四万十川の中流域に位置する高岡郡四万十町。戦後は4万人ほどの人口を有したこの地域も、少子高齢化に伴って現在は半数以下に。他の地域同様に中心市街地にある商店街も空き店舗が目立つようになってきた。そんな市街地に賑わいを取り戻したいという思いで地元の商工関係者や県外からの移住者によって結成され、多様な価値観を取り入れた地域活性化を目標とする「しまんと街おこし応援団」の活動を紹介する。
古書やアートから始まる
街を訪ねるきっかけづくり
一般社団法人 しまんと街おこし応援団

賑わいを取り戻すため地域の人たちが結束

「しまんと街おこし応援団(以下:応援団)」が結成されたのは2020年(令和2)4月。きっかけは、その前年に窪川地域中心市街地の活性化を目指して集ったワーキンググループだった。それまでもさまざまな取り組みをしてきた四国霊場37番札所岩本寺の窪博正(くぼひろまさ)住職を筆頭に、年齢層も職業もさまざまな人たちが集い、意見を交わしてきたという。そんな中、東京との二拠点生活を送る石坂俊之(いしざかとしゆき)さんが提案したのが「古書のまちづくり」。「古書の聖地」と呼ばれ年間100万人もの人が訪れるという人口1,500人ほどのイギリスの小さな町を参考に、古書による街おこしに取り組むことに。窪住職や石坂さん、地元の若手商店主などを中心とした「応援団」が結成された。
「まずは街の中に人を呼び込むことが目的。最初は些細なきっかけでも、その時に興味を持ったことがあれば、二度、三度と足を運んでくれる」と話すのは窪住職。まず集まってもらうためには、あっと驚くような取り組みがいいと、多様な活動を行うことに。本をきっかけとして交流を生む古書ツーリズム『しまんと古書街道』の他に、幅広い文化芸術の愛好家に表現の場を提供する『じゆうなアトリエ』、地域住民が一体となって遊べるようなイベントを設ける『まちあそび』の3つを中心に活動する。「商店街が元気だったあの頃の賑わいを取り戻せたら」という窪住職と、東京とのつながりが深い石坂さんの幅広いアイデアに加え、地元住民もそれぞれやりたいことを持ち寄り一緒になって考える「楽しいまちづくり」がスタートした。




(左)遊芸庵店:宗教・哲学 (中)あたりや店:各種本 (右)あっと本町店:漫画






全国から6万冊が寄贈「古書のまち」への第一歩
核となる『しまんと古書街道』は、商店街の空き店舗を借り上げて、それぞれテーマ性を持たせた古書店を幾つかつくることで街を巡ってもらおうという取り組み。2020年7月に1号店となる「あっと本町店」がオープン。現在は3店舗を展開する。店頭に並べる古書は、本で街おこしがしたいという呼びかけに応えて全国から寄贈されたもの。「今では6万冊を超えて、倉庫の確保や本の整理に四苦八苦するほど」と石坂さんは笑う。これまでは本を集めることを活動の中心としていたが、今後は3店舗それぞれテーマに沿った店舗にしていくという。
取材に訪れた今年3月は、ちょうど結成3周年に合わせて各店舗を改装しているタイミング。岩本寺の休憩所内に設けられた「遊芸庵店」は、仏教をはじめとする宗教書、哲学書などの図書館に。「あっと本町店」には漫画を中心に集め、子どもたちに店長を任せる計画だという。
また、アートやイベント開催にも力を入れている。以前は玩具店だったという「あたりや店」は、『じゆうなアトリエ』活動の場としても利用。改装中の3月末には子どもたちを集め、県外アーティストとともに身体全体を使ってアートを制作した。四万十町の産品やグルメなどを集結させたイベント「しまんとマルシェ」は、『まちあそび』活動のひとつ。地域の子どもたちが関われる企画を盛り込むなど、さまざまな活動を通じて地域活性化に取り組んでいる。
「これまでコロナで活動しづらかった分、しっかり準備できた。今年度からが本格始動です」と微笑むのは、事務局を担う吉岡いつかさん。商店街には老舗旅館なども点在することから、古書店をぐるっと巡ったあとは宿泊もしてもらえる街になればと夢がふくらむ。今後はインバウンド向けの観光ツアーやアートイベントなどもやっていきたいという「応援団」。あっと驚くような活動を応援したい。








お問い合わせ
住所 | 高知県高岡郡四万十町本町2-1 |
---|---|
電話番号 | 080-8635-2571 |
URL | https://shimanto-oendan.site |
住所 | 高知県高岡郡四万十町茂串町9-215-13 |
---|---|
電話番号 | 0880-29-6030 |
住所 | 高知県高岡郡四万十町本町2-1 |
---|---|
電話番号 | 080-8635-2571 |
住所 | 高知県高岡郡四万十町本町3-15 |
---|---|
電話番号 | 080-8635-2571 |