松山市から車で約1時間という立地にありながら、過疎化が急激に進む久万高原町。高齢化率が50%近くになった町の未来を危惧したメンバーによって、2021年(令和3)7月に結成されたのが「久万高原 山と森とモルック」だ。フィンランド発祥のモルックは老若男女、誰もが楽しめるスポーツ。町民同士をつなげ、交流人口を増やし、楽しく町を盛り上げようという明るく元気な活動を取材した。
バリアフリーなスポーツを
地域活性化のきっかけに!
久万高原 山と森とモルック

高齢化の進む町で楽しめることを模索
近年、久万高原町では若年層の人口流出と自然減による人口減少が課題となっている。町全体の人口が減り、子ども会や老人会など単体での地域活動を維持することが難しくなってきたため、2020年(令和2)に地域で活動するリーダーが集まり、協同で地域活動を行うための「地域運営協議会(以下:協議会)」が発足した。コロナ禍の影響でイベントなどが中止になるなかで「地域を盛り上げるために何かできないか」と話し合っている時に、「協議会」メンバーのひとり武山智一さんが偶然テレビで見かけたのが「モルック」だった。
モルックは、1996年(平成8)にフィンランドで生まれた、ビリヤードとカーリング、ボウリングの要素を合わせたスポーツ。1から12までの数字が書かれたスキットルと呼ばれるピンを並べ、モルック棒という木の棒を当てて合計点を競う。老若男女問わず楽しめ、障がいのある人でも一緒に参加できるのが大きな特徴だ。「高齢者が多い久万高原町で取り組むのに、ピッタリのスポーツではないか」と感じた武山さんは、すぐにホームセンターで木の棒を買い、見よう見まねでモルック棒とスキットルをDIY。「試しに遊んでみたところ、単純だけどとても面白いんですよ。早速、協議会のメンバーにモルックをやろう!と呼びかけました」と武山さん。最初は半信半疑だった人たちも一度やり始めると夢中になる。その様子に「これなら子どもたちやお年寄りも夢中になるに違いない」と感じた武山さんは共感してくれる仲間を募り、2021年7月にモルック団体「久万高原 山と森とモルック(以下:山と森とモルック)」を設立した。


いつかは久万高原町をモルックの聖地に!
武山さんと同年代の「協議会」メンバー数人でスタートした「山と森とモルック」だが、現在では、小学校低学年からシニア層まで幅広い世代が参加。昨年からは「やってみたらハマってしまった」と笑う高校生3人も仲間に加わり、総勢14人となった。町内で毎週水曜日と土曜日に練習会を開くほか、各地で開かれる大会にも参加する。昨年5月に開催した「第1回久万高原チャリティーモルック大会」には県内外から多くの団体が久万高原町に集った。
「山と森とモルック」には、競技者としての腕を磨き、チームとして強くなる以外に地域貢献という目標がある。モルックを通じて久万高原町に興味を持ってもらおうと、町内はもちろん近隣の市町の公民館や児童館にも出向いてモルック体験会を行う。同時に大会で集まった資金で、町内9つの小学校にもモルックセットを寄贈した。「町内の小学校はすべて全校生徒の人数が少なく、複式学級の場合も多い。遊びやスポーツをする際に、学年が上がるにつれ低学年に合わせてあげることが多くなる。でも小学生が大人に勝つこともあるモルックなら、年齢問わず本気を出して遊べるんです」と武山さんは言う。森に囲まれたフィンランドで生まれたモルックで、久万高原町に住む町民同士をつなぎ、愛媛県内で最も高齢化が進んでいる久万高原町の活性化を図るのが夢だ。「いつか日本のモルックの聖地と呼ばれるようになりたいと本気で思っているんです」と言う武山さんの言葉にメンバー全員が笑顔で頷く。大きな夢に向かって「山と森とモルック」の挑戦は始まったばかりだ。





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