当社は、伊方発電所3号機の燃料集合体への付着物に関する通報遅れに関し、6月5日、愛媛県および伊方町から厳重注意を受けました。
今回の通報遅れは、これまでの信頼関係を損ないかねないものであり、誠に申し訳なく、深くお詫び申しあげます。
このようなことを二度と起こさないよう、燃料集合体への付着物およびその通報遅れに係る対応について原因と対策を、別紙のとおり取りまとめましたので、ご報告いたします。
当社といたしましては、伊方発電所は、地域の皆さまの信頼の上に成り立っていることを改めて肝に銘じ、正常状態以外のすべての事態を連絡するという通報連絡の原点に立ち返って、再発防止に万全を期してまいります。
今後とも積極的な情報公開により、愛媛県・伊方町を始め、地域の皆さまとの信頼関係の構築に努めてまいります。
別紙:伊方発電所3号機 燃料集合体への付着物およびその通報遅れに係る対応について(概要)
以上
伊方発電所3号機 燃料集合体への付着物およびその通報遅れに係る対応について
(概要)
1.事象の概要
伊方発電所3号機は、第13回定期検査中のところ、その2回目(※1)の燃料取出後に実施した燃料集合体の外観点検において、平成25年4月12日に2体の燃料集合体に付着物を確認しました(以下「本件事象」という。)。
- O10燃料:最下部支持格子に小枝状の付着物、下部ノズル底面にテープ状の付着物
- O13燃料:上部ノズル押えばねにテープ状の付着物
現地の原子力保安検査官(以下「保安官」という。)には、4月15日に付着物の確認状況とそれらの回収作業計画等を報告し、その後回収作業を進めていましたが、O10燃料の下部ノズル底面のテープ状の付着物は回収できなかったため、5月29日、付着物の回収作業が長引くことを報告したところ、保安官から原子力規制庁にもその旨を報告するようにとの指示があり、6月4日、原子力規制庁へ報告するとともに、6月5日、愛媛県および伊方町へ状況報告しました。
当社は、本件事象について、設備に影響を与えないことから、愛媛県および伊方町ならびに八幡浜市、大洲市および西予市には通報しておりませんでしたが、愛媛県および伊方町に状況報告を行った際、本件事象は「炉内に装荷されていた燃料集合体に異物の付着を確認したものであり、安全協定に基づき、正常でない事象として直ちに報告されるべき」として、厳重注意を受けたものです。
※1:新規制基準を踏まえた更なる安全性・信頼性を高める工事を実施するにあたり、安全設備の改造工事が含まれているため、装荷していた燃料集合体を再度取り出したもの。
2.燃料集合体への付着物に関する通報遅れについて
(1)原因
安全協定に基づく通報連絡についてその趣旨が社内で十分に周知されておらず、通報連絡制度の認識が不十分であったことから、
炉内に装荷されていた燃料集合体に異物の付着があったことに対して、担当部署が、所管する設備の健全性の側面からしか評価せず、通報連絡の認識に至らなかった
緊急性がなく、さらに技術的に問題がないような進展性のない事象(※2)について、安全協定に基づく通報連絡の観点からのチェックが十分になされず、結果的に、通報連絡を行うとの判断に至らなかった。組織として担当課長および担当部長の判断を是正するには至らなかった
ことが原因です。
※2:水漏れや火災などの事象と異なり、例えば、定期検査の内部開放点検における傷や物の確認などのような、状態変化のない事象。
(2)対策
地域の信頼の上に発電所運営が成り立っていることを常に意識し、「正常状態以外のすべての事態」について、関係者に速やかに通報連絡し、情報公開することを徹底するため、以下の対策を確実に実施していきます。
通報連絡に関する体制の強化および責任の明確化→「通報連絡統括監」の新設
通報連絡に関する体制の強化および責任の明確化を図るため、独立した立場で、通報連絡の判断の妥当性の確認や必要に応じて是正を行う統括責任者として、7月1日付けで新たに通報連絡統括監(専任の所長代理)を配置します。当該通報連絡統括監には、広く社会の目線に立って適切に判断できるよう事務系社員を充てます。
チェック機能の強化→「通報連絡情報共有会議」の設置
「正常状態以外のすべての事態」を直ちに連絡するという通報連絡の原点を周知・徹底することに加え、幅広い観点から事象を捉えるため、伊方発電所に配置する通報連絡統括監を責任者とした「通報連絡情報共有会議」を新設し、事象に対するチェック機能を強化します。
確実な通報連絡の実施、通報連絡に携わる技術系課長以上の所員への教育・訓練、情報公開意識の更なる向上を継続して実施する。
3.燃料集合体への付着物について
(1)原因
本事象は、余熱除去系統や化学体積制御系統で実施した弁点検等の作業において、内部の最終異物確認に使用した工具の養生に使用したポリエチレンテープが系統内に残り、水流により1次冷却材系統、原子炉へと流入したものと推定しました。
本事象の原因は、従来より社内規程に基づく異物管理を徹底し、機器等の組立・復旧前には必ず内部の最終異物確認を行ってきましたが、最終異物確認のために使用する工具の養生テープが外れる可能性があることまで考えていなかったことであると推定しました。
(2)対策
異物混入防止に関する管理の強化
内部の最終異物確認に使用した工具を養生したポリエチレンテープは、工具の汚染防止および工具の細かい部品の落下防止のために使用していたことから、すべての機器の最終異物確認で使用する工具について、以下の対策を実施します。
a.テープによる汚染防止養生および落下防止養生は原則、実施しない。
b.止むを得ず養生を施す場合は、養生テープ貼り付け箇所数を事前に記録し、養生テープに合いマークを施すこととし、最終異物確認前後で使用した工具の養生テープが外れていないことを確認することで、確実な異物管理を行う。
c.本対策が現場作業で確実に実施されるために社内規程の改訂を実施する。
異物混入防止に関する教育の徹底
異物の見落とし等の防止をより徹底するため、改めて所内関係者および作業員に教育を実施し、異物混入防止の重要性についての意識をさらに高めることとします。
不適合管理の適切な運用
今後は、燃料集合体や1次冷却材系統への異物の付着・混入を確認した場合は不適合とすることを、社内規程に追記するとともに、教育資料を作成し、所内関係者への周知・徹底を行い、不適合管理の確実な運用を行っていきます。
当該燃料集合体に対する措置
当該燃料集合体2体は付着物を回収し、原子炉に装荷しても問題ないことが確認されるまで使用しないこととします。
4.添付資料
・添付-1
通報連絡手順の比較表 (PDF-174KB)
・添付-2
燃料集合体に付着したテープの可能性がある作業を実施した系統概要図 (PDF-119KB)
伊方発電所第3号機
|
以上