伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成16年5月分)
1.伊方1・2号機 洗浄排水蒸発装置移送配管からの漏えいについて
5月1日14時30分頃、伊方1,2号機共用の洗浄排水蒸発装置からドラミングバッチタンク2Aへの移送配管の一部で水がわずかににじみ出ていることを保修員が発見した。このため、当該箇所をエポキシ樹脂にて補修し漏えいのないことを確認した。
その後5月7日、当該箇所の配管を取り替えた。
[洗浄排水蒸発装置] |
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管理区域内で着用した服を洗濯する際に発生する排水等を濃縮処理する装置で、濃縮処理された排水は、ドラミングバッチタンクに移送され一時貯蔵し、その後アスファルト固化装置でドラム缶詰めされる。 |

2.伊方1号機 送電停止について
5月19日10時00分、通常運転中の伊方1号機において、送電線へのしゃ断器が切れ、送電が停止した。
このため、1号機は出力が所内で消費する電力(約3万キロワット)まで自動的に低下し、その状態で運転を継続した。
原因を調査した結果、現在定期検査中の伊方2号機において、発電機と送電線を接続するGIS(ガス絶縁開閉装置)への取替作業で、新しいGISの試験中に、GIS回路の出力信号により、送電線保護リレーへの母線電圧信号が誤って接地されたため、送電線保護リレーが動作し送電が停止したことが判明した。
その後、原因となったGIS回路を切り離し、既設の送電線保護回路の健全性を確認したうえで、21時30分送電を再開した。

3.伊方2号機 余熱除去系統配管のひびについて
第17回定期検査中の伊方2号機において、5月20日9時30分頃、余熱除去系統の配管取替工事で、再使用する目的で切り取った弁の出入口付近の配管の健全性を確認するため、液体浸透探傷検査を実施したところ、1箇所で欠陥指示(微小な傷)が確認された。なお、当該配管からの漏えいは認められなかった。 |
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その後、外観詳細調査の結果、当該部において最大約6oの線状のひびや点状のひびが多数確認されたため、当該箇所の配管を切断して詳細調査を行った結果、 |
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ひびは配管外表面から発生し、深さは最大2.7o(配管厚さ8.3o)のところまで進展していた |
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金属組織の観察において、塩化物応力腐食割れの特徴である枝分かれした粒内割れが認められた |
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破面分析により、ひび割れ部に塩素が確認された |
ことなどから、ひびは塩化ビニールテープによる塩化物応力腐食割れと推定される。 |
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これまでの塩化物応力腐食割れの調査において、当該部では塩化ビニールテープ等の付着物は確認されていなかったことから、建設時に配管識別のために貼り付けたテープを、平成8年に行った当該部近傍の配管溶接部の供用期間中検査の際に除去したものと推定される。 |
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今後は、当該部の配管を取り替えるとともに、当該部と同様、塩化ビニールテープによる塩化物応力腐食割れが生じる可能性がある配管で、かつ過去にテープを除去した可能性がある箇所について、今回定検期間中に調査・点検を行うこととする。
なお、昨年6月に発生した1号機安全注入系テストラインのひびの水平展開として、現在、念のために点検を行っている、塩化物応力腐食割れの可能性はないが漏えいが発生すると原子炉の安全に支障を及ぼす系統および放射能を含む系統の配管についても、今回と同様の観点から、計画的に点検または取替を行うこととする。 |
○本件に関しては、上記内容の中間報告書を5月31日、愛媛県、伊方町に提出しております。
伊方発電所2号機 余熱除去系統配管のひびについて
4.伊方3号機 発電機水素ガス温度制御弁の不調について
5月27日14時42分頃、通常運転中の伊方3号機において、発電機の冷却用水素ガスの温度が低下していることを運転員が確認した。
現場を確認したところ、冷却用水素ガスの温度を制御する弁の駆動用空気配管が破損し、当該弁が全開となっていることが判明した。このため、当該配管を取り替え復旧した。
[発電機冷却用水素ガス] |
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発電機内の冷却のため封入している水素ガス。この水素ガスの温度を一定にするよう冷却器に通水する冷却水の流量を温度制御弁で調整している。 |

5.伊方3号機 アンモニア注入ポンプの不具合について
5月31日18時43分、通常運転中の伊方3号機において、運転中のアンモニア注入ポンプの異常を示す信号が発信し、当該ポンプが自動停止した。このため、予備のポンプに切替えた。
点検の結果、当該ポンプのモータ回転数を制御する電源設備(インバータ)に異常のあることが判明したため、電源設備(インバータ)を取り替え復旧した。
[アンモニア注入ポンプ] |
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腐食防止のため水質(pH)調整剤として、2次系水にアンモニアを注入するためのポンプ。 |
