徳島市中心部からほど近く、
かつては物流拠点として栄えた「万代(ばんだい)中央ふ頭」。
港の機能が移転したことを機に時代から取り残されてしまった倉庫群と水辺の空間に着目したのが「NPO法人 アクア・チッタ」。
2005年(平成17)の設立以降、ふ頭を管理する県に倉庫以外も利用できるよう働きかけ、商業施設などを誘致した。
賑わいのある水辺の街づくりのために奔走し続ける団体を取材した。
古い倉庫街を再生した
人が集う水辺の街
NPO法人 アクア・チッタ

寂れてしまった倉庫街をさまざまな用途で活用
徳島市の中央を流れる新町川の下流にある「万代中央ふ頭」は、県庁から歩いて5分ほどの好立地にあり、1990年代までは貨物を取り扱う船や車で賑わっていた。だが貨物船の大型化とともに港の機能は水深のある沖洲(おきのす)地区などに移転。1999年(平成11)には貨物の取り扱いがなくなり、東西約500mにわたって倉庫だけが残された状態になった。倉庫街の立地や大きな空間に惹かれ、オフィスを移転できないか模索する企業もあったものの、県の条例で倉庫以外の用途には使えないという状況。そこで2005年(平成17)、この倉庫街を再生したいという徳島市内の経営者11人が集まり、「NPO法人 アクア・チッタ(以下:アクア・チッタ)」を設立した。事務局長となった岡部斗夢(とむ)さんは、その数年前まで東京の映像制作会社に勤務。東京湾の倉庫街で行われた世界の一流ブランドのパーティーに参加した経験などから倉庫の活用に可能性を感じていたという。
今では全国的に見られる倉庫リノベーションだが、当時はまだ浸透していない時期。だが「無骨な倉庫に照明や装飾を施すと、お洒落な空間になる」と確信していた「アクア・チッタ」のメンバーは、まずは地域に溶け込もうと月1回の定期清掃から活動をスタート。同時に、水辺の空間を活かしたイベント「アクア・チッタフェスタ」を毎年行うなど、知名度を高めることにも尽力した。
熱心に活動する「アクア・チッタ」メンバーの姿に倉庫の所有者らも賛同。ふ頭を管理する県にも、次第に活動を支援する動きが生まれた。2011年(平成23)から2年間、倉庫以外の用途で誘致を行う実証実験を経て、2013年(平成25)ついに用途規制が緩和された。





人々が集い始めた水辺をさらに心地よい空間へ

規制緩和に続いて、街灯の設置や施設改修の補助制度などの支援策が講じられた。また、県と倉庫所有者、利用者によって「万代中央ふ頭にぎわいづくり協議会」がつくられ、景観を守るためのルールもできた。入居したいと希望する事業者が自然と増え、ライフスタイルを演出するインテリアショップやお洒落なカフェが入ったことで、若者やファミリー層を中心に多くの人たちが水辺の街に集まるようになった。
「大きな資本が入らなくても思いを同じくした事業者が集まれば、街は生まれ変われる」と実感した岡部さん。人を呼ぶための機会を設けなくても街自体の魅力で人が集まるようになってきたことから、設立時から15年にわたって続けてきた「アクア・チッタフェスタ」を2019年(令和元)で一旦終了。翌年、NPO法人として次はどんな展開をしていこうかと考えていた時にコロナ禍を迎えたが、倉庫という大空間、水辺の開放感からか訪れる人たちは減らず、価値観の変容に伴って出店したいという入居希望者が増加。この3年間で8事業者が増え、今では計33の事業者が集まる街になった。そこで、街を回遊できるような仕掛けをつくろうと、全国のコーヒー店を集めたイベントやライトアップを企画。そういった活動が新たなライフスタイルに合った街づくりの事例として注目されるようになった。
「自分たちとしては好きなことを楽しんでやっているだけ。再生しなきゃと気負いすぎていたら続いていなかったかも」と話しながら倉庫街を案内してくれる岡部さんに、あちらこちらの店舗スタッフが声をかける。『アクア(水)』『チッタ(街)』をつくろうとスタートした取り組みは、水辺の街としての魅力をさらに高めるため、次なるステップに踏み出していく。







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住所 | 徳島県徳島市万代町5丁目71-4 |
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