メニュー

ジャンピングふるさと 釜あげちりめんプラスどろめ丼 釜あげちりめんプラスどろめ丼
安芸水産加工場横の「安芸しらす食堂」で提供される釜あげちりめんと生しらす(どろめ)の「釜あげちりめんプラスどろめ丼」

「安芸市をじゃこの聖地に」を目標に
地元名物を盛り上げるPR活動隊

ごはんに釜あげちりめんをどっさりのせて、
ゆずを使った特製タレをかけた「釜あげちりめん丼」。
安芸市の食卓では昔からの定番メニューだが、
観光客に提供したことから注目されるように。
その後、B級グルメブームに乗って人気の
ご当地メニューとなった「釜あげちりめん丼」の
PR活動を取材する。

安芸釜あげちりめん丼学会
「普段のおかず」が観光の目玉に!

高知県の土佐湾沖では、昔からイワシの稚魚が豊富に獲れる。そのうち約3割が安芸漁港で水揚げ・加工されるため、安芸市の人たちにとって、ちりめんじゃこは「普段のおかず」。しかし、2005年(平成17)に安芸市のまちづくりを考える「安芸まちづくり委員会」が「ちりめんじゃこのおいしさを広めたい」と安芸本町商店街振興組合女性部に協力を依頼。ちりめんじゃこを広く知ってもらうため、どんぶりにして観光客に提供したところ「こんなにふわふわのちりめんじゃこは食べたことがない」と喜ばれた。

そこで、安芸市の名物にしようと安芸商工会議所が中心となって市内の飲食店に呼びかけ、市内6店舗で常時「釜あげちりめん丼(以下:ちりめん丼)」を提供するようになった。

それから5年後の2010年(平成22)、NHK大河ドラマ「龍馬伝」の放送をきっかけに、岩崎弥太郎の生誕地である安芸市を訪れる人たちからもご当地丼として好評を博した。当時、安芸商工会議所の女性会会長を務めていた山本美栄(みえ)さんは、安芸市のちりめんじゃこのクセのない繊細な味わいは、特別であると改めて実感。観光誘致や地域産業の活性・振興にもつながると考え、同年11月、シラス加工業者や「ちりめん丼」を提供する飲食店主らとともに、楽しみながら活動する会『安芸「釜あげちりめん丼」楽会(以下:楽会)』を設立した。

各地でB級グルメイベントが増えてきた時期だったこともあり、県内外のイベントで「ちりめん丼」を販売するなどPR活動に努めた。そして、2012年(平成24)、第3回土佐の食1(ワン)グランプリの優勝をきっかけに安芸市の「ちりめん丼」は高知県のご当地グルメとして浸透していった。

「株式会社 安芸水産」山本高正社長
初代会長 山本さんの「安芸市をじゃこの聖地に」という熱い思いを受け継いだ息子さんの「株式会社 安芸水産」山本高正社長。「楽会の継続したPR活動が安芸ちりめんの認知度向上に一役買っている」と話す
安芸まるごと丼
市内のコーヒーショップ「ニルス」では、高知県の地鶏「土佐ジロー」やなす、ちりめんじゃこが楽しめる「安芸まるごと丼」を提供
各地のじゃこ料理が一堂に集まる「じゃこサミット」
各地のじゃこ料理が一堂に集まる「じゃこサミット」。2019年は台風、2020年は新型コロナウイルスの影響で2年連続中止となったため、「今年こそは開催を!」と楽会のメンバーは意気込んでいる
各地のじゃこ料理が一堂に集まる「じゃこサミット」
楽会のメンバーたち。前列右から2人目の仙頭会長は、「おいしいもので胃袋をつかめば、大切な人を誘って、また訪れてくれるはず。
活動の根底にその思いがある」と話す。右端は楽会の事務局としてサポートする安芸商工会議所の門脇豊さん
熱い思いを大切に受け継いでいく活動

県内外のイベント参加に加えて、2013年(平成25)からは「ご当地じゃこ料理」を一堂に集めた「じゃこサミット」を毎年10月に市内で主催。楽会の熱意に応える形で年々参加が増えていった「ちりめん丼」提供店(現在は16店舗)でのスタンプラリーなど、さまざまなPR活動を行うようになった。さらに、地域の子どもたちにも安芸市のちりめんじゃこの魅力を知ってほしいと、市内の各小学校で食育の出前授業も行うように。「安芸市をじゃこの聖地にしたい」との思いから、「楽会」の活動はさらに加速していった。

2015年(平成27)、立ち上げ時に奔走した山本さんから現会長の仙頭ゆかりさんがバトンを受け継いだ。「熱い思いで初代会長たちが築き上げたさまざまな取り組みを受け継いで、みんなで盛り上げるのが私たちの役目」と仙頭さん。定例会議を開いて「楽会」のメンバーそれぞれの意見を調整し、「やれる人がやれることを」をモットーに楽しみながら活動している。

2016年(平成28)からは、毎月15日「じゃこの日」に市内の保育所と小中学校で「じゃこ給食」を提供。また「じゃこ博士シート」を制作し、市内の小中学生全員に配布するようになった。2018年(平成30)からは安芸市と交流のある県外の小学校などでちりめんじゃこの魅力を伝えるなど、活動の幅を広げている。

昨年は新型コロナウイルスの影響で活動できない状況だったが、出前授業の代わりに小学生向けの動画を公開。今年2月の定例会議では新しいトッピングの販売メニューや配布物を検討するなど、イベント再開の準備を続けている。

10年ほど前には地元以外に知られていなかった「ちりめん丼」だが、最近では高知名物としてテレビの全国番組で取り上げられるまでになった。次第に認知度が上がる中、メンバーは代わっても「安芸市をじゃこの聖地にしたい」という熱い思いは、脈々と受け継がれていく。

「ちりめんドンちゃん」が市内の各保育所・小中学校でじゃこ給食のPRを行う様子
仙頭会長と高知県出身の漫画家やなせたかしさんが創作したキャラクター「ちりめんドンちゃん」が市内の各保育所・小中学校でじゃこ給食のPRを行う
ちりめん丼を楽しめる16店舗、加工販売店を掲載した「ちりめん丼パンフレット」やちりめんじゃこの知識が満載の「じゃこ博士シート」
ちりめん丼を楽しめる16店舗、加工販売店を掲載した「ちりめん丼パンフレット」やちりめんじゃこの知識が満載の「じゃこ博士シート」など、さまざまなツールも制作

※撮影のためマスクを外していることがあります

お問い合わせ

安芸「釜あげちりめん丼」楽会(安芸商工会議所内)
住所 高知県安芸市本町3-11-5
電話番号 0887-34-1311(平日 8:30〜17:15)
URL https://akg-21.com
株式会社 安芸水産
住所 高知県安芸市西浜3411-46
電話番号 0887-34-8810(木曜定休)
URL https://akisuisan.com/
コーヒーショップ ニルス
住所 高知県安芸市花園町3-8
電話番号 0887-34-2386(第2・4・5木曜定休)