写真のプレートを制作しているのは、香川漆芸作家・松本光太さんが率いる工房「さぬきうるし Sinra」。江戸時代から受け継がれる香川県独自の伝統技法を活かしながら、現代の暮らしに合う新しい表情の漆器を生み出しています。代表作は石の粉を蒔いた「Ishiko」シリーズ。花崗岩(かこうがん)のダイヤモンドとも言われる県産高級石材・庵治石の粉を漆に混ぜて塗ったものです。塗装面が補強されるため細かな傷や指紋が目立ちにくいのが特長。漆器のイメージをくつがえすマットな質感とバリエーション豊かな色使いも魅力です。シンプルなデザインなので和食はもちろん、洋食やデザートなどにも幅広く使えます。
「Sinra」が最初に発表したのはカラフルな漆塗りの積み木。「幼いときから木や漆に触れることで、本当に良いものを知ってほしい。それが故郷の自然や文化を育んでいくことにつながると思います」と松本さん。現在、工房で制作を行うのは若い作り手ばかり。松本さんは「若手が才能を発揮していくことで、香川漆芸の伝統が受け継がれ、さらに発展していくのでは」と語ります。使い手のことを考えた「Ishiko」シリーズは、生活に寄り添いながら、香川漆芸の技を次世代へと伝えていきます。