日本三大和紙の一つといわれ、国指定の伝統的工芸品である土佐和紙。高知県は仁淀川をはじめとする清流に恵まれ、原料を生産しやすかったことから和紙づくりが発展しました。その丈夫な品質で重宝されてきた土佐和紙ですが、需要の減少と従事者の高齢化に伴い、原料の生産農家や手漉(す)きの工房は数軒を残すのみとなっています。
そんな中、2009年(平成21)に開催された「使える和紙展」をきっかけに、高知県のデザイナー4人が「土佐和紙プロダクツ」を始動。土佐和紙の新たな使い方を広げようと、地元で漉かれた和紙と、独特の立体感が生まれる活版印刷を組み合わせ、日常づかいしやすい商品を生み出しています。
土佐和紙プロダクツが最も大切にしているのは、思いを伝えられる商品であること。使う人が和紙を通じて相手にメッセージを届けることを意識し、一筆箋や原稿用紙などをラインアップしています。デザインは和紙そのものの風合いを生かしたシンプルな仕上がりに。活版印刷を施した領収書は素朴な雰囲気が魅力です。ご祝儀袋はあえて「耳(縁)」の繊維を残し、フリルのような華やかさを引き出しています。
今後は、余った和紙を漉き直して作る「漉き返し和紙」を用いた商品を増やしていきたいとも話す、土佐和紙プロダクツのメンバー。長く受け継がれてきた土佐和紙のありのままの魅力を生かしつつ、暮らしになじむものづくりを進めています。