「花火の製造や点火だけじゃなく、機器を設置する人、打ち揚げ後の片付けをする人も花火師。つまり花火師とは、花火に関わる全てのプロフェッショナルを指す言葉なのです」と説明するのは、愛媛県宇和島市にある株式会社カネコ 花火部の村田孝一さん。同社は、1884年(明治17)に花火の製造を始めた。「創業は私の先祖の趣味に関係しているんですよ」と金子仁代表取締役会長。金子家の先祖は、宇和島藩初代藩主の伊達秀宗の家臣として、秀宗とともに仙台からこの地へやって来た武士。代々、趣味で花火を作っていたようで、和霊(われい)神社に打ち揚げ花火を奉納したことからこの年を創業年とした。
1951年(昭和26)、新しい事業に挑戦しようと金子会長は花火と同じように火薬を使用するパーティークラッカーの製造に参入。その需要が高まったことを受けて、約50年前に花火製造からは手を引き、今では国内シェア90%を誇るパーティークラッカーのメーカーとして成長している。
それでも「花火はカネコの原点」と、花火部は打ち揚げを専門とする花火師集団として存続し、松山市の三津浜花火大会や大洲市の大洲川まつり花火大会など多数のイベントで打ち揚げを担っている。