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ジャンピングふるさと 「新・五名ふるさとの家」を運営するメンバー 「新・五名ふるさとの家」を運営するメンバー
「新・五名ふるさとの家」を運営するメンバー。猪の解体所「五色の里」を営む夫の薫(かおる)さんとともに、移住を希望する人たちの相談に乗ることも多いという木村さん(中央)と、2011年(平成23)から移住先を探し、日本全国で生活しながら沖縄の西表島(いりおもてじま)まで巡り、香川の地を選んだ飯村さん夫婦(左)

地区のみんなで手をとりあって
ふるさと五名を次世代へつなぐ

五名(ごみょう)活性化協議会

五名(ごみょう)活性化協議会

東かがわ市五名地区は阿讃山脈の麓に位置する、自然豊かな地区。
この地で2013年(平成25)、閉校になった地元の五名小学校の跡地などを
活用するために立ち上がったのが、「五名活性化協議会」だ。
地区に暮らす一人ひとりの意見を取り入れて2019年(令和元)に誕生した
産直カフェ「新・五名ふるさとの家」で、五名の活性化に尽力する人たちを取材した。

結束力と行動力で地域の課題を解決

「五名活性化協議会」は、閉校した五名小学校の跡地などを利用し地域を活性化するための”地域住民主体の協議会“だ。中心となるのは、2005年(平成17)から近くで産直市「五名ふるさとの家」を運営していた木村京子さんら地元の主婦たち。地域活性化について話し合う中で「産直市を移転しては」という話が持ち上がったのがきっかけだ。「自分たちだけで長く持続していくのは難しい。せっかく新しい施設をつくるなら、地区のみんなで考えて運営することができれば」と木村さんたちは考えた。そこで、五名地区の全自治会をはじめとする6つの団体に呼びかけ、2013年(平成25)に五名地区に暮らす住民全員が加入する「五名活性化協議会」が発足した。「長年、高齢化・過疎化が続く状況で次の世代にどうつないでいくかはずっと課題でした」と木村さん。「地区の人たちが持っている特技や才能も大切な”地域資源“。新しい施設は誰もが主役として活躍できる場に」と考えたという。温かく迎え入れてくれるこの地域に惹(ひ)かれ、移住する若者も増えてきたことから、昔からこの地で暮らす住民と移住者、双方の意向や要望を取り入れつつ、具体的な取り組みなどをじっくりと決めていくことになった。

毎月1回の定例会で協議を重ね、2017年(平成29)3月、地域活性化の中心地としてカフェや産直市、薪(まき)ステーション、野外学習広場等を備えた複合施設をつくることに決まった。

同年6月、新施設の運営を担う人材を募集すると、真っ先に手をあげたのが2015年(平成27)に北海道から五名地区に移住し、林業研修生として山の仕事を学んでいた飯村さん夫婦だった。林業研修の中で猪(いのしし)などの解体も手伝っていた飯村大吾さんは「猪の狩猟に加えて、調理やレシピ開発、お客さまへの提供まで、すべて一貫して行えることが何よりも魅力だった」と話す。五名地区の人たちも若い飯村さんたちが運営の中心を担ってくれることを歓迎した。

現在の産直カフェの基盤となった産直市「五名ふるさとの家」
現在の産直カフェの基盤となった産直市「五名ふるさとの家」。木村さんら地元の主婦3人が毎週土曜日、手弁当で始めた産直市で野菜や加工食品などを提供していた
閉校になった五名小学校の跡地に移転された「新・五名ふるさとの家」
閉校になった五名小学校の跡地に移転された「新・五名ふるさとの家」
閉校となった「五名小学校」
閉校となった「五名小学校」
大切な「地域資源」を活用できる場所に

2019年(令和元)7月、構想から約7年かけた産直カフェ「新・五名ふるさとの家(以下:ふるさとの家)」が開店した。柱や天井、床、テーブル、椅子に至るまで、地元の木材が使われた施設に入ると、採れたばかりの野菜や加工品がずらり。陶芸や革小物などの作品づくりをしている移住者も多いとあって、五名地区に暮らす作家たちのさまざまな作品も並んでいる。

「ふるさとの家」で週替わりランチとして提供されるのは、猪などのジビエを使ったメニュー。「豊かな五名の里山を駆け回り、ドングリや栗を食べて育った猪は味が濃く脂が甘いんです。食べやすいよう味付けも工夫しているので、ジビエに抵抗があるという人も一度味わってほしい」と飯村さん。ポトフやハンバーグなど、なじみのある調理法も多く取り入れたランチは好評で、準備している50食以上が売り切れる日もある。夜は1日1組限定で、ジビエバーベキューやしゃぶしゃぶなどの料理も提供。昨年は新型コロナウイルスの影響もあり、「ジビエ弁当」や自家製ソーセージを挟んだ「ジビエドッグ」など、テイクアウト対応も行った。特ににぎわう土・日には、木村さんたちも運営を手伝う。スタッフや農家の方々、飯村さん夫婦の様子を観ていると、まるでひとつの家族のようだ。

「五名活性化協議会」では、「ふるさとの家」を基幹として地域の魅力を発信し続けるために、施設の利用方法やさらなる活性化を引き続きみんなで考えている。

豊かな自然の恵みとそこに根ざす人たち一人ひとりの”地域資源“を、多くの人たちに知ってもらいたいという思いを大切にしながら、五名を愛する人たちの手で「ふるさとの家」は守られていく。

内装には地元の木材が使われ、温かみのある空間となっている
内装には地元の木材が使われ、温かみのある空間となっている
地元で採れた新鮮な野菜も販売している
地元で採れた新鮮な野菜も販売している
五名在住の作家たちによる作品も多く並ぶ店内
五名在住の作家たちによる作品も多く並ぶ店内
週替わりランチとして提供される「おやさいたっぷりジビエ団子スープ」。「猪や鹿の肉が家庭でも手軽に味わえる食材だと知ってもらえれば」と工夫を凝らし、五名産の野菜もふんだんに使っている
週替わりランチとして提供される「おやさいたっぷりジビエ団子スープ」。「猪や鹿の肉が家庭でも手軽に味わえる食材だと知ってもらえれば」と工夫を凝らし、五名産の野菜もふんだんに使っている

お問い合わせ

五名活性化協議会 新・五名ふるさとの家
住所 香川県東かがわ市五名1400(五名活性化センター前)
電話番号 0879-29-2832
営業時間 金・土・日・月 8:30~16:00
URL https://www.gom-you.com/

※撮影のためマスクを外しています