美しく透き通るブルーのガラス。香川県の特産品である庵治石の粉末を混ぜ込んだ「さぬき庵治石硝子」です。制作しているのは香川県出身のガラス作家・杉山利恵さん。他県でガラスの技術を学ぶうちに故郷の良さを再認識し、香川県ならではの素材を使った作品づくりを通じて、その魅力を発信しています。
ガラスの色付けに鉱物が使われることをヒントに、庵治石の粉末に着目したという杉山さんですが、何色が生まれるのかは分からないままに試作に着手したと言います。何度も試作を繰り返し現れた色は偶然にも、瀬戸内海のようなブルーだったのです。
庵治石は高松市の牟礼・庵治地域で採れる花崗岩(かこうがん)で、その堅牢さと特有の模様から、日本を代表する高級花崗岩として知られています。同地域には古くから職人が集住し、現在に至るまで高い加工技術が蓄積されてきました。杉山さんは、こうした地元の石材店などで廃棄物として処分されていた庵治石の粉を有効活用。その上、「庵治石」の名前も広まるということで、商品化にあたっては地元石材組合からも心強い太鼓判をもらったそうです。
長い歴史の中で培ってきた庵治石産業と、ガラスという新たな素材の出会いによって生まれた「さぬき庵治石硝子」。異なるものづくりが一つの作品となって、故郷のおだやかな風景を全国へと発信しています。