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ジャンピングふるさと
丸亀市が好き、着物好きという共通項で結ばれた仲間同士、和気あいあいとした雰囲気も魅力。メンバーは8人で、右から目黒美幸さん、岩崎里佳子さん、横山さん、福田煕子(ひろこ)さん、石川ひかるさん、藤田侑加さん。八木頴(えい)さんは残念ながらこの日は欠席

「城のある町」を華やかに
着物で彩るMs.たちの挑戦

WillMs(ウィルミス)丸亀

香川県中西部に位置する丸亀市は、高松市に次ぐ香川県第二の都市。中・西讃地域の中心都市である丸亀市だが、2010年(平成22)以降の人口は減少傾向。中でもJR丸亀駅周辺エリアでは空洞化現象が起きていた。かつてはにぎやかだった駅前が寂れていくのを目にして「自分たちにもできることがあるはず」と立ち上がったのが「WillMs(ウィルミス)丸亀」。丸亀市の市制100周年の1999年(平成11)に、ミス丸亀として観光振興の一翼を担っていた横山純果さんを中心に、着物が好きなメンバーで華やかに丸亀を盛り上げようという活動を取材した。

WillMs(ウィルミス)marugame(まるがめ)

お城と城下町。風情ある観光資源を活かしたい

「久しぶりに商店街を通った時に、丸亀の駅前ってもっとにぎやかじゃなかった?と驚いたんです」。小学生の頃に家族で丸亀市へと引越してきて以来、丸亀市で育った横山純果さん。就職した年には、丸亀市の観光振興を担う「ミス丸亀」として1年間活動していた。その後結婚し、夫の転勤でしばらく丸亀市を離れていた横山さんが地元商店街の様子を久々に目にしたのは、2014年(平成26)のこと。学生時代に通っていた商店街のにぎやかな様子とは全く異なり、シャッターばかりが続いていることに衝撃を受けたという。県外で観光資源を大切にしている都市での生活を経験したこともあり、「丸亀市にはせっかくお城をはじめとする観光資源があるのに…」と残念な気持ちを抱いていた横山さんだが、次第に「丸亀市のまちを元気にする手伝いができないだろうか」と思うようになった。地元での生活や仕事にも慣れてきた2017年(平成29)、「自分と同じように丸亀市の親善大使として活動していた人たちと協力すれば何かできそう」と思い立ち、これまで「ミス丸亀」「丸亀市観光親善大使」として活動していた人たちに市役所を通じて連絡した。過去20年ほどの間に観光振興に携わった13人と連絡が取れ、何ができるか考えようと、会合を開いた。「丸亀市を盛り上げるためなら」と賛同するメンバーとともに同年11月、横山さんを会長とする市民団体「WillMs丸亀」をスタートさせた。

丸亀市の市民交流活動センター「マルタス」スタッフの酒井さん。市民団体として活動登録した当初から相談はもちろん、裏方のスタッフとしても協力してくれる心強い存在に
今年加入した森髙紗季さん。学生時代から丸亀市を盛り上げる活動をしており、現在は市内で洋服と小物のセレクトショップを経営

しなやかに楽しみながら自分たちらしい取り組みを

まず初めに取り組んだのが「月菜汁」の普及。「月菜汁」とは、丸亀市の市制100周年記念で歌手のさだまさしさんが作った「城のある町」の歌詞に出てくる架空の食べ物だ。丸亀市の学校給食に年に1回は登場するものの、決まったレシピはないことから、知る人ぞ知る名物となっていた。観光資源として、もっと広めたいという思いでオリジナルレシピを創作。地元の方が手作りした白みそや地元で採れた野菜を使用した「月菜汁」を、毎年「丸亀城ナイトフェスタ」などのイベントで振る舞っている。

また、「城下町である丸亀市ならではの景色を大切にしていきたい」という思いから、和の風情あふれるイベントも企画。浴衣でまち歩きを楽しむイベントを開催した際には、浴衣を着た来場者が数多く訪れたという。コロナ禍により、2020年(令和2)以降は大々的なイベントを自粛したものの、2021年(令和3)には、丸亀城をバックに竹あかりを灯すイベント「丸亀城宵あかり」を開催。また、商店街にある呉服店の協力のもと、商店街や城などでメンバーによる着物姿の撮影会を定期的に行っている。

現在、「WillMs丸亀」の主要メンバーは8人。年齢も職業もさまざまだ。横山さんたちの楽しそうな雰囲気に惹かれて「自分も参加したい」と連絡をくれる女性も増えてきた。「表に出るのは苦手だからと裏方を手伝ってくれる協力メンバーもいて、とても助けられています」と横山さんは笑顔を見せる。

それぞれが連携し、仕事や家事の合間をぬって協力し合い、自分にできることに取り組む「WillMs丸亀」のメンバーたち。明るく、美しく、心癒やされる、竹あかりの光のように丸亀市のまちをやさしく照らし続ける。

「WillMs丸亀」の「月菜汁」は、満月を模した黄色い餅が入っているのが特徴。月菜汁にはこれという正解がない分、メンバーで意見を交わしながらレシピを創作したそう。2023年(令和5)9月に開かれた「丸亀城ナイトフェスタ2023」でも振る舞われた
2021年7月に主催したイベント「丸亀城宵あかり」。約2mの大きな竹灯籠を中心に大小約200基のあかりで彩られた。この活動に協力したいという声も多く、翌年からは「丸亀まちあかり」として開催されるように
JR四国の観光ツアー「四国家のお宝」では着物で華やかにお出迎えするなど、地域活性化に一役買っている
着物での活動を主とする「WillMs丸亀」の取り組みに賛同し、毎回着付けをしてくれる「絹工房かねちか」