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歴史・民俗DESIGN neo
大谷焼のスピリッツを継ぐ優しい質感の器たち

大谷焼のスピリッツを継ぐ
優しい質感の器たち

徳島県の特産品として藍染めとともに発展した「大谷焼」。その窯元(かまもと)として140年以上の歴史を持つのが矢野陶苑(とうえん)です。大谷焼の代名詞ともいえる※藍甕(あいがめ)や睡蓮鉢などの大物が、4代目当主・矢野款一(かんいち)さんによって今も生み出されています。

そんな歴史ある窯元の5代目となる、耕市郎さん。当初は県外で会社員をしていましたが、素朴ながらも力強い焼き物がつくられる様を、幼い頃からそばで見てきたこともあり、大谷焼の魅力を次世代に伝えたいという思いが募り帰郷。もっと手頃で普段使いしやすい器をつくりたいと、新たな切り口で制作に取り組みました。

渋い色合いと金属的な光沢が特徴の大谷焼とは一線を画すようなものを求め、耕市郎さんは釉薬(ゆうやく)にこだわりました。独特の風合いを引き出すために、テストを繰り返すこと、実に2万回以上。そんな苦労を経て、雰囲気のあるくすみカラーとマットな質感が特徴の「SUEKI CERAMICS(スエキセラミックス)」が完成しました。伝統とモダンが融合する独自性は徐々に全国で認知されるように。「自分の活動が大谷焼に興味をもつきっかけになれば嬉しい」と話します。

※藍を発酵させ、染料にするための甕。藍壷(つぼ)とも呼ばれる。

伝統的な大谷焼と釉薬のテストピース
左/伝統的な大谷焼。大きな甕(かめ)や鉢が並ぶ
右/釉薬のテストピース。追求する色を出すために、わずかな配合の差をつけていく
株式会社SUEKI (矢野陶苑)
住所 徳島県鳴門市大麻町大谷字久原71-1
電話番号 088-660-2533
URL https://www.sue-ki.com/