伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成16年11月分)
1.伊方1号機 充てんポンプ室エリアモニタ表示不良について
11月13日18時30分頃、第22回定期検査中の伊方1号機の中央制御室において、エリアモニタの故障を示す信号が発信した。確認の結果、充てんポンプのエリアモニタのデジタル表示が、記録計の指示には変動が認められないにもかかわらず、点滅(フリッカ)し正常な値を示していなかった。
調査を行った結果、定期検査に伴う作業により信号ラインにノイズが発生し当該モニタのデジタル表示が正常な値を示さなかったものと推定された。念のため、当該モニタ内の信号処理カードを取り替え復旧した。
[エリアモニタ] |
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充てんポンプ室の放射線量を常時測定するために設置しているモニタ |

2.伊方1号機 原子炉容器入口管台内表面の微小な傷について
第22回定期検査中の伊方1号機において、原子炉容器入口管台溶接部のレーザピーニング工事の施工前検査を実施したところ、11月14日、入口管台Bと1次冷却材入口配管との溶接部付近の内表面に微小な傷(最大約5o)が2箇所で確認された。
なお、運転中には、1次冷却材の漏洩の兆候は認められていない。
当該箇所の超音波探傷検査を行った結果、検出できないほど傷が浅く(検出限界約3o)、管台内表面から僅かずつ研削しながら調査を進めていたところ、内表面から約3oの深さまで研削した時点でそれ以上傷が及んでいないことが確認された。
この結果、傷は、管台母材(炭素鋼)の腐食を防止するためのステンレス内張り(厚さ約5o)内に留まり、管台母材部まで達しておらず、管台の健全性には全く問題のないことが確認された。
その後、詳細調査を行い、傷の形状調査と要因分析を行った結果、 |
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傷は工場製作時の局部的な補修溶接跡と推定される箇所に有り、補修溶接に使用されている600系合金は、1次冷却材に接している場合は条件によっては、応力腐食割れが発生する可能性があること |
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これまでの国内外の事例から、補修溶接方法によっては、600系合金溶接部で応力腐食割れが発生するために十分な引張残留応力が発生し得ることが確認されたこと |
から、本件事象は、工場製作時に600系合金で局部的な補修溶接を行ったことに伴い、当該箇所に高い引張残留応力が発生し、更に運転開始後に1次冷却材に接したことと相まって、応力腐食割れによるき裂が発生し、進展したものと推定される |
今後、当該箇所について、耐食性に優れた690系合金を用いて補修溶接を行ったうえで、引張残留応力低減のため当該部位にレーザピーニングを行う。
また、伊方2、3号機については、これまでの供用期間中検査において問題は認められておらず、また、今回の傷の状況からみても、傷はステンレス内張り内に留まっており、構造強度上の問題はない。
なお、伊方発電所では、600系合金が1次冷却材に接する箇所について、国の指示に基づき超音波探傷検査及び外観点検を計画的に実施しており、この検査によって健全性を確認している。
3.伊方1号機 冷却材貯蔵タンク出口配管の微小な傷について
第22回定期検査中の伊方1号機において、平成15年6月に発生した「伊方1号機安全注入系統テストライン配管のひび」に鑑み、冷却材貯蔵タンクCの出口配管の点検のため液体浸透探傷検査を実施したところ、11月22日10時頃、1箇所で微小な傷(最大長さ12o)が確認された。当該箇所からの漏えいは認められていない。
外観点検及び浸透探傷検査の結果、 |
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傷が確認された箇所の配管外表面に、矩形状(巾約15o、長さ約30o)のテープののり跡と思われるさび色の付着物が認められたこと |
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傷は、約12oと約11oの2本の線状のひびで、付近には溶接部のないこと |
が確認された。
また、当該部分の配管を切り取り、詳細調査を行った結果、ひびは塩化物応力腐食割れと推定され、深さは、最大で配管外表面から3.1oで、配管厚さは6.8oあることから必要厚さ(0.07o)を満足しており、強度上問題はないことが確認された。
更に、当該箇所の真下の床にさび色の付着物が認められたことから、上部を確認したところ、天井付近に、溶接部が腐食し、水が漏えいした痕のある現在使用されていない所内用水配管があり、また、本件出口配管の上部にある冷却材貯蔵タンクへの戻り配管に、当該所内用水配管から漏えいした水が落下した痕跡が認められた。所内用水には塩素が含まれているため(塩素濃度13ppm程度)、当該配管内に残留していた所内用水により溶接部が腐食・貫通して、塩化物を含む水が落下したものと考えられる。
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以上のことから、本事象は、過去の作業において貼り付けられたテープののり跡に、使用されていない所内用水配管から落下した漏えい水に含まれる塩化物が付着して濃縮され、塩化物応力腐食割れが発生したものと推定される。
このため、当該部分の配管を取り替えるとともに、現在使用されていない配管について、撤去又は他の配管に影響のないことを確認する。
また、ステンレス配管の上部にあり、塩化物を含む流体を内包する類似配管(海水系統、所内用水系統、消火水系統)について、今回定期検査期間中に点検を行い、漏えいのないことを確認するとともに、伊方2,3号機についても、次回定期検査において、同様の点検を実施する。
伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成16年10月分)
1.伊方3号機 復水脱塩装置苛性ソーダ撹拌ポンプの不具合について
○事 象
通常運転中の伊方3号機において、復水脱塩装置の苛性ソーダ撹拌ポンプのケーシング外表面にごく微量の白い析出物を作業員が発見した。
白い析出物を分析した結果、10月4日14時20分頃、苛性ソーダであることが判明した。
このため、当該ポンプを点検した結果、ケーシング外表面に微細な傷を確認した。
○原 因
当該ケーシングを切断して観察した結果、断面には製造時の鋳造欠陥と見られる無数の微小な空洞があり、ケーシング内表面から外表面までほぼつながる様相が認められた。
このことから、原因はケーシングの製造不良による微小な空洞が経年使用により貫通し、漏えいに至ったものと推定される。
○対 策
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当該ポンプのケーシングを取り替え、復旧した。 |
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苛性ソーダ撹拌ポンプの運転時は、従来と同様に漏えい等の異常がないことを確認する。 |

2.伊方2号機 アスファルト固化装置熱媒循環ポンプの不具合について
○事 象
通常運転中の伊方2号機において、アスファルト固化装置を停止した際、熱媒循環ポンプのモータの温度異常を示す信号が発信したため、現地を確認した結果、10月6日0時25分頃、熱媒循環ポンプAのモータの過熱を検出する温度スイッチ(サーモスタット)が不良であることを確認した。
○原 因
調査の結果、温度スイッチ内部に何らかの不良が生じ、正常に動作しなくなったことから、温度異常を示す信号が発信したものと推定される。
○対 策
当該ポンプの温度スイッチは取り替えられる構造となっていないため、当該ポンプに新たな代替温度スイッチを取り付け、運転できる状態とした。
なお、当該ポンプのモータ(温度スイッチ含む)については、取り替えることとする。

3.伊方1号機 補助蒸気ドレン配管ストレーナからの漏えいについて
○事 象
10月18日20時16分頃、第22回定期検査中の伊方1号機のタービン建家内において、補助蒸気配管内で発生する水(ドレン水)を排出するためのドレン配管に設置しているストレーナから蒸気が漏えいしていることを運転員が発見した。
このため、漏えい箇所前後の弁を閉止して蒸気漏れを停止した。
○原 因
当該ストレーナ(炭素鋼製)は、補助蒸気系統のドレン水によりエロージョンが発生し、長年の使用により減肉が徐々に進展して漏えいに至ったものと推定される。
○対 策
当該ストレーナを取り替えるとともに、補助蒸気系統のドレン配管に設置している炭素鋼製ストレーナを取り替えた。
これらについては、今後、計画的にステンレス製に取り替える。

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