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ジャンピングふるさと 村内外の人をつなぎながら日高村にしかない魅力をPR 村内外の人をつなぎながら日高村にしかない魅力をPR
小野さん(中央)と前田さん(左上)とともに、「nosson」に関わるメンバー。右上から時計回りに、立ち上げ時から事業企画に携わる株式会社トラストバンクの佐藤優輔さん、とまとと店長の黒瀬若菜さん、地域おこし協力隊の村上由佳さん

村内外の人をつなぎながら
日高村にしかない魅力をPR

一般社団法人nosson(のっそん)

高知県のほぼ中央に位置する日高村は、
高知市から車で30分ほどの場所にある人口約5千人の村。
この小さな村に2020年(令和2)10月、特産品をはじめ
地域全体の魅力を村外に発信する「地域商社」が誕生した。
それが、村内外の人を巻き込みながらさまざまな事業に取り組む
「一般社団法人nosson(以下:nosson)」。
日高村とそこに住む人・訪れる人たちのことを最優先に考える、
参加型の地域商社を立ち上げた人たちを取材した。

昔から続くのどかな暮らしと人付き合いに魅力を感じて

地域のお母さんたちでつくられた「NPO法人 日高わのわ会(以下:わのわ会)」に一通のメールが届いたのは2016年(平成28)のこと。差出人は、のちに「nosson」の代表理事となる小野加央里さん。当時、小野さんは東京で会社員をしながら全国でボランティア活動を行っており「高知に素敵な団体がある」と聞き連絡をとったのだった。

「わのわ会」は2005年(平成17)の設立以来、地域の困りごとを解決し、経済発展をサポートしてきた団体。自分たちの損得ではなく、まず地域やそこに住む人たちのことを考える姿勢に惹かれ、小野さんは日高村に通うように。毎月、仕事を終えたら高知に向かい、「わのわ会」事務局長の安岡千春さんたちの活動を手伝ったり、地域の人たちと交流したりしてまた東京に戻る。そうやって定期的に週末を高知で過ごすことで、日々のストレスが軽減するのを実感していた。だが当時、日高村には宿泊施設がなく、高知市内と行き来する状態。「気軽に泊まれるゲストハウスがあれば、ボランティアや移住を考える人も訪ねやすくなるのに」と思っていたという。村役場内でも、地域と多様な関わりを持つ”関係人口”を増やすためにも宿泊施設が必要だという声もあったことから、日高村初の宿泊施設を立ち上げることになった。

2017年(平成29)4月、小野さんは日高村地域おこし協力隊(以下:協力隊)として着任。2019年(令和元)秋には、ゲストハウス『eat & stay とまとと』をオープンさせた。同時期に着任したのが、結婚を機に日高村へと移住した前田梓さんだった。前田さんはECサイトの制作に関わっていた経験を活かして、ふるさと納税業務を担当していた。村役場の担当者に「二人の携わる事業を合わせたら、ふるさと納税での収益を地域活性化の取り組みで循環させる地域商社ができる」と言われたことをきっかけに二人は起業を決意。協力隊を卒業した2020年(令和2)10月、関係人口を増やすことを目的として、地域の人たちにも関わってもらう参加型の地域商社「nosson」を立ち上げた。

「わのわ会」の事務局を担う安岡さん(右)は、小野さんや「nosson」のメンバーにとって、なんでも相談できるお母さんのような存在だ
2016年6月、初めて訪れた小野さんを魅了した日本の原風景が残る日高村。能津地区から眺める仁淀川に癒されたという
「eat & stayとまとと」では、日高村の名産品であるトマトをふんだんに使ったメニューを提供するだけでなく、村の植物を使ったディスプレイや仁淀ブルーの壁など、空間にも日高村にあるものを取り入れている
当初、小野さんがボランティアをしながら交流した能津地区。桑名さん夫婦をはじめ地域の人たちを手伝う中で、日高村での暮らしにどんどん惹かれるようになった体験が「いきつけいなか」の企画につながった

地域の人、訪れる人の両方が幸せな関係を紡げるように

「nosson」は高知弁で『あれとそれを足して、おしなべる』を意味する『のっそ』と村(そん)を組み合わせた造語。地域ならではの魅力や昔からの伝統を活かしながら、時代ごとに新しいものを足してバランスを取るという意味を込めた。

現在、「nosson」が取り組んでいる事業は、小野さんが当初、協力隊として立ち上げ・運営に携わってきた『eat & stay とまとと』の広報と、前田さんが協力隊時代から携わるふるさと納税業務。また日高村の資源を活かした新たな商品開発にも取り組んでいる。

さらに昨年、村役場と協働でスタートしたのが関係人口創出事業サービス「いきつけいなか」。立ち寄るとホッとする”行きつけ”の居酒屋や喫茶店のように、自分のペースで地域とつながることができる「求人サイト」だ。1時間程度でできる簡単なボランティアや1週間ほど滞在しての手伝い、移住して取り組む協力隊など、掲載される仕事はさまざま。それぞれの求人には地域との関わり方の深さを示す「いきつけ度」が提示されている。普段の日高村の暮らしを体験することで地域になじみ、いつの間にか”行きつけ”の田舎になるのが理想。地域の人たちの暮らしは変えず、外から訪れた人も自分のペースを維持できる、お互いに幸せな関係がそこにはある。

「みんなが幸せになるためにも、自分らしく働ける社会のためにも、まずは目の前の人の幸せを考える。目指すのは、わのわ会の『利他精神』を受け継いだ地域商社。ここからしっかり形にしていきたい」と小野さんと前田さんは顔を見合わせる。それを支えるメンバーも大きく頷く。地域と社会の幸せのために、「nosson」は歩み始めている。

いきつけから始める田舎の暮らし求人サイト「いきつけいなか」のトップページ
「いきつけいなか」では、日高村の人たちと一緒にさまざまな経験をすることで普段の日高村を知ることができる

お問い合わせ

一般社団法人 nosson
住所 高知県高岡郡日高村沖名3-2
URL https://nosson.jp
NPO法人 日高わのわ会
住所 高知県高岡郡日高村沖名3-2
電話番号 0889-24-4004
URL https://wanowa-hidaka.com
eat & stay とまとと
住所 高知県高岡郡日高村下分1889-1
電話番号 0889-39-2000
URL https://tomatoto.jp

撮影のためにマスクを外している場合があります