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黒藤川発電所 営業運転開始 〜約35年ぶりの水力発電所新設〜 ~

愛媛県上浮穴郡(かみうけなぐん)久万高原町で建設を進めてきた、

水力発電所「黒藤川発電所」が2025年3月に営業運転を開始しました。

四国電力としては、1989年に運転を開始した柳谷発電所以来、約35年ぶりに水力発電所を新設いたしました。

当発電所の建設をはじめ、四国電力ではカーボンニュートラル実現に向け、

発電時にCO2を出さない再生可能エネルギーの導入・拡大に積極的に取り組んでいます。

今回は、工事のあゆみや発電所の特長、工事に携わった担当者の声などをご紹介します。

新しい水力発電所「黒藤川発電所」はどういうところ? 新しい水力発電所「黒藤川発電所」はどういうところ?

水資源が豊富な一帯に位置する黒藤川発電所。石鎚山を源とする仁淀川水系の前川から取水しています。

「黒藤川発電所」という名前は立地する地名に由来。地域に根差し温もりあふれる発電所となるようにという想いを込め、地元木材の久万杉を建物の構造材や内装材に活用しています。

愛媛県久万高原町、至 松山市、取水ダム、水路、前川、
仁淀川、黒藤川発電所、面河第一発電所、面河水力センター、面河第二発電所 
柳谷発電所、面河第三発電所、国道33号、至 高知県、面河第三ダム、柳谷ダム 愛媛県久万高原町、至 松山市、取水ダム、水路、前川、
仁淀川、黒藤川発電所、面河第一発電所、面河水力センター、面河第二発電所 
柳谷発電所、面河第三発電所、国道33号、至 高知県、面河第三ダム、柳谷ダム
水力発電はどういう仕組みなの? 水力発電はどういう仕組みなの?
取水口、水路、発電機、
取水ダム、水車

水が高いところから低いところに流れ落ちる際の力を利用して水車を回し、水車につながっている発電機を回して発電しています。

水力発電には、「自流式」「揚水式」「貯水式」の3種類あり、黒藤川発電所は川の流れをそのまま利用する「自流式」の水力発電所となります。

黒藤川発電所の設備をご紹介! 黒藤川発電所の設備をご紹介!
発電所全体はこのような構図です!、取水ダム、水槽、水路トンネル(約580m)水圧管路(約1,310m)発電所、取水ダム、水圧管路、発電所、
河川から水を取り入れるために設置したコンクリート構造物。川の流れをせき止めて水位を上げ、取水口から水を取り入れています。
取水ダムから水路トンネルを通ってきた水を、発電所内にある水車へ導く管路。この中を、最大で毎秒1.55トン(車1台分くらいの重量)の水が流れています。
水車と発電機が設置されている発電所(最大出力:1,900kW)。四国電力としては初めてとなる「ターゴインパルス水車」を採用しました。
写真で振り返る!~新設工事のあゆみ~ 写真で振り返る!~新設工事のあゆみ~
取水ダム
2023年、4月、工事開始
経済性の観点から、河川流量が豊富で、かつなるべく川幅が狭い地点を選定しました。
2023年、5月、右岸側ダム構築
瀬替え(川の流れをせき止めて別の場所に流れを作ること)を行いながら、取水ダムを分割して構築していきます。
2024年、1月、岩盤の確認
長期的な安全性と機能性を確保するため、基礎となる岩盤の状態を確認しました。
2024年、4月、完成
ダムの構築完了後、取水量を調整する装置や制水ゲートなどの機械設備の試験調整を行いました。
水車・発電機
2024年、3月、工事開始
敷地の造成および発電所建屋の建設が完了したことから、水車および発電機の据付を開始しました。
2024年、6月
発電機の裾付
発電機は主要電機設備の中で最大重量の設備。据付時には、他の機械に当たらないよう、8mm程度のわずかな隙間を確認しながら慎重に据え付けました。
ランナの裾付
当社で初めてしたターゴインパルス水車の心臓部であるランナ(水車タービン)を据え付けました。
2025年、3月、完成
安定運転できるよう数十項目におよぶ試験を一つひとつ実施し、安全性を確認。無事、営業運転を開始しました。
担当者の声

水車や発電機など主要電気設備の工事管理・品質管理を担当しました。ターゴインパルス水車は当社が初めて採用する水車であるため、参考資料が少ないなかメーカーと綿密な協議を重ね、製作・据付し、無事営業運転することができました。
発電所新設時に発生するさまざまな課題について、関係者とともに原因究明と対策を繰り返し行い、着実に前進することで、一般的な工事業務では得ることができない貴重な経験を重ねることができました。



愛媛支店 技術部
水力電気課 平家 祐輝
(へいけ ゆうき)


愛媛支店 技術部
水力電気課 平家 祐輝
(へいけ ゆうき)

土木構造物の工事管理・品質管理を担当しました。
入社後初めての建設現場であったため、初めて扱う種類の図面が多く、それらの読み方や使い方、また現場で作業が予定通り進んでいるか等の確認に非常に苦労しました。その一方で大きなやりがいも感じました。電源開発工事に携わらせていただき、唯一無二の経験ができたとともに、長い歳月を重ね形づくられた自然に対し、人が寄り添い、調和を見出す土木工事の壮大さに心を奪われました。



愛媛支店 技術部
水力建設チーム 真井 翔太郎
(まない しょうたろう)

土木構造物の工事管理・品質管理を担当しました。
入社後初めての建設現場であったため、初めて扱う種類の図面が多く、それらの読み方や使い方、また現場で作業が予定通り進んでいるか等の確認に非常に苦労しました。その一方で大きなやりがいも感じました。電源開発工事に携わらせていただき、唯一無二の経験ができたとともに、長い歳月を重ね形づくられた自然に対し、人が寄り添い、調和を見出す土木工事の壮大さに心を奪われました。


愛媛支店 技術部
水力建設チーム 真井 翔太郎
(まない しょうたろう)

当社として取水設備から発電所まで一式を建設する水力発電所としては約35年ぶりの新規開発となる黒藤川発電所が、着工から約4年を経て、営業運転を開始しました。次々と発生する大小さまざまな課題を関係者一丸となって幾度も乗り越えながら、無事故・無災害で無事この日を迎えられたのは、従業員をはじめ本工事に関わった関係者のご尽力、久万高原町さまや地域の皆さまのご理解・ご協力によるものであり、心より感謝申し上げます。

引き続き、地域の皆さまに愛される発電所として環境教育の場などにご活用いただきつつ、安全・安定供給を継続し、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

愛媛支店 技術部長 田中 邦保(たなか くにやす)