせ

14g(カフェ)
住所 徳島県徳島市東新町1-14-2F
電話番号 080-6282-3266
営業時間 11:00〜17:00
定休日 火・水曜日
駐車場 1台
aalto coffee and the rooster(焙煎所)
住所 徳島県徳島市佐古二番町18-12
電話番号 088-679-7550
営業時間 12:00〜18:00
定休日 日・月曜日(不定休あり)
駐車場 なし
URL http://aaltocoffee.com

現在、インドやスリランカ、中国など、世界30カ国以上で生産されている紅茶は、中国の緑茶が元になり、イギリスで改良されて欧米に広がった。緑茶、ウーロン茶、紅茶ともに同じツバキ科の常緑樹の葉を原料とするが、製法によって味わいが異なる。「緑茶は不発酵茶、ウーロン茶は半発酵茶、紅茶は強発酵茶。お茶の発酵は、茶葉に含まれるタンニン(カテキン類)を酸化させています」と話すのは、愛媛県で初めて日本紅茶協会認定のティーインストラクターの資格を取得した森千秋さん。

茶葉は発酵が進むにつれて葉緑素が破壊されて褐色化し、香りとコクが増すといわれている。近年は発酵によって発生する紅茶ポリフェノールが血糖値の上昇を、テアフラビンがウイルスの増殖を抑える効果があることも分かってきた。健康飲料として、紅茶を食習慣に取りいれる人も増えている。

一般的に紅茶の茶葉は、3種類に大別される。茶葉が大きめのものがリーフ、小さめのものがブロークン、ゴマ粒のように小さく加工したものがCTC(ティーバッグに使われている)で、それぞれに製法が異なる。「ティーバッグには安い茶葉が使われているという誤解がありますが、決してそんなことはありません。茶葉の形状と等級は全く別です」と森さん。こちらも珈琲と同様に、いろいろな茶葉から自分好みの味を見つけることが大切だ。

平成31年3月に日本紅茶協会認定のティーインストラクターの資格を取得し、紅茶文化の普及活動をしている森さん。「四国でもおいしい茶葉の生産が行われています。そうした地元産の魅力も一緒に伝えたい」と話す
基本的な茶葉の種類。左がCTC、真ん中がブロークン、右がリーフ。それぞれ茶葉の量や蒸らし時間が異なる。CTCはCrush(押しつぶす)Tear(引きちぎる)Curl(丸める)の頭文字からなる
紅茶の本場イギリスでは、お客さまをもてなすとき、焼き菓子やサンドイッチといった軽食を添えるのが定番。
写真は森さん手作りのスコーン

今回はリーフティーをおいしく本格的に淹れるためのコツを教えていただいた。また家庭ではティーバッグを利用することが多い。これもちょっとしたコツで、よりおいしく味わえる。ポイントは熱湯を使い、ティーポットで抽出すること。ポットの蓋をして、1、2分蒸らすことでおいしさが増す。またティーバッグ1個に対してカップ一杯を基本にすることが大事だ。

かつては医療関係の仕事に従事し、多忙な日々を送っていた森さん。その頃、自宅で飲む紅茶に癒されたことから勉強を始めた。現在はティーサロン「紅茶と暮らす」で、完全予約制の紅茶教室やサロンを行っている。基本的な淹れ方からロイヤルミルクティーなどのバリエーションまで、豊かな紅茶ライフをサポートしたいと思っている森さんだ。

お問い合わせ

紅茶と暮らす
住所 愛媛県西条市三芳1966-3
電話番号 090-4339-2286
予約 紅茶教室・サロンともに完全予約制(1名から受付)
料金 紅茶教室1名3,000円~、ティーサロン1名1,500円~(紅茶とプチアフタヌーンティーセット)
駐車場 15台