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ジャンピングふるさと  外国人視点で魅力を伝える 木頭地区の「次なる章」 外国人視点で魅力を伝える 木頭地区の「次なる章」
「ゲストハウスの仕事でも、映像の仕事でも、地域と密接につながっていると実感することが多い」と話すタイラーさん(左)とアルリックさん

外国人視点で魅力を伝える
木頭地区の「次なる章」

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今回の舞台は、徳島県南部にある那賀町の最奥地、木頭地区。
高知県との県境にあり、1,000m級の山々に囲まれた自然豊かなエリアは、
人口1,000人ほどの過疎地域でもある。
昨夏、この地にオープンしたのが、ゲストハウス「ネクストチャプター」。
二人の外国人クリエイターが運営を担う木頭地区の新たな拠点を紹介する。

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前庭も整備し、改修前からは想像もつかない姿に生まれ変わったゲストハウス

地域と外国人をつなぐキーパーソンとして移住

徳島県の霊峰・剣山の南麓に位置する木頭地区。昨年8月、まるで外国の絵本から飛び出してきたような2階建てのゲストハウス「ネクストチャプター」が誕生した。1990年代以降空き家だった元旅館が、リノベーションによって驚くほどモダンな雰囲気の建物に生まれ変わった。このゲストハウスを運営しているのが、アメリカ・カリフォルニア出身のタイラー・ワキさんとノルウェー出身のアルリック・ファレットさん。ゲストハウスを運営しつつ、映像・音楽クリエイターとしてもさまざまな作品を手がけている。

二人が木頭地区に移住したのは2020年(令和2)2月。その前年、三好市祖谷地区にある観光施設で仕事をしていたタイラーさんが、木頭地区再生のために設立された「KITO DESIGN HOLDINGS (以下:KDH)」の代表、藤田恭嗣(ふじたやすし)さんと出会ったのがきっかけだった。「KDH」は、今や世界的に注目が集まる「未来コンビニ」などを手がける会社。木頭地区の魅力を海外に発信できる人材を探していた藤田さんからの「僕の故郷である木頭に住んで、映像作品を作ってくれないか」という誘いに、地域の活性化に一役買えるなら面白そうだと感じたタイラーさん。祖谷で出会って以来、一緒に動画制作を手がけてきた友人、アルリックさんにも声をかけた。ノルウェーで音楽制作などを行ってきたアルリックさんとは、お互いに日本が好きなこと、大自然に魅力を感じるという点ですぐに意気投合したという。ワーキングホリデー制度を使って祖谷のゲストハウスで働いた後、ノルウェーに帰国中だったアルリックさんは「徳島の自然豊かな地域で働けるのならぜひ」と快諾。ともに木頭地区へと移り住んだ。

古い旅館全体をリノベーション。骨組みをはじめ階段や床材など活用できるものは残しつつ、モダンなスタイルへと変容させた。右は改修前の旅館の様子
古い旅館全体をリノベーション。骨組みをはじめ階段や床材など活用できるものは残しつつ、モダンなスタイルへと変容させた。下は改修前の旅館の様子

滞在をきっかけに移住希望者が増えれば

年々過疎化が進む木頭地区には、商業施設や金融機関はもちろん、宿泊施設もほとんどない。木頭地区に住み始めてすぐに「ゆっくり滞在すれば、自然を満喫でき地域の人とも交流できる。気軽に滞在できる宿泊施設があればもっとここの魅力を知ってもらえるのに」と二人は感じるようになった。そこで、動画制作や情報発信の仕事と並行しながら物件探しに奔走。ゲストハウス運営の経験を持つアルリックさんの主導で、使われなくなった旅館を改築するゲストハウスプロジェクトを始動した。アルリックさんのデザインをベースにして、地元の大工さんに作業を依頼。解体やペンキ塗りなどの手伝いからドミトリーのカーテン製作まで二人で行い、理想のゲストハウスを造り上げていった。

プレオープンを経て、2022年(令和4)夏にグランドオープンを遂げた「ネクストチャプター」。これまでこの地域に受け継がれてきた物語を次の世代につなげていきたいという思いを込めて“次章”と名づけた。これまでに、剣山スーパー林道を走るツーリング客や実家に帰省してきた家族、仕事で木頭地区を訪れる人、リモートワークの拠点として滞在する人まで、幅広い層が利用。今年に入ってからはアジアやヨーロッパなど海外からも宿泊客が訪れるようになった。「憧れを抱くような映像を発信して訪れる人を増やしたい」と話すタイラーさんと、「何度も訪れるうちに木頭を気に入って移住する人もいるはず」とアルリックさん。二人も年々、この地域への愛着が深まっているという。

歴史や伝統を大切にしながらも新しいものを受け入れ、さまざまなプロジェクトによって少しずつ活気を取り戻している木頭地区。新たな取り組みが広がる地域で、ゲストハウスを舞台とした次の章の幕は上がった。

01_ゲストハウスの中は、居心地の良いカフェのような雰囲気。思い思いに過ごせるようにデザインされている
02_窓に面したカウンター席でリモートワークもできる
03_キッチンも完備。自炊を楽しめるのもゲストハウスならでは
04·05·06_仕事で訪れた際や帰省の際にも利用してほしいと一人から宿泊できるスタイルに。気軽に旅をしたくなる価格帯も旅行客に好評
那賀町中心部から木頭地区までは約50㎞。奥まった地域を活性化するための取り組みは続いていく

お問い合わせ

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住所 徳島県那賀郡那賀町木頭出原マエダ18-1
URL https://www.nextchapterkito.com
メール nextchapterkito@gmail.com