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ジャンピングふるさと  外国人視点で魅力を伝える 木頭地区の「次なる章」 外国人視点で魅力を伝える 木頭地区の「次なる章」
第16回大会優勝は鳥取城北高等学校。選手一人ひとりがアカペラで自分の弱さとそれを乗り越えた先の強さを歌いながら、力強く言葉を紡いでいく姿に会場は感動に包まれた

高校生主体でつくり上げる
華やかな書道の甲子園

書道パフォーマンス甲子園

江戸時代の中期から約300年もの間、地場産業として紙づくりに取り組んできた日本一の紙のまち・四国中央市。「お札と切手以外ならなんでも揃う」といわれるほど紙の種類は多種多様だが、その中でも、書道用紙は全国シェアの7割を誇るといわれている。そんな四国中央市で2008年(平成20)にスタートしたのが「書道パフォーマンス甲子園」。地域を盛り上げようと始まったイベントは、今では全国の高校書道部員たちの「夢の舞台」。その陰で地域のために主体的に活動し、華やかな舞台を支える「高校生ボランティア」たちの姿を取材した。

日本一の紙のまちで生まれた「夢の舞台」

「書道パフォーマンス」の歴史は、愛媛県立三島高等学校書道部員たちが「書道で四国中央市を盛り上げよう」と地域のイベントで大きな紙に詩などを揮毫(きごう)したことに始まる。高校生たちの取り組みを知った地域の人たちの手により、2008年(平成20)「四国中央紙まつり」のイベントの一つとして「書道パフォーマンス甲子園(以下:大会)」が開催された。第1回大会の出場校は3校。翌年の第2回大会は5校だったが、2010年(平成22)に大会をモデルにした映画が公開されたことで知名度が上がり、全国に「書道パフォーマンス」という文化が広がっていった。

大会では、縦4m×横6mの統一用紙を使って競い合う。高校生が伝えたい思いや表現したいことを自由に言葉やパフォーマンスに込め、さまざまな字体を使って揮毫していく。1チーム12人以内で制限時間は6分。書道としての美しさや紙面構成、筆の運び方などを審査する“書道部門”と、書く際の姿勢の美しさ、演技のストーリー性や独創性、チームの一体感や身体表現などを審査する“パフォーマンス部門”に分け、それぞれの部門で審査を行う。

大きな舞台の上でスポットライトを浴び、音楽に合わせて、時にダイナミックに、時に繊細に作品を作り上げていく「書道パフォーマンス」は、書道の印象を一変させた。テレビなどで取り上げられる機会も増え、大会には大勢の観客が訪れるようになり、回を重ねるごとに全国的なイベントとして定着。大会に憧れて書道に取り組み、出場を目指して練習に打ち込む高校書道部も増えていった。第10回大会を迎える頃には、申込校は100校を超えるようになった。

今年7月23日に開かれた第16回大会の申込校は、北は青森県、南は鹿児島県までの107校。そのうち予選を勝ち抜いた21校が、四国中央市の中心部にある伊予三島運動公園体育館に造られた特設ステージで、華麗に演技を競い合った。

参加した全国の書道部員たちが、磨き上げたパフォーマンスと作品で競い合う。会場を包み込む熱気は、まさに書道の甲子園だ
写真提供:書道パフォーマンス甲子園実行委員会

スポットライトの陰に運営を担う高校生の姿

大会当日、緊張の面持ちで自分たちの出番を待つ書道部員の横で、えんじ色のTシャツを着た高校生たちが真剣な表情で舞台を見つめていた。彼らこそが運営スタッフとして大会を支える「高校生ボランティア」だ。そのうち、市内の高校に通う40人は「高校生企画員」として事務局とともに昨年末から大会準備に参加。地元の紙産業を取材したり、愛媛県知事を訪問したり、県内各地のイベントに出向いたりと、大会の周知活動を行ってきた。今年3月には、本大会が地域の個性を活かしたユニークなイベントに贈られる「ふるさとイベント大賞(選考委員特別賞)」を受賞。高校生たちが主体的に運営に携わり、大会の大きな力となっていることも評価につながった。

大会1週間前には市内の「高校生ボランティア」128人がそれぞれの持ち場に分かれ、当日の役割を確認。「地元でこんなに大きな大会が開かれるのだから、何かの役に立ちたかった」「全国大会の緊張感は自分も経験がある。私たちがサポートをするので選手のみなさんには演技に集中してもらいたい」と笑顔を見せる。大会前日には「大会に出られないなら、せめてボランティアとして参加したい」と名乗りを上げた予選敗退校の生徒や、今年から大学生もボランティアに参加できるようになったと聞き茨城県から駆けつけた大学生も合流。前日のリハーサルで流れを確認し、それぞれが選手同様に緊張しながら当日を迎えた。

当日は、選手の誘導や舞台袖でのサポート、演技終了後の舞台上の清掃から作品の搬出、全国から訪れる観客のおもてなしなど、多岐にわたる役割を果たした。早朝から続いた運営が終わったのは午後6時過ぎ。終了後、大会を支えた「高校生ボランティア」全員が達成感でキラキラと輝いていた。

次のチームの書道用紙が汚れないよう、演技が終わるたびに舞台上に駆け寄り雑巾がけを行う
各校の演技の間に、素早く舞台を整えるのも高校生ボランティアの役割。舞台から目を離さず、その時を待つ
書き終えた作品を汚したり傷つけたりしないように細心の注意を払いながら保管場所へと向かう
大会出場21校それぞれのプラカードを持ち誘導するのも大切な役割。何かアクシデントがあって演技に影響してはいけないと前日から何度も確認したという
大会のオリジナルグッズを販売するのも高校生。地域の特産品販売ブースのお手伝いも

お問い合わせ

書道パフォーマンス甲子園実行委員会事務局
(四国中央市教育委員会事務局 文化・スポーツ振興課 書道パフォーマンス甲子園振興室内)
住所 愛媛県四国中央市三島宮川4-6-55
電話番号 0896-28-6037
メール info@shodo-performance.jp