平成20年6月10日
四国電力株式会社
伊方発電所における通報連絡事象(平成20年5月分)および
通報連絡事象に係る報告書の提出(平成20年4月分他)について
- 平成20年5月に、当社から愛媛県および伊方町に通報連絡した事象は以下の1件です。本事象は、法律に基づく報告事象に該当するものではなく、また、環境への放射能の影響もありませんでした。
事 象 |
発生月日 |
発表月日 |
伊方発電所1号機 |
ほう酸補給ラインからの水漏れについて |
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5月21日 |
5月21日 |
- 過去に発生した以下の通報連絡事象について、その後の調査結果を踏まえた原因と対策をとりまとめ、愛媛県および伊方町に報告書を提出いたしました。
事 象 |
発生月日 |
発表月日 |
1.伊方発電所1号機 |
湿分分離加熱器ドレンタンクB水面計からの蒸気漏れについて |
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3月 6日 |
4月10日 |
2.伊方発電所2号機 |
余熱除去系統の不具合について |
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3月21日 |
3月21日 |
3.伊方発電所1号機 |
湿分分離加熱器蒸気噴出口溶接部の割れについて |
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4月30日 |
4月30日 |
伊方発電所1号機 ほう酸補給ラインからの水漏れについて
- 伊方発電所1号機 湿分分離加熱器ドレンタンクB水面計からの蒸気漏れについて
- 伊方発電所2号機 余熱除去系統の不具合について
- 伊方発電所1号機 湿分分離加熱器蒸気噴出口溶接部の割れについて
以 上
伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成20年5月分)
5月21日11時40分頃、定期検査中の伊方発電所1号機の原子炉補助建家4階(管理区域内)において、ほう酸フィルタ取替工事後の系統耐圧検査の準備作業をしていたところ、少量の水漏れが発生しました。
調査の結果、検査準備のため取り外していた圧力計の元弁が開いていたために、ほう酸補給ラインに水張り中の純水が漏れたものであり、元弁を閉止して漏えいは停止しました。
漏えいした水に放射能は含まれておらず、その量は約15リットルと推定され、うち約14リットルはポリエチレン袋で回収し、床面に飛散した水はウエスでふき取りました。
なお、漏えい時に、作業員3名に漏えい水の一部がかかりましたが、3名とも放射性物質による汚染はありませんでした。
現在、引き続き原因調査中です。

(印刷用) 伊方発電所1号機 ほう酸補給ライン系統概略図 (PDF-15KB)
伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成20年4月分他)
- 事 象
3月6日15時43分、通常運転中の伊方発電所1号機のタービン建家1階(管理区域外)にある湿分分離加熱器ドレンタンクB水面計の点検のため、運転員が隔離操作を実施していたところ、水面計から蒸気が漏えいし、火災報知器が動作しました。
その後、湿分分離加熱器ドレンB系統の隔離操作を実施し、当該タンクの水面計からの蒸気の漏えいは停止しました。
このため、当該水面計のガラス部分とパッキンを新品に取り替え、3月7日、異常のないことを確認し、通常状態に復旧しました。
- 原 因
調査の結果、ガラス部分を保護する部品が劣化し、蒸気がわずかに漏えいしていたことから当該水面計を点検しようとして隔離した際に、水面計上部(気相部)元弁から閉止したため、当該水面計水位が上昇して内部が満水状態になり、漏えい量が増加して当該水面計のパッキンが損傷し、さらに、ガラス部分も損傷して高温、高圧水が漏えいしたものと推定されました。
- 当該水面計および湿分分離加熱器ドレンタンクAの水面計について、今回の定期検査において、ガラス式水面計から安全性に優れたマグネット式水面計に取り替えます。
- 伊方発電所の全号機の高温、高圧の水面計について、計画的にガラス式水面計からマグネット式水面計に取り替えるとともに、取替までの間は、他の計器により水位監視ができる水面計については、通常運転中は元弁を閉止する運用とします。
- 水面計の隔離操作手順については、下部元弁から閉止するよう関係箇所に周知しました。

(印刷用) 伊方発電所1号機 湿分分離加熱器ドレンタンクまわり系統概略図 (PDF-19KB)
- 事 象
3月21日19時00分頃、定期検査における調整運転中の伊方発電所2号機において、通常停止している余熱除去系統Bの圧力がわずかに上昇していることを確認しました。
その後、余熱除去系統Bの入口と1次冷却材系統との間にある2台の電動弁(8700B、8701B)の閉止状態が不完全であることが確認されたことから、8701Bを増し締めし、当該系統の圧力上昇が止まりました。また、8700B~8701B間の圧力を抜く操作を行い、その後の圧力上昇がないことを確認し、3月25日12時30分、通常状態に復旧しました。
- 原 因
調査の結果、余熱除去系統B系統の圧力上昇の原因は、当該系統の入口ラインにある当該弁のシートリークによる1次冷却材系統からの漏れ込みであり、当該弁のシートリークは、上流側の圧力上昇により、弁体・弁座の当たり状態がわずかに変化したことによるものと推定されました。なお、当該弁のシートリークを容易に検知できなかったため、漏れ込み箇所の特定に時間を要しました。
- 次回の定期検査において、シートリークが発生した当該弁本体の分解点検を実施し、シートの状態を確認するとともに、弁駆動部の点検を実施します。
- 伊方発電所の全号機において、今後、プラント起動時には余熱除去系統入口ラインの当該弁間に仮設圧力計を設置し、当該弁のシートリークによる圧力上昇がないことを確認します。
なお、今回と同様な弁体・弁座の当たりの変化に起因したシートリークによる圧力上昇があった場合には、従来通り、弁の増し締めや弁間の圧抜きなどによるシート機能を回復させる処置を行います。

(印刷用) 伊方発電所2号機 余熱除去系統概略図 (PDF-30KB)
- 事 象
4月30日10時40分頃、定期検査中の伊方発電所1号機において、2号機の前回定期検査時に確認された湿分分離加熱器内の溶接部割れ事象の対策として、同設備の総点検を実施していたところ、目視にて湿分分離加熱器Aの蒸気入口から3番目の蒸気噴出口に割れが確認されました。その後、他の蒸気噴出口溶接部の浸透探傷検査等を実施した結果、湿分分離加熱器Aの1個(蒸気入口から4番目)、B・Cの各1個(蒸気入口から3番目)の合計3個の蒸気噴出口に5箇所の割れがあることが確認されました。
- 調査の結果、湿分分離加熱器Aの3番目の蒸気噴出口の割れの原因は、
- 溶接作業性が悪い箇所に、十分な溶込みが得られにくい溶接方法を採用したことから、溶込み不足が発生し、十分な溶接部ののど厚が確保されなかったこと
- 運転中の天板には、蒸気の流れによる高サイクルの流体加振力が作用すること
- の条件が重畳したことにより、溶接部に限度を超える高サイクル振動の疲労が累積し
て割れが発生、進展したものと推定され、その後、下流にある4番目の蒸気噴出口に割れが発生したものと推定されました。
なお、湿分分離加熱器B、Cの割れも同様な原因で割れたものと推定されました。
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- 割れのあったものを含む3、4番目の蒸気噴出口(16個)を新品に取り替えます。
- 2号機のトラブル対応として取替予定であった1、2、10番目の蒸気噴出口(24個)を新品に取り替えます。
- 取り替えない残りの蒸気噴出口(40個)は、溶接部の補修を実施します。
これらは十分な溶込みが得られるティグ溶接で行なうとともに、溶接部の両端に約3cmの廻し溶接を行う補強等も行います。
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- 流体加振力が作用する範囲で、十分な溶込みが得られにくい溶接方法による溶接部のうち浸透探傷検査ができない2つの部位(4基で8部位)は、強度に余裕を持たせる観点から補強を実施します。
- 2号機のトラブル対応として総点検を実施し、念のため6つの部位(4基で20部位)の補強を実施します。
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- 今後の工事においては、「溶接作業性が悪い箇所に溶接を行う場合には、溶込み不足が発生しないような実施方法を選定すること」を発注仕様書に明記することとします。
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- 2号機については、1号機と同様の構造・溶接施工のため、アコースティックエミッション、音響監視装置等による監視強化を行い、次回定期検査において1号機と同様な対策を実施します。
なお、3号機については、構造が1,2号機と異なり、同様な蒸気噴出口がないことから、対策は不要です。
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- 1、2号機の湿分分離加熱器については、長期的な健全性に万全を期し安心感の醸成を図るとの観点から、平成22年度から23年度を目途に全台を新品に取り替えることで、今後検討を行います。また、新たな製作に当たっては、当社社員を工場に駐在させる等品質管理に万全を期します。
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(印刷用) 伊方発電所1号機 湿分分離加熱器蒸気噴出口溶接部の割れについて (PDF-136KB)

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