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ジャンピングふるさと 吉野川ポポーいち押しクラブ 幻のフルーツ「ポポー」を特産品に! 吉野川ポポーいち押しクラブ 幻のフルーツ「ポポー」を特産品に!
取材は収穫時期の9月初旬。夏が戻ってきたかのような暑い日差しの中で、「ポポー」を育てることで共通の話題が増えたと笑う「いち押しクラブ」のみなさん

幻のフルーツ「ポポー」を特産品に!

吉野川ポポーいち押しクラブ

吉野川の中流域に位置する吉野川市は、
昔から水と緑に囲まれた豊かな自然を活かした農業が盛んな地。
年々高齢化と後継者不足による耕作放棄地が目立つようになり、
景色が変わっていくことを危惧した地元の住民有志が
2020年(令和2)8月に立ち上げたのが「吉野川ポポーいち押しクラブ」だ。
活動を始めて、今年の夏で約2年。幻のフルーツといわれる「ポポー」で
町おこしができればと、認知度向上のためのPRや特産品開発に力を入れている。

農業と田園風景を次の時代に残すために

ねっとりとした甘さで、バナナやマンゴー、メロンなどに似た味わいを持つ北米原産の果物「ポポー」。実は明治時代にはすでに日本に持ち込まれ、病害虫に強く無農薬でも栽培できるという理由から、戦後の一時期、全国各地で栽培されていた果物だが、時代の流れとともに市場から姿を消したという。近年、育てやすさと美容成分などが豊富なことから再注目されるようになったものの、流通量が少なく手に入りにくい”幻のフルーツ”だ。

今から7年ほど前、数人の知人が栽培している「ポポー」が再注目されていることを知った武田呆仁(あきひと)さん。ちょうど、老後に楽しめればと仕事の合間にさまざまな果樹を植えていた武田さんはポポー栽培も始め、「手が掛からないなら高齢になっても手軽に栽培できると思い、地元の知り合いにもポポー栽培を勧めるようになった」と言う。そのひとり、沼田将征(まさゆき)さんは、武田さんの話を聞いて5年ほど前からポポー栽培をスタートした。栽培する中で互いに栽培方法や収穫の工夫などを共有したり、全国のポポー栽培を見学したりするうちに「吉野川市の特産品にすることができれば耕作放棄地の解消につながるのでは。また、今はまだない加工品をつくることができれば町おこしにもつながるのではないか」という話になった。そこで2020年8月、会長の沼田さん、副会長の武田さんを中心として、7軒の生産農家らが集まり、「吉野川ポポーいち押しクラブ(以下:いち押しクラブ)」を設立した。

「次の世代につないでもらうには若いほうがいい」とのメンバーの声で会長になった沼田さん(右)と「たくさん収穫できるようになった頃には俺らはおらんかもしれんから頼んだぞ」と笑う武田さん
「ポポー」の和名は「アケビガキ」。形がアケビ、タネが柿の種に似ていることから。果肉は非常に糖度が高くクリーミー
春先に開花が始まる「ポポー」の花はチョコレート色
以前は休耕地だった田畑をポポー畑として活用。「ポポー」が地域活性化の一助になればとの思いが現在の活動につながった

試行錯誤しながら育て市の活性化につなげたい

「ポポー」の木は、植えてから5年ほどで実をつけ始める。ただ、大きなサイズの実ができにくい品種や実のなりにくい品種もあることから、「いち押しクラブ」では、おいしい実が採れた木を接木し、良い苗木を育てることに尽力している。また、「ポポー」は熟すと木から落ちるのが特徴。収穫時期や食べ頃を知らない人が多く、生産農家でも熟す前の実を出荷している人もいる。木からもぎ取ると渋みがあり、追熟しても甘味が増さないため、おいしいとは言い難いのだそうだ。落ちた実を収穫後、1〜2日ほど常温で追熟させると食べ頃になる。そこで「いち押しクラブ」では、完熟し木から落ちるタイミングで収穫するとともに、おいしい食べ頃が分かるリーフレットを作成した。

また、傷みやすい果実であることから販売には限界があると、加工品開発にも力を入れるように。収穫した果実をドライフルーツやパウダーなどに加工。パウンドケーキやクッキー、アイスクリーム、ジュースなどを試作し、試行錯誤の末、今年の春には「ポポージャム」を完成させた。吉野川市の特産品としてのブランド認証も受けたが、さらに「ポポー」らしさが感じられるジャムにするため改良を続けているという。

「ポポー」の木は、植えてから10年ほど経つと2〜3mに成長し、その頃から収穫数がぐんと増えるという。「10年後、20年後、吉野川市の特産品になって町おこしに貢献できれば嬉しい」と顔を見合わせる「いち押しクラブ」のみなさん。今年から新たに1軒が参加し、総勢8軒となった「いち押しクラブ」。ゆっくりと着実に、ポポーといえば吉野川、と言われる日を目指して、仲間とともに楽しく町おこしに取り組んでいる。

小ぶりなものが多い「ポポー」だが、「いち押しクラブ」では生の果実として出荷する際には、400g以上という重量規定を設けている
「ポポー」を美味しく食べるためのリーフレット。食べ頃・食べ方・保存方法など重要なポイントを記載
「ポポー」の苗木。さまざまな品種を接木しては育ち方を確認するなど研究に余念がない
糖度の測定などにより、収穫後の追熟や保管方法を検証するとともに、吉野川農業支援センターに剪定や接木などの指導を受け、育てやすく大きな実がなりやすい品種の研究に勤しんでいる
この春、吉野川市のブランド認証を受けた「ポポージャム」。次なる加工品開発も考えているというが、地元の活性化が目的のため、吉野川市内で加工できるものを探している
2020年秋には地元の洋菓子店「菓子工房みずほ」が、「ポポー」の完熟果実を使った新作スイーツを開発。今年も季節のスイーツ「クレーム・ポポー フロマージュ」として販売予定

お問い合わせ

吉野川ポポーいち押しクラブ
住所 徳島県吉野川市鴨島町山路1145-3
URL https://www.facebook.com/yoshinogawa.powpow
連絡方法 FacebookのMessengerをご利用ください
撮影のためにマスクを外しています