伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成14年10月分)
1.伊方2号機 タービン油冷却器冷却水系統手動弁の不具合について
10月1日10時30分頃、通常運転中の伊方2号機において、タービン油冷却器の冷却水系統の手動弁から異音があることを運転員が発見した。
調査の結果、当該手動弁の弁ハンドルと弁棒を連結する歯車のギア部が摩耗したため、ギア部による固定ができず、歯車が流体振動により振動して異音を発生させていた。
このため、流体振動により弁体が動かないよう、当該弁の駆動部に固定治具を取り付け固定し、10月3日18時40分頃、復旧した。
当該弁については通常運転中に開閉操作する必要がないため、この状態で運転を継続し、次回定検時、分解点検を実施することとする。
[タービン油冷却器] |
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タービン発電機の軸受部に供給する潤滑油を冷却するための設備。
当該手動弁は、タービン油冷却器の冷却水の流量を調整している温度制御弁を不調時に隔離するために設置されている弁。 |

2.伊方発電所における地震感知について
10月13日19時6分頃、愛媛県南予地方で地震が発生し、伊方発電所においても5ガルを観測したが、1,2,3号機とも異常はなく、プラントの運転に影響はなかった。
(参考)伊方発電所の観測ガル数 |
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1号機:3ガル
2号機:5ガル
3号機:5ガル |
3.伊方3号機 発電機水素ガス圧力検出回路の不具合について
10月18日11時17分、通常運転中の伊方3号機において、発電機内の水素ガス圧力の異常を示す信号が発信した。このため、現地に設置している圧力計を確認したところ、指示値に問題はなく、発電機内の水素ガス圧力は正常であった。
調査の結果、水素ガス圧力信号を中央制御室に伝送する回路の一部(安全保持器)の不具合と判明した。このため、当該安全保持器を新品に取り替え、10月28日14時、当該圧力指示値に異常のないことを確認し、通常状態に復旧した。
[発電機水素ガス] |
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発電機内(固定子、回転子)の冷却のため、機内に封入しているガス。
安全保持器とは、可燃性ガス系統を扱う電気系統に火花等が発生しないよう電圧・電流を制限する装置。 |

4.伊方1,2号機 発電機出力の変動について
10月28日13時50分頃、送電系統への落雷に伴う系統ショックにより、伊方1号機および2号機の発電機出力に有意な変動が発生した。
発電機出力の変動はいずれも短時間で収束し、プラントの運転に影響はなかった。
参考:落雷場所および変動幅 |
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落雷場所 |
1号機 |
2号機 |
大 洲 北 幹 線
(大洲市〜川内町) |
520MW〜572MW〜618MW
(-9.2%) (発生前後) (+8.1%) |
525MW〜573MW〜625MW
(-8.5%) (発生前後) (+9.2%)
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5.伊方1,2号機 発電機出力の変動について
10月28日18時45分頃、送電系統への落雷に伴う系統ショックにより、伊方1 号機および2号機の発電機出力に有意な変動が発生した。
発電機出力の変動はいずれも短時間で収束し、プラントの運転に影響はなかった。
参考:落雷場所および変動幅 |
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落雷場所 |
1号機 |
2号機 |
大 洲 南 幹 線
(大洲市〜川内町) |
515MW〜572MW〜609MW
(-10.1%)(発生前後) (+6.5%) |
530MW〜573MW〜610MW
(-7.6%) (発生前後) (+6.5%) |
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6.伊方1号機 グランド蒸気排風機の自動停止について
10月29日10時53分、通常運転中の伊方1号機において、グランド蒸気排風機の定期切り替えに伴い、グランド蒸気排風機Bを起動したところ、当該排風機の異常を示す信号が発信し、当該排風機が自動停止した。このため、運転中であったグランド蒸気排風機Aの運転を継続した。
当該排風機を点検したところ、排風機の吸い込み部に溜まり水が認められたことから、排風機の起動に伴い溜まり水を吸い込み、当該電動機の負荷が上昇したため、保護装置が作動して自動停止したものと推定した。このため、当該排風機の吸い込み部の溜まり水を抜き取った後、当該排風機を運転して異常のないことを確認し、10月30日15時10分、通常状態に復旧した。
[グランド蒸気排風機] |
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タービン軸封部に供給しているグランド蒸気の排気中に含まれる非凝縮性ガス(空気)を排気するための排風機。
(2台設置しており、通常1台を運転し、1台は予備。)
グランド蒸気とは、タービンの軸封部をシールするための蒸気。 |

7.伊方1,2号機 埋設ろ過水配管からの漏えいについて
10月29日13時55分頃、通常運転中の伊方1、2号機の純水装置エリアにおいて、ろ過水配管の取替工事に伴う掘削作業を実施していたところ、掘削場所付近の埋設ろ過水配管から漏えいがあることを作業員が発見した。このため、当該配管の隔離を行い、同日14時20分、漏えいを停止した。その後、当該配管を切断して閉止蓋を取り付け、漏えいのないことを確認し、10月30日13時30分、通常状態に復旧した。
今後、現在実施中のろ過水配管の取替工事にて当該配管部を新品に取り替えることとする。
[ろ過水] |
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ろ過水とは、町の水道水をろ過処理した水であり、所内用の水道水等に使用されている。 |

伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成14年9月分)
1.伊方1号機 充てんポンプパッキンリーク水戻り配管からの漏えいについて
○事 象
9月2日15時15分頃、通常運転中の伊方1号機において、充てんポンプCのパッキンリーク水戻り配管の溶接部からわずかな漏えい(5秒に1滴程度)があることを運転員が発見した。
このため、充てんポンプCを予備のポンプに切り替えるとともに、当該配管の隔離作業を実施し、同日20時08分、漏えいが停止したことを確認した。
その後、漏えい個所の配管を取り替え、9月7日13時30分、当該ポンプを運転して漏えいのないことを確認し、通常状態に復旧した。
○原 因
調査の結果、ポンプ運転に伴い、当該配管に振動による繰り返し応力が発生したため、当該部に疲労による割れが生じ、漏えいに至ったものと推定される。
○対 策
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当該配管のソケット溶接部を、より疲労強度に優れた曲げ管に変更するとともに、配管取り替え後の振動測定を行い、疲労強度に対して十分な裕度があることを確認した。 |
・ |
充てんポンプA、Bのパッキンリーク水戻り配管についても振動測定を行い、配管の振動値が疲労強度に対して十分な裕度があることを確認した。 |

2.伊方2号機 電動機内部温度記録計の不具合について
○事 象
9月6日8時2分、通常運転中の伊方2号機において、原子炉補機冷却水ポンプCの電動機内部の温度異常を示す信号が発信した。このため、原子炉補機冷却水ポンプCを予備のポンプに切り替えた。
点検の結果、当該電動機に異常はなく、電動機内部の温度を監視する記録計の入力回路(入力カード)の不具合と判明した。このため、当該記録計の入力回路を予備の回路に切り替え、同日11時35分、当該ポンプを運転して当該記録計に異常のないことを確認し、通常状態に復旧した。
○原 因
当該記録計の入力回路(入力カード)内の入力切替スイッチが不良となったことから、実際の温度とは異なる温度信号が出力され、「電動機内部温度高」警報が発信したものと推定される。
○対 策
・ |
当該電動機温度信号の入力を当該記録計の予備入力回路に切り替え、正常に記録されていることを確認した。 |
・ |
当該記録計は製造中止となっており、次回定検時に新型式に取り替える計画であったことから、計画どおり入力切替スイッチの対策(機械式リレーから長寿命の半導体式に変更)を施した新型式の記録計に取り替えることとする。 |

3.伊方2号機 制御用空気圧縮機の不具合について
○事 象
9月18日9時56分、通常運転中の伊方2号機において、制御用空気の圧力低下を示す信号が発信し、予備機である制御用空気圧縮機Aが自動起動した。現地を確認したところ、常用機として運転中であった制御用空気圧縮機Bが無負荷運転状態(圧縮空気を発生しない状態)であった。
点検の結果、当該圧縮機本体に異常はなく、当該圧縮機の制御回路の不具合により負荷運転状態(圧縮空気を発生する状態)にならなかったものと推定された。このため、当該制御回路を構成する部品(圧力検出器、リレー、電磁弁)を新品に取り替え、同日19時20分、当該圧縮機を運転して異常のないことを確認し、通常状態に復旧した。
○原 因
当該圧縮機の制御回路の構成部品(圧力検出器、リレー、電磁弁)の何れかに一過性の故障が発生して負荷運転状態とならなかったため、空気だめの圧力が低下し、予備機である制御用空気圧縮機Aが自動起動したものと推定される。
○対 策
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当該圧縮機の制御回路の構成部品(圧力検出器2台、リレー4台、電磁弁1台)を新品に取り替えた。 |
・ |
運転中の故障に対応するため、当該制御回路の構成部品の予備品を常備しておく。 |

4.伊方1号機 屋外埋設消火配管の損傷について
○事 象
9月26日11時55分頃、通常運転中の伊方1号機において、脱気器建家の新設工事に伴う杭打ち工事のための掘削作業を実施していたところ、誤って屋外の埋設消火配管を損傷し、消火用水が漏えいした。このため、配管を隔離して漏えいを停止した後、閉止蓋を取り付け、同日18時15分、仮復旧した。
その後、配管の取り替えを行い、10月28日、漏えいがないことを確認した後、通常状態に復旧した。
○原 因
当該配管は、平成2年度に現在の場所に移設されていたが、屋外埋設配管等の保守管理図面には移設情報が反映されていなかった。このため、杭打ち機の掘削用ドリルが消火配管に接触し、埋設配管を損傷した。
○対 策
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配管の取り替えにあたっては、脱気器建家の新設に伴う杭打ち個所に干渉しないよう、配管を新設して布設ルートを変更した。また、布設ルートの変更に伴い、損傷配管は使用しないこととした。 |
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昭和63年以降に実施した埋設配管工事の工事記録等を再調査し、保守管理図面に反映した。 |

5.伊方1号機 制御用空気除湿装置再生用送風機の不具合について
○事 象
9月28日19時39分、通常運転中の伊方1号機において、制御用空気の露点温度の異常を示す信号が発信した。現地を確認したところ、制御用空気圧縮装置A内の除湿剤を再生するための送風機のブロワが回転していなかった。このため、制御用空気圧縮機Aを予備機に切り替えた。
点検の結果、送風機用の電動機の回転力を伝えるプーリ(ベルト車)とブロワ回転軸を連結する固定キーが外れ、プーリが空回り状態となりブロワが回転しなくなっていた。また、プーリ内周面(回転軸との接触部)およびブロワ回転軸が摩耗していた。
このため、ブロワ本体を予備品に取り替え、9月29日3時40分、当該圧縮機を運転して異常のないことを確認し、通常状態に復旧した。
○原 因
プーリとブロワ回転軸を連結する固定キーを繰り返し使用したことにより、固定キーの接触部が摩耗し、組み立て時の打ち込み寸法が徐々に増加して固定キーの先端が打ち込み溝の端に接触した。このため、固定キーが十分に固定できず、運転に伴う振動により固定キーが脱落し、当該ブロアが送風不能となったものと推定される。
また、当該ブロワが送風できなくなったため、除湿剤の再生ができなくなり、異常を示す信号を発信した。
○対 策
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当該ブロワを予備品に取り替えた。また、今回取り外したブロワ本体は点検整備し、予備品として常備しておく。 |
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当該ブロワと同様に、固定キーを使用した構造を有する機器の固定キー打ち込み作業時は、固定状態の確認のため打ち込み寸法を管理して固定キーの脱落を防止することとし、作業要領書を改訂する。 |

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