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ジャンピングふるさと 香川県 まんのう町 身近な生き物の暮らしを知る のんびり楽しむ山歩き 身近な生き物の暮らしを知る のんびり楽しむ山歩き
取材日は、まんのう町立図書館勤務の司書さんたちを案内。「初心者でも安心な緩やかなルートを」という依頼に応え、丸亀市とまんのう町の境にある城山(しろやま)へ

身近な生き物の暮らしを知る
のんびり楽しむ山歩き

まんのう町里山ハイキング

香川県南西部に位置するまんのう町は、
2006年(平成18)に満濃町、琴南町、仲南町が合併して誕生した人口約2万人の新町。
高松市、三豊市に続いて3番目に広く、平野部から山間部までを有する自然豊かな町だ。
讃岐山脈をはじめとする、アウトドアに適した環境を最大限に生かして、
誰もが楽しめる「里山ハイキング」を案内し、魅力を広める活動を紹介する。

松ぼっくり

初心者でも楽しめる
まんのう町周辺の山々

木の葉や木の実
初心者でも楽しめる まんのう町周辺の山々

讃岐山脈の主峰で県最高峰の竜王山(標高約1,060m)と大川山(だいせんざん)(標高約1,043m)を有し、シーズンになると登山を楽しむ人たちが大勢訪れるまんのう町。2019年(平成31)、豊かな自然を活用した山歩きなど、アウトドアによる地域振興を目的として、まんのう町地域おこし協力隊で活動する隊員(以下:隊員)を募集した。

同年7月、隊員として着任したのが、アメリカ・ヨセミテ国立公園内にあるハイキング愛好家の聖地「ジョン・ミューア・トレイル」(※)を歩いた経験を持つ水沼佑太さん。着任後は保育所の子どもたちや登山愛好家など、幅広い層を山へと案内する役目を担うようになった。水沼さんは「年齢や登山経験の有無、それぞれの希望に合わせたプログラムやツアーを組むうちに、まんのう町周辺はもとより、香川県の山々の奥深さにどんどん魅了されていった」と話す。

昔話に出てくるような愛らしいおむすび型をしているのが、香川県の里山の特徴。整備が行き届いていて子どもたちや運動が得意でない人でも挑戦しやすい里山も多い。東西約145kmにわたって山が連なる讃岐山脈も、集落から近く水分や食糧などの補給に適しているうえ、積雪も他の地域と比べれば少なく冬でも歩きやすい。山頂からは瀬戸内海の島々まで一望でき爽快感を味わえる。「欧米では愛好者が多く、近年、日本各地にも広まっているロングトレイルのルートとしても魅力的だと思った」と言う水沼さん。「ロングトレイル」とは、自然の中を長距離にわたって歩く「山歩きの旅」。初心者から上級者までが楽しめる山々がすぐそばにあるまんのう町は、「里山ハイキング」にぴったりだと目を輝かせる。

※「ジョン・ミューア・トレイル」は、アメリカ合衆国にある長距離自然歩道。カリフォルニア州シエラネバダ山脈のヨセミテ渓谷からマウント・ホイットニーまで、340kmにわたって縦走するルートで、世界のロングトレイルの中でも人気が高い。
笑顔の地域おこし協力隊
地域おこし協力隊の水沼さん(左)と、ことなみ振興公社の宮西さん(右)

山歩きの魅力と危険を
正しく伝える案内役に

どんぐり
山歩きの魅力と危険を 正しく伝える案内役に

徳島県との県境、三頭トンネル脇にある「道の駅 ことなみ」では、毎年、春と秋に山歩きイベント「エピアトレッキング」を開催している。イベントを始めて10年以上が経ち、長くガイド役を務めてきた「道の駅 ことなみ」を運営する一般社団法人ことなみ振興公社の代表理事、宮西修さんはそろそろ次の世代へバトンタッチを考えていたという。そこで「エピアトレッキング」に同行した水沼さんに案内のポイントを伝授し、2020年(令和2)からガイドを任せるように。「ガイドは参加する全ての人に目配りする必要がある。今後、年をとっていくことを考えると水沼くんに任せられて良かった」と宮西さん。最近ではアウトドアブームの影響もあり若者の参加者も増えてきたそうで「山歩きだけでなく、この地区の豊かな自然の中でできる、いろいろな遊びを考えてもらえれば」と期待を寄せる。

香川県の山々は年間を通じて楽しめるのも魅力。冬は不快な虫や下草も少なく、服装による温度調整もしやすいため、実は歩きやすいという。だが、歩きやすい山だとしても自然に一歩入れば、険しい山と同じように危険がある。自然に敬意を払いながら楽しむためにもガイド役は欠かせない。取材日に行っていたハイキングの参加者のひとり、まんのう町立図書館の天野友紀子さんも「自然体験は読書同様に子どもたちの成長に必要なこと。自然を案内してもらえることで子どもたちの世界も広がるはず」と話す。

宮西さんからガイドの基本を学んだことや、子どもからシニア層まで幅広い層を隊員として案内したことで、さらに強くガイドの必要性を実感したという水沼さんは、協力隊での任期を終える今夏以降もまんのう町を中心としてハイキングガイドに取り組む予定だ。

子どもたちはもちろん、大人もワクワクしながら山を歩くことで、日常ではなかなか見つけられない、たくさんの生き物に出会える。もっと多くの人に楽しんでもらい、地域の魅力を再発見してもらうために、「里山ハイキング」の活動は続く。

トレッキングの様子
エピアトレッキングは毎年、開催日ごとにルートを変えながら4〜5行程を企画する。今年の春トレッキングについては、「道の駅 ことなみ」に問い合わせを
コースを横から見た図
エピアトレッキングで縦走するコースの一例。東山峠から大川山まで(10.4km)
参加者に説明する様子
自生する山椒について説明。左端が天野さん
ススキの葉を触ってみる様子
ススキの葉にはギザギザがあり、うっかり触ると手が切れてしまうが、実は片刃。「葉の先から根元に向かって触ると切れるということを知っておけば危険を回避できます」と水沼さん
笑顔の地域おこし協力隊
自然観察などを楽しみながら、歩き方のコツや注意点を伝えるのもガイドの役目。城山の山頂までは整備された道とアップダウンのある山道があるため、分かれ道でコース選択をしつつ、片道2時間ほどかけてゆっくりハイキング
笑顔の地域おこし協力隊

お問い合わせ

まんのう町役場 地域振興課
住所 香川県仲多度郡まんのう町吉野下430
電話番号 0877-73-0122
道の駅 ことなみ エピアみかど
住所 香川県仲多度郡まんのう町川東2355-1
電話番号 0877-56-0015
URL http://e-mikado.jp

撮影のためマスクを外している場合があります