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ジャンピングふるさと 高知県大川村
湖上で出会う村の過去と未来 大川村さめうら遊覧船
高知県最北部、四国の真ん中に位置する大川村。人口334人(2026年5月31日現在)の小さな村は、標高1,000メートル級の山々に囲まれ、村の中央には四国の水がめ・早明浦ダム湖が広がる。ここで2024年(令和6)から運航されているのが「大川村さめうら遊覧船」。美しい景色だけでなく、この村が歩んできた歴史や人々の思いを伝える遊覧船だ。
遊覧船運営は大川村ふるさとむら公社
「一般社団法人大川村ふるさとむら公社」は、人口減少が進む中で「大川村らしい村づくり」を進めようと、1985年(昭和60)に官民が一体となって設立した第三セクター。宿泊施設の運営をはじめとする観光振興のほか、山村留学や移住・交流、特産品開発など、地域資源を生かしたさまざまな事業を展開しながら村づくりの実行役を担ってきた。「大川村さめうら遊覧船」も、その歩みの中から生まれた取り組みの一つである。
上下流の交流が生んだ大川村の遊覧船
かつては鉱山の村として栄え、約4000人が暮らした大川村。1972年(昭和47)に白滝鉱山が閉山し、翌年に早明浦ダムが完成した頃から、村外へ出る住民が増えていった。その12年後に設立された「(一社)大川村ふるさとむら公社(以下、ふるさとむら公社)」は、約40年にわたり村づくりを進めてきた。
2001年(平成13)、ダムのある上流域と、その恩恵を受ける徳島県や香川県など下流域の住民や団体による「3001年の森づくり上下流(じょうかりゅう)交流会(以下、上下流交流会)」が始まった。行政や水資源機構、企業、市民ボランティアなど、ダムに関わる有志による豊かな森を残すための活動で、毎年春と秋に大川村を訪れ、植樹や下草刈り、枝打ちといった森林整備に取り組んでいる。この交流における中心人物の一人が、徳島市の「NPO法人新町川を守る会」理事長・中村英雄さん。「下流でダムの恩恵を受けてきたからこそ、上流の大川村へ恩返しがしたい」。そんな思いで25年以上、村へ通い続けてきた。
「大川村さめうら遊覧船(以下、大川遊覧船)」は、この上下流交流会のつながりから誕生した。使われている船は、2018年(平成30)に災害時の活用を想定してふるさとむら公社で購入したもの。代表理事である明坂健喜(たてき)さんは「遊覧船としても活用できればと考えていましたが、お客さまを乗せるためには安全管理や運航体制などの課題があったんです」と振り返る。そんなとき、長年NPO法人の活動で遊覧船を運航してきた中村さんが「自分の経験が役立つなら」と協力を申し出てくれたという。計画は大きく前へ進み、数々の準備を経て2024年、大川遊覧船は本格運航を開始した。
遊覧船でめぐる絶景と歴史
取材に訪れた日は、晴れ間が広がる夏らしい陽気だったが、湖面を渡る風は驚くほど涼しい。遊覧船が岸を離れ、切り立った山々の間を滑るように進むと、運転席の前に立った明坂さんの案内が始まった。
「ほら、あそこが小金滝です」。明坂さんが指さす先には、高い岩肌から勢いよく流れ落ちる滝。「高い位置にあるので道路から見るのは難しいんです。でもこの遊覧船からは見られるんですよ」とまるでお気に入りの場所を案内する少年のような口ぶりで紹介してくれる。
やがて船は、湖底に沈んだ旧役場付近へ。「ちょうど、この下ですよ」と、当時の写真を見せながら説明する明坂さん。景色を見るだけではない、45分間の乗船体験。初めて知る大川村の物語に、誰もが耳を傾けている。その横で操舵ハンドルを握る中村さんが「ダムができて助かったのは私ら下流に住んどる者なんです。だからこそ大川村の歴史を忘れないでほしいんですよ」とつぶやいた。
この日乗り合わせたのは、香川県から訪れた小学生の姉弟。4年生の弟は授業で水の大切さやダムの役割を学んだばかり。「夏休みの自由研究にします!」と元気に答えてくれた。手頃な乗船料金は「多くの人に大川村へ足を運んでほしい」という思いから。その願い通り、大川遊覧船は上流と下流をつなぐ学びの場にもなっている。
初夏には爽やかな風が湖を渡り、秋には山々が鮮やかに色づく早明浦ダム湖の風景。その中を颯爽と進む遊覧船は、四季折々の景色とともに、これからも大川村の歩みを伝え続ける。
大川村さめうら遊覧船 運営:(一社)大川村ふるさとむら公社
- 住所
- 高知県土佐郡大川村朝谷26番地
- 電話番号
- 0887-84-2201
- 運航期間
- 4月~11月の土曜・日曜・祝日(11:00、13:00、14:00、15:00 定時運航・各45分程度)
- 乗船場所
- 大川村役場前
- 料金
- 大人1,000円/中学生未満500円(村民無料)
- ホームページ
- https://okawafk.or.jp/
- https://www.facebook.com/dig.okawamura






