今治駅から10分ほど歩いた街中に目をひくレトロな建物が現れます。白い二つのドーム、煉瓦の煙突、屋根には塔屋がそびえています。
この「今治ラヂウム温泉本館」は、1919年(大正8)に映画館、浴場、ダンスホール、食堂を備える娯楽場「共楽館」として建てられました。1927年(昭和2)に浴場施設を「ラヂウム温泉」の名称で開業。2014年(平成26)には休業・閉館しましたが、貴重なコンクリート構造のドーム天井、大理石を模した左官仕上げの柱や壁面が現存しています。
2016年(平成28)、今治市初の「国登録有形文化財」に登録され、建築家や建築ファンの注目が集まっています。戦前よりここに建ち、太平洋戦争の戦火を奇跡的に免れた歴史的建造物を後世につないでいこうと、3Dデータで記録保存する試みも進んでいます。異彩を放つこの建物。普段は外観のみ見学が可能です。