四国電力グループでは、エネルギーから情報通信、ビジネス・生活サポートなど、さまざまな分野でビジネス領域を拡大・伸長させています。平成30年に銀座千疋屋などと共同出資で設立した「あぐりぼん」もその一つで、香川県三木町でイチゴの「女峰(にょほう)」を栽培しています。今月から本格的な出荷を開始するにあたり、ファームマネージャーの三崎佑樹さんにお話を聞きました。
これまでを振り返って、いかがですか。
あぐりぼんの一期目は昨年7月から苗を育て始め、11月から収穫を開始、出荷は今年の6月末まで続きましたが、とにかくすべてのことが初めてだったので、右往左往の毎日でした。
苗づくりの途中で病気が広がってしまったり、すくすくと育つイチゴのスピードに摘果や手入れ作業が追い付かなかったりといろいろな失敗がありました。何度も「時計の針を戻したい」と思いましたが、農業の現場ではパソコン仕事のような「やり直し」や「バックアップ」はできません。また、イチゴには日曜日もお正月もゴールデンウィークもありません。作業が後手に回るたびに、計画性の重要さをひしひしと感じた1年でした。
そんな状況でしたが、指導いただいている農家さんやJAの方々、取引先の皆さまに助けられ、支えていただき、何とか乗り切れたというところです。


「あぐりぼん」のこだわりを教えてください。
イチゴは日本全国に100を超える品種があり、とにかく甘いものや1株から多く収穫できるものなどさまざまですが、その中でも女峰は1株から収穫できる量が限られる品種。その分酸味と甘みのバランスに優れコクのあるイチゴを作ることができますが、栽培においては水分量、養分量を細かく調整する必要があり栽培が難しい品種の一つです。
私たちは、同じ四国電力グループである四国総合研究所の栽培環境モニタリングシステム「ハッピィ・マインダー」を活用し、サッカーコート1面と同じ広さの広大なハウス内の環境を常に監視、分析しながら好適な環境で栽培しています。
また、病害に対する抵抗力が高まる「みどりきくぞう」や鮮度保持に効果のある「iRフレッシュ」といった同社の最先端技術も用いた栽培を行っています。

温度や湿度、二酸化炭素、日射強度などを測定できる

病害の防除効果のほかに、生長を促す効果もある緑色のLED
電気事業とは全く異なる「農業ビジネス」では、
どのような喜びややりがいがありますか。
まず、何より、「女峰」を食べたお客さまから「おいしい」と言ってもらえた瞬間や、品質を取引先に認められた時などはこれまでにない喜びを感じました。
また、東京で全国の名だたる品種のイチゴに交じって「香川県三木町産」と銘打ったイチゴが高値で販売されているのを見て『誇らしい』と言ってくれた方からの連絡はとてもうれしかったです。
今後は、お客さまだけでなく、おいしいイチゴを作ろうと努力してくれているパート従業員の方が「あぐりぼんで働いてよかった」と感じてくれるようになればと思っています。


吸い上げられた水分が葉先から雫となって輝く。根がしっかり張った証で、早朝だけに見られる現象
今後の目標を教えてください。
何よりも栽培技術の向上を目指し、シーズンを通じておいしい「女峰」を安定した量で収穫できるように取り組んでいきます。そうすることで、お客さまと安定した取引ができるようになると考えています。
今年は、「あぐりぼんのイチゴが食べたい」と思っていただけるお客さまを一人でも多く増やしていきつつ、国内の新たな販売先の開拓や海外への輸出にもチャレンジしていきたいですね。
また、将来的には同じ三木町地域でイチゴ栽培をしている方々と一緒に「共通の課題解決」や「地域ブランドの向上」に寄与できればという思いです。


「女峰」は、全国的に生産量が減少し、現在では、香川県とその他一部地域でしか生産されていない、希少価値が高まっている品種。「多くの手間がかかっても、自信を持って提供できるイチゴを食べてもらいたい」。お客さまの笑顔を思い浮かべながら、一粒一粒丁寧に、真心を込めて栽培しています。ぜひご賞味ください。

住所 |
香川県木田郡三木町大字井上241-1 |
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電話番号 | 087-802-7280 |
URL | https://agribbon.com |