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大切にしたい人とのつながり新春に自分らしい年賀状を 大切にしたい人とのつながり新春に自分らしい年賀状を
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お正月、何度もポストを覗き込んで心待ちにしていた年賀状。新年の挨拶としてはもちろん、長く会っていなかった人の近況を知ったり、手書きの文字やイラストを微笑ましく眺めたり。新しい1年の始まりに、1枚のハガキは心温まるひと時をもたらしてくれる。今、コロナ禍により会いたい人に会えない、愛する故郷へと帰省できないという人が増えている。そこで今こそ、人とのつながりを大切にするために、自分らしい年賀状を送ってみてはいかがだろうか。

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[絵手紙で年賀状]
初めての人は手近な道具で気持ちを込めて書く

近年、「絵手紙」の愛好家が増えている。使われるハガキは、墨や絵の具をよく吸い込み、滲(にじ)みも味わいとなる画仙紙(がせんし)(和紙)が適している。和紙の製造にはたくさんの水が必要となるが、日本三大和紙と呼ばれる「土佐和紙」は、清流仁淀川のほとりにある高知県いの町周辺で発展した。そんな「和紙のふるさと」で絵手紙教室を主宰しているのが角川知寿子(すみかわちずこ)さん。平成7年に絵手紙に出会い、さまざまな絵手紙教室に参加し腕を磨き独自の作風を確立。平成15年から講師としての活動を始めた。

絵手紙

「技術は書いているうちに身につきます」と、絵手紙創作において、角川さんが何よりも大切にしているのは「気持ち」を伝えるという姿勢。初めて挑戦する際には、専門の道具がなくても、100円ショップなどで販売しているパレットや絵筆、パステル絵の具など「手近な道具を使ったのでも十分」だと言う。特に文字や輪郭を描くための墨や筆は、使い慣れていない人には扱いにくい。そこでおすすめなのは筆ペン。紙に押し当ててゆっくりと動かせば太い線、軽くあててすっと動かせば細い線を書くことができる。

創作の順番は、まず絵の輪郭、次に文字…というのが初心者向け。絵と文字が交わらないようにするためだ。その後、絵に着色をし、最後に余白に落款印(らっかんいん)を押す。絵は大きく描くと迫力や躍動感が出る。文字の余白を意識しながらも、できるだけ大きく描くのがコツだ。「文字は気取らずに、素直な言葉を書くのが一番。まずは平仮名がおすすめです」。落款印がない場合は、絵の具で描いても代用できる。その際は、赤い絵の具で細く四角を描き、中に自分の名前の一文字を書いて仕上げる。

題材をしっかり観察し自由に楽しむ

本格的な絵手紙に挑戦したい場合は、墨と硯(すずり)、筆、絵の具をとくための梅皿、顔彩(がんさい)(日本画用の絵の具)、筆洗を用意する。筆は細い線を書く面相筆(めんそうふで)、下地用の平筆など、穂先の異なるものが数種類あれば便利だ。題材は、野菜や果物、花、魚、昆虫、ペットなど描きたいものを選ぶ。用意できる場合は実物を、ない場合は写真、図鑑などを参考にする。まずは題材をしっかりと観察し、アングルを決める。「見る角度によって表情が変わります。一つのものから、幾つもの作品を描くことができますよ」と角川さん。使うたびに筆をよく洗い、墨や絵の具はたっぷりと筆に含ませた上で、硯や皿の縁で落とすようにする。しっかりと筆を洗うことにより、色混じりを防ぐことができ、きれいな色で塗り分けることができる。

「彩色はべったり塗らず、筆の勢いを意識してさっと塗ります。少しぐらいはみ出しても大丈夫。不慣れなうちは薄めに塗るようにすれば、後で色を重ねて調整できます」と角川さん。子どもを指導する際には、修正ペンやラメペンを使うこともあるという。こうした道具を使うことで、「絵手紙は楽しいもの」ということを知ってもらうためだ。また、修正ペンを使うと、塗った部分が盛り上がり、立体的な作品へと仕上がる。自由に描くことの楽しさを知ってほしいと願っている角川さんだ。

絵手紙の基本的な道具
顔彩など絵手紙の基本的な道具。顔彩は画材店などで販売している
手近な道具でオリジナル年賀状にトライ line
作り方その1
 ハガキに筆ペンで鏡餅の輪郭を描く
作り方その2
 余白スペースに「あけましておめでとう」の文字を書く
作り方その3
 しっかりと乾かす
作り方その4
 橙と三方(さんぼう)に絵の具で着色をする。最後に書印(赤い絵の具で名前の一文字を筆で書く)を入れる。(絵筆を洗う水入れはプリンのカップで代用)
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顔彩で赤富士の年賀状 顔彩で赤富士の年賀状

おめでたい題材である「赤富士」は、年賀状だけではなくお祝いの気持ちを送る手紙に適している。シンプルな線で構成された描きやすい題材なので、お子さんと一緒に描くのもおすすめ。

作り方その1
 ハガキを横にし、富士山の輪郭を赤い絵の具で描く
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作り方その2
 富士山の中を赤で塗る
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作り方その3
 青い絵の具をとき、濃淡をつけながら空を塗る
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作り方その4
 ハガキの上下を逆にして地面を緑色に塗る
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作り方その5
 地面の上に薄い緑の線を加えて、しっかりと乾かしてから修正ペンで雪のラインを描く
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作り方その6
 修正ペンでムラを出しながら雪を塗り込む
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作り方その7
 余白部分に文字を書く
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作り方その8
 落款印を押して完成
角川知寿子さん
絵手紙作家角川知寿子さん
平成15年から絵手紙作家として活動。高知県内19カ所で「すみちゃんの絵てがみ塾」を行っている。広島県熊野町「筆の里工房」主催の絵手紙コンクールで大賞や優秀賞、「財団法人泉佐野市公園緑化協会」主催のコンクールにて特別賞や奨励賞を受賞

お問い合わせ

すみちゃんの絵てがみ塾
住所 高知県吾川郡いの町枝川1997
電話番号 088-892-2666
[年賀状に使えるご当地ハガキ]

長くふるさとを離れた人に、帰省したくてもできない人に…。
郷土の魅力を写真やイラストで表現したポストカード(ハガキ)をご紹介。

マツヤマ ワンコインアート プロジェクト

愛媛県松山市に拠点を置く「マツヤマ ワンコインアート プロジェクト」は、松山市在住のカメラマンやデザイナーが、「自分たちが得意とする写真やデザインを生かしたポストカードで、松山市の魅力を発信したい」と平成22年に活動を開始した。ポストカードを選んだのにも理由がある。多くの文人墨客(ぶんじんぼっかく)とゆかりのある松山市には、「文学のまち」というキャッチフレーズが付けられている。ところが、自分たちが日常で文字を書く機会が少ないことに気付いたメンバー。「コミュニケーションの手段として活用してもらえば、文字を書く機会が増えると考えたのです」とグラフィックデザイナーの藤原貴(たかし)さん。

写真は道後温泉本館や松山城などを、カメラマンが独自の視点で撮り下ろした。当初は松山市内の景色を題材とした120種類を制作。その後、愛媛県内でも撮影を行い、現在は300種類以上を販売している。

様々なポストカード

販売当初から取り扱いをしている道後商店街の土産物店「葵屋(あおいや)」店主の石丸明義(あきよし)さんは「ハガキを買うのは年配の人が多いだろうと思っていたんです」と話す。ところが若い世代や訪日外国人からの人気が高く、地元のビジネスパーソンが「お礼状に使いたい」とまとめ買いをすることもあるという。ふるさとの景色に一言を添えて出すポストカードは、人と人をつなぐツールとして活躍している。

葵屋店主の石丸さん
「いつも道後の景色を見ている私が、こんな表情もあったのか!と驚かされるような写真ばかり。バラ売りで好きなものを選べる点も好評です」と葵屋店主の石丸さん
「おもちゃ箱の景色」と「松山残像」
テーマ毎に5枚、10枚のセットも用意。左は特殊な技法でジオラマ風に見えるように撮影した「おもちゃ箱の景色」。右は懐かしい風景を集めた「松山残像」
マツヤマ ワンコインアート プロジェクト
販売場所 愛媛県美術館、道後温泉別館飛鳥乃湯泉、葵屋、愛大ショップえみか、城山荘ほか
(いずれも商品の一部取扱、全種類販売はネットショップ)
URL http://www.matsuyama-1coin-art.jp
うどん県文具

平成23年、香川県は「うどん県」というキャッチフレーズを打ち出し、全8種類のうどん県ロゴマークを使った県の魅力を発信する取り組みを始めた。これを受けて、文房具やOA機器を扱う北四国商事株式会社の高松支店では、ロゴマークを入れたセロテープ、消しゴム、筆記具、ノートなどのオリジナル文房具を開発。平成25年には、そこにポストカードが加わった。一番の目的は、実用性のある手頃な価格のお土産品により、観光客に「うどん県」というインパクトのあるフレーズを印象付けることだが、ポストカードには隠れた狙いもあった。「今の世の中はデジタル化が進み、便利になっています。でも、この時代にもアナログでしか味わえない感動を伝えるお手伝いをしたいと考えたのです」と企画スタッフ。

ポストカードの1種「うどん県のうどん図鑑」には、「ひやひや」「釜玉うどん」など、香川県らしいうどんメニューがイラストとともに描かれている。受け取った人は、「香川県に行ってこのメニューを食べてみたい」と思うかもしれない。うどん県の思い出を手書きしたポストカードを受け取った人にも、書き手の想いが伝わることだろう。

様々なポストカード
うどん県文具
販売場所 四国ショップ88(高松シンボルタワー1F売店)、キヨスク(高松駅内セブンイレブン)、香南楽湯、文遊館(東かがわ市)、道の駅とよはま、世界のコイン館、かんぽの宿 観音寺
(いずれも商品の一部取扱、全種類販売はネットショップ)
URL http://www.kitayon.co.jp
Awagami Factory

阿波和紙は1,300年の歴史があり、全盛期の明治から大正時代にかけて、吉野川流域に住む500軒もの農家が、冬の副業として製紙業に取り組んでいたという。ところが第二次世界大戦後は洋紙の普及により、その伝統は衰退の一途をたどる。そしてわずかに残った1軒が昭和27年1月に法人化(富士製紙企業組合)された。

この会社や財団法人阿波和紙伝統産業会館により平成5年に立ち上げられた「Awagami Factory」は、付加価値の高い阿波和紙製品のブランド。写真印刷やアート作品創作用、壁紙などのインテリア用など、多種多様な和紙製品を企画・販売している。その一つとして人気を呼んでいるのが、阿波踊りや鳴門の渦潮など、徳島らしい絵柄のイラストを描いた「徳島観光絵ハガキ」だ。「ハガキは15種類あり、和紙の質感によく合うほのぼのとしたタッチのイラストが好評です」と話すのは、阿波和紙伝統産業会館の篠塚美緒さん。ハガキは施設内のミュージアムショップで販売されているほか、ネットショップでも購入ができる。

徳島観光絵ハガキ
Awagami Factory 徳島観光絵はがき
販売場所 阿波和紙伝統産業会館
ネットショップ http://www.awagami.jp