ジップラインは、木々などの間に渡したワイヤーロープをプーリーと呼ばれる滑車を使って
滑り降りるヨーロッパ発祥のアトラクション。
2018年(平成30)、四万十町十和(とおわ)地域では、
「四万十川の上空を滑空できれば新たな観光拠点となる」とジップラインに注目。
昨年6月にオープンし、この夏、2年目を迎える「四万十川ジップライン」を取材した。
新たな観光拠点
「ジップライン」で四万十川を横断!
前例のないことでも
楽しむ地域だからこそ
日本最後の清流として全国から観光客が集まる四万十川。その中流域に位置する四万十町の山間部十和地域は、全国各地で目にするようになった「こいのぼりの川渡し」発祥の地。
この地で「四万十観光のさらなる魅力がほしい」という地域からの声をきっかけに、2018年(平成30)にスタートしたのが「ジップライン構想」だ。既設のジップラインの多くは森の中を滑空するものだが「長年、川の上にこいのぼりを泳がせてきたこともあり、川の上にもジップラインを渡せるのではと考えました」と、四万十町十和地域振興局長の冨田努(とみたつとむ)さんは話す。元々、前例のないことや新しいものを受け入れてくれる地域だったことから、計画はスムーズに進行。当時、高知県内にジップラインが無かったことも後押しし、すぐに事業化が決定した。
スタートやゴールの位置については自然の地形を活かしながら、既存の観光地の魅力も再確認してもらえるよう、周辺の観光スポットも活用できる形に。長く活用方法を模索していた「御成婚の森」を整備しスタートデッキを、「道の駅 四万十とおわ」の敷地にゴールデッキを設置した。スタートデッキまでは、四万十川ならではのアトラクション「川舟下り」を運営する「合同会社 四万十かっぱ組合」に協力を依頼し、昔ながらの手漕ぎの川舟で渡すことになった。こうして昨年3月末、延長220m、高低差約10mの「四万十川ジップライン」が完成した。




幅広い層に好評な
理由は“気軽さ”
昨年6月にオープンした「四万十川ジップライン」。コロナ禍でのオープンということもあり、初年度の目標利用者数は7,000人だったが、夏には1日100人以上が訪れる日もある盛況ぶりで当初の目標は秋にはクリア。オープン8カ月後の今年2月には1万人を達成した。
ワイヤーロープにつかまって滑り降りるというアクティブさから、計画では利用客の中心は子ども連れや若いカップル、学生仲間を想定していたという。しかし「アンケートによると、道の駅の利用者層と同じ50代以上の女性の利用が一番多かった」と実際に業務を担当する「株式会社 四万十とおわ」のマネージャー、茨木良太(いばらぎりょうた)さんは話す。
川面まで約25mの高さがあるスタートデッキからの滑空時間は約25秒。「同じ時間、同じ景色を共有・体感してほしい」とワイヤーロープを2本並列し、同時に2人が滑るパラレル仕様にしているため、夫婦や恋人同士で利用する人も多く、昨年秋には結婚式でも利用された。道の駅にたまたま立ち寄ってジップラインがあることを知り、「せっかくなら挑戦してみよう!」と当日予約をする利用者も。現在、利用者の最高年齢は90歳だという。
「ほかの地域にもジップラインはありますが、道の駅に併設という“気軽”さはここならでは。四万十川では、ほかにもさまざまな体験ができ、ドライブや宿泊で訪れる人も多いので、いろいろなスポットと組み合わせて楽しんでもらえる提案ができれば」と冨田さんは期待を込める。清流の上空を滑り降りる爽快感にリピーターも増えているという。四万十川と十和地域の自然を全身で体感できる新たなアクティビティが、地域全体に光を当て地域をさらに活性化する。





アクセス
住所 |
高知県高岡郡四万十町十和川口62-9 |
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電話番号 | 0880-28-5554 |
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URL | https://shimantotowa.com/40010/ |
受付時間 | 9:00〜15:45 木曜定休 |
料金 | 大人2,500円/子ども 1,800円(18歳未満) |
備考 |
※保険料、消費税を含む。団体20名様以上は上記金額の10%引き ※身長120cm以上、体重110kg未満。中学生以下は保護者の帯同が必要 |
※撮影のためマスクを外しています