真空調理法とは
高いレベルで「美味しさ」の均一化が図れるとともに、調理工程の効率化と人手不足解消・人件費削減が成し得る、合理的かつ衛生的な調理法です!
従来の調理法との最大の違いは、ずばり、食材を真空包装することです。これにより、浸透圧効果で調味料が素材に良く染み込み、少量でも味が均一に付きます。また、空気が抜けた(真空の)真空袋(フィルム)内においては、熱の伝導率が高まり、95℃未満の低温による加熱でも調理を望ましい状態に仕上げることができます。
「焼く」「蒸す」「煮る」といった調理法とは異なり、鮮度管理された食材を生のまま、あるいはあらかじめ熱処理して調味料・調味液と一緒に真空包装し、温度と時間管理が正確に行える加熱機器(湯煎器やスチームコンベクションオーブン)で袋ごと低温加熱により調理します。
真空調理法のメリット
調理上のメリット(食材を真空包装し低温加熱することがもたらすメリット)
- ・素材本来の風味やうまみを逃さず、軟らかくジューシーに仕上がる
- ・素材の酸化やビタミンの破壊が少ない・乾燥による目減りや煮崩れが起こりにくい
- ・加熱時の歩留まりが高い・調味料や香辛料がよく染み込み、少量でも味が均一につく
- ・加熱温度が同じ複数の食品を、加熱時間の調整で一度に調理することが可能
管理上のメリット(真空包装と保存性の向上、調理の数値化がもたらすメリット)
- ・調理の最適状態をマニュアル化でき、人的な要因による品質のばらつきを防止
- ・計画生産による調理作業の平準化(アイドルタイムの利用など)で作業効率が向上。これにより、人件費削減および水道・光熱費、洗剤などのランニングコスト削減に寄与
- ・大量調理や食材の安価時に大量購入できる
- ・真空包装により、二次汚染の防止や保存時の整理整頓などの管理性と、運搬性が向上
●例/小規模店で真空調理法を導入した場合の、調理作業の合理化における効果
※「導入前のワークスケジュールモデル」
※「導入後のワークスケジュールモデル」
※「導入前後の労働時間比較」
総労働時間 | 料理人数と労働時間 | アルバイト数と労働時間 | |
真空調理法 導入前 | 39時間 | 4人・32時間 | 2人・7時間 |
真空調理法 導入後 | 31時間 | 3人・27時間 | 1人・4時間 |
(出典/「新調理システムのすべて」 新調理システム推進協会 日経BP社)
【導入後の効果】
- ・昼食の準備時間が短くなる(タイマーによる湯煎の準備)
- ・昼食/夕食の調理が簡単(必要量を湯煎槽で事前に加熱しておき、盛り付けるだけ)
- ・鍋の洗浄が不要になる(プラスチック袋入りの製品をそのまま湯煎する)
- ・同時に複数の調理を進行させることができる(調理時間をタイマーベルで管理)
- ・昼食営業と夕食営業の間(従来はアイドルタイム)に真空調理法を利用して「準備」を行うことができる
真空調理法の基本プロセス
工程 | 使用機器類 | 注意事項 |
素材 | ・食材入荷検収…官能・細菌検査 ・高鮮度素材…芯温検査 |
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↓ | ||
(食材保存) | 冷蔵庫/冷凍庫/ 高湿チルド庫等 |
鮮度管理 |
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下拵え/下味付け | 各種調理機器 | 衛生管理…二次汚染の防止 |
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(焼き色付け) | 各種加熱機器 | 真空包装前に加熱調理した場合は必ず3℃以下に冷却してから袋詰め |
冷却 | 氷水チラー/ ブラストチラー |
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↓ | ||
袋詰め | 衛生管理…二次汚染の防止 | |
↓ | ||
真空包装 | 真空包装機 | 製造年月日の記入 |
↓ | ||
一次加熱 | スチコン*/湯煎器等 | TT管理(低温殺菌加熱) |
↓ | ||
急速冷却 | 氷水チラー/ ブラストチラー |
加熱後30分以内に開始。さらに90分以内に、芯温を0~3℃以下に下げる |
↓ | ||
冷蔵保存 | 高湿チルド庫/ 冷蔵庫等 |
品質管理…3℃以下でチルド保存 |
↓ | ||
(配送) | (必要な場合)チルド配送 | |
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再加熱 | スチコン*/湯煎器等 | TT管理 |
↓ | ||
(盛り付け) (ホールディング) |
芯温65℃以上 | |
↓ | ||
提供 | 再加熱後2時間以内に喫食 |
*スチコン=スチームコンベクションオーブン
(出典/「新調理システムのすべて」 新調理システム推進協会 日経BP社)