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ジャンピングふるさと 「街並みJIZO展」 「街並みJIZO展」
「街並みJIZO展」は、時勢を鑑み検温や消毒などの感染対策も万全にして開催。三密にならないようにJIZOたちもソーシャルディスタンスを保って展示された

手づくり地蔵に祈りをこめる
いつもと違う「冬の夏祭り」

赤岡町横町商店街 冬の夏祭り実行委員会

平成7年から毎年12月の第1土・日曜日に開催され、
今では高知の冬の風物詩としても定着している香南市赤岡町の
「冬の夏祭り」。例年多くの観光客が県内外から訪れていたが、
今年の「冬の夏祭り」は感染防止の観点から中止に。
しかし、地元の商店主を中心とした「冬の夏祭り実行委員会」は、
祭りのない冬を彩るために工夫を凝らして取り組んだ。

JIZO

「中止だから」と諦(あきら)めない
寂しい冬にしないための企画

「冬の夏祭り」が始まったのは、今から25年前。赤岡町横町商店街のレトロな雰囲気に惹(ひ)かれた一人の学生が、江戸時代に参勤交代の宿場町として栄えていた街のにぎわいを取り戻すために、「商店主はもちろん、学生や主婦も参加しやすいフリーマーケットを開いては」と提案した。その提案に賛同したのが、現在の「冬の夏祭り実行委員会(以下:実行委員会)」のメンバーたち。せっかくなら、大杯の酒を飲み干す「どろめ祭り」や芝居絵屏風を軒先に並べる「絵金(えきん)祭り」といった奇祭で知られる赤岡町らしいものにしようということに。休憩スペースとして街並みにこたつをいくつも並べたところ、その奇抜さに観光客も注目。こたつを囲んで「赤岡てらこや」と称したさまざまなワークショップを開くなど、回を重ねるごとに、遊び心のある企画が増えていった。

だが、今年は新型コロナウイルスの影響で他のイベント同様に開催中止が決定した。そこで「ただ中止にするのは寂し過ぎる。三密に配慮した新しい企画を考えよう」と、商店街で骨董品などを扱う「おっこう屋」のオーナー間城紋江(ましろあやえ)さんやデザイン事務所を営む田中たい子さんら実行委員会のメンバーは一致団結。話し合ううちに、7年前、町のあちらこちらにたくさんのお地蔵さまを並べたことを思い出した。「そのお地蔵さまたちに今こそ守ってもらいたいと思ったんです」と間城さん。そこで”まちを見守るお地蔵さま“をテーマとして新型コロナウイルス終息を願う「あかおかJIZO(以下:JIZO)」をみんなでつくり、商店街に並べる「街並みJIZO展」を開催することとした。

間城さんが営む「おっこう屋」
実行委員会メンバーの間城さんが営む「おっこう屋」には昭和時代の懐かしい品々が並ぶ
左/インパクトのある休憩スペースの路上こたつ。右/「冬の夏祭り」の発案者得丸成人(とくまるなるひと)さん
左/インパクトのある休憩スペースの路上こたつ。一昨年は多くの観光客でにぎわった
右/「冬の夏祭り」の発案者であり、現在は香川県で活動するデザイナーの得丸成人(とくまるなるひと)さん
街並みに佇(たたず)む個性豊かなJIZOたち。
街並みに佇(たたず)む個性豊かなJIZOたち。材料や大きさなどの決まりごとはない

人との距離を保っていても
心の距離は近くて温かい

できる限り多くの人に参加してほしいと、商店街や周辺の人たちにも参加を呼びかけ、JIZOを募集。昨年9月には和紙の張り子を使ったJIZOづくりのワークショップを開いた。当日は、SNSや告知チラシを見て県内外から10人ほどが参加。「子どもに戻ったみたい」と手を糊(のり)でベタベタにしながら思い思いのJIZOに仕上げた。また、町内の小・中学校や幼稚園には実行委員たちが出向いてJIZOづくりの授業を行った。赤岡町のシンボル的存在「絵金蔵(えきんぐら)」蔵長の澤田美枝さんは、愛らしい化粧をしたJIZOを制作。「赤岡の人たちは、みんなでつくりあげようという団結力が強いんです」と微笑(ほほえ)んだ。毎年、「冬の夏祭り」を楽しみにしていた県内外の人たちからもJIZOが届き、10月末までに粘土や石、木彫りや手編みのものなど、約300体もの個性的なJIZOたちが集まった。

昨年12月1日から6日までの一週間、赤岡町横町商店街には多様なJIZOたちが並んだ。観光客は「あちらこちらに置いてあるJIZOたちを見つけるのが楽しい」とゆっくり街歩きを楽しんでいた。「冬の夏祭り」の中止を受けて「長く続いた祭りがこのまま終わってしまうのでは」と危惧していた実行委員たちも「こんな状況だからこそ、みんなで協力し合ったら”特別な年“になるんです」と満足そうに微笑(ほほえ)んだ。実行委員会の底力を伝えるJIZOたちに見守られ、赤岡の町は不思議な温かさに満ちていた。

ワークショップに参加した友竹亮介(ともたけりょうすけ)さんと熊倉彩季(くまくらさき)さん
ワークショップに参加した友竹亮介(ともたけりょうすけ)さんと熊倉彩季(くまくらさき)さん(右側の2人)は遍路旅の途中。「あまりに自然に迎え入れてくれるから、いつの間にかなじんでしまいました」と話しながら丁寧に1枚1枚張り込んでいた
ノミをふるう様子
ワークショップや「街並みJIZO展」の参加者の多くが、コロナ終息を願いつつノミをふるった
「狐の嫁入りJIZO」と制作者の蔵長 澤田さん
「絵金蔵」の前に展示された「狐の嫁入りJIZO」と制作者の蔵長 澤田さん
たくさんの方が願いを込めて作ったJIZO
たくさんの方が願いを込めて作ったJIZOたちが街のあちらこちらに展示された
JIZOたち
実行委員会のメンバーたちとワークショップ参加者。
実行委員会のメンバーたちとワークショップ参加者。前列右から3人目が間城さん、後列右から5人目が田中さん

※撮影のためマスクを外していることがあります

お問い合わせ

冬の夏祭り実行委員会
住所 高知県香南市赤岡町横町448-1
電話番号 0887-55-3468(おっこう屋)
URL https://fuyu-natsu.com/
https://www.facebook.com/fuyunatsu/