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ジャンピングふるさと 地域おこししたい人、集まれ!まちづくりを担う人材を育成 地域おこししたい人、集まれ!まちづくりを担う人材を育成
2023年度の受講生と講師のみなさん。後列左端が吉田さん、前列左端が伊藤さん

地域おこししたい人、集まれ!
まちづくりを担う人材を育成

こうちみませ楽舎(がくしゃ)

高知県高知市では、2010年(平成22)をピークに人口は減少へと転じ、中でも沿岸部に位置する長浜・御畳瀬(みませ)・浦戸地域は10年早く人口減少が進んでいる。人口減少と少子高齢化によって地域のコミュニティが衰退することを懸念した住民と高知市は2020年(令和2)、長浜・御畳瀬・浦戸地域振興計画を策定。地域活性化のために活動する人材を地域内外から育てるため、地域おこし学校「こうちみませ楽舎(がくしゃ)」を立ち上げた。閉校した小学校でさまざまな授業を行い、人材育成に取り組む新たな”地域の拠点”を取材した。

地域おこし学校 こうちみませ楽舎(がくしゃ)

活動する人を育てる「人づくり」の場

長浜・御畳瀬・浦戸地域は、南海トラフ地震の被害が想定されていることもあり、近年急激に人口減少が進んでいる地域。若年層の人口流出も多く、地域に3つあった小学校の一つ御畳瀬小学校は、児童の減少に伴って2012年(平成24)に閉校した。

豊かな食材や魅力ある景勝地など地域資源が豊富な地域とはいえ、減ってしまった人口を増やすのは難しい。今後、地域をどうしていくべきかという議論を経て、長浜・御畳瀬・浦戸地域振興計画(以下:振興計画)が策定された。「振興計画で決めた事業を実施するには、それを実行する人材が必要。まずは人材を育てる学校をつくろうということになった」と話すのは、地域振興に携わる高知市地域活性推進課長の松尾大樹さん。ちょうどその頃、旧御畳瀬小学校を活用してほしいという住民からの声も強くなっていた。そこで2020年、まちづくりをみんなで楽しみながら学び、そこから生まれたアイデアを形にしていく「学び」と「実践」の学校「こうちみませ楽舎(以下:みませ楽舎)」が誕生した。

「みませ楽舎」で学ぶのは、振興計画に登載された6方策15事業に関係する内容。特産品の開発や交流拠点の活用、伝統文化の継承など、授業のテーマに合わせて専門講師やアドバイザーを招き、参加者を募集する。「地域おこしをしたい、チャレンジしたいという熱意を持っていれば、居住地や年齢を問わず誰でも参加できます」と「みませ楽舎」の運営支援を行う地域活性推進課の近藤祥平さんは言う。地域の歴史を調べることから始まり、地域の魅力を実感し、学んだことを活かしてさまざまな形にアウトプットする。地域活性化を実践的に学べる内容に、地域内外から注目が集まった。

地域活性推進課長の松尾さん(右)と同課職員の近藤さん。移住関連イベントや地域の祭りに参加した時の様子

地域に興味をもち関わるすべての人を主役として

一年間のプレ開校を経て、本格開校した「みませ楽舎」。毎年秋から冬にかけて、月に2回のペースでさまざまな内容の教室を開く。2021年度は、新たな特産品の開発や地域らしさを盛り込んだカルタづくりなどの教室を開催。2022年度からは、一人ひとりが主体的にテーマを設け、実際に実現するまで取り組む「プレミアムクラス」もスタートした。同年4月には、この地域の活性化をサポートする地域おこし協力隊として着任した吉田友一さんと伊藤明子さんが「みませ楽舎」の運営に携わるようになった。

昨年に開催した教室「アウトドアファシリテーターになろう(全6回)」には、地域内外から10名の受講生が参加。幅広い層の受講生にファシリテーションを身に付けてもらうために、なじみのあるアウトドアと組み合わせ企画した。「ファシリテーションと言っても理解しにくいので、アウトドアというテーマに興味をもってまずは参加してもらう。その中で思いを伝え合うためには、どう場をつくっていけば良いかを直感的に理解してもらえれば」と講座を企画した吉田さんは話す。「みませ楽舎」の受講生は初めて顔を合わせた人がほとんどだというが、和気あいあいと打ち解けあった雰囲気。それぞれの個性を大切にしつつ、誰もが参加しやすいようにサポートするのが伊藤さんの役割だ。

地域外から来た人は活動する中でこの地域を好きになり、地域に長く住む人は新しい視点を知ることで改めて良さに気付く。それが地域を活性化する原動力になる。最近では「みませ楽舎」を卒業した受講生たちが継続的に「みませ楽舎」に関わりたいと、自主的に活動するグループを結成した。”まちづくりは人づくり”。それを実践する舞台で、全員が主役となるまちづくりは続いていく。

アウトドアとファシリテーションのスキルが学べる教室を開催。取材した日は全員でロープワークと火おこしを学んだ
01_まずは体全体を使った自己紹介から
02_ロープの結び方を教える専門講師の菊間彰さん(左)
03_全員でロープを使いタープを張ってみる
04_校庭に出て火おこしを学ぶ
05_おこした火を使ってアウトドアクッキング
昨年は、毎年2月に行われるマルシェ「こじゃんと!ゆり海道」で「元親武者ムシャバーガー」を販売。今年も同イベントで販売予定
2021年度の「ご当地バーガーづくり教室」で開発した「元親武者ムシャバーガー」
2021年度の「地域のストーリーづくり教室」から生まれた「こうちここらへんかるた」(右)。昨年11月に開催された地域の祭りでは、このかるたを使ったかるた大会が行われた
さまざまな授業の中で、楽しみながら作った成果物やイベントの様子などを常時展示している

お問い合わせ

高知市地域活性推進課
住所 高知県高知市本町5丁目1-45
TEL 088-823-8813