パワーアップ講座~プロフェッショナルのミカタ~

「嚥下食ピラミッド」と電化厨房

金谷 節子 氏

3. 嚥下食ピラミッドの使い方

嚥下食ピラミッドの使い方には次の2つがある。
1つは、個々の患者がどのレベルの食事を食べることができるか、レベルを選択するための「テストフード」として活用するということである。
もう1つは、リスクを減らすための食事の構成(摂り方)を考える「引き出し」として活用するということである。具体的には、1回の食事で、最も飲み込みやすいL0から食べ始め、より難しいL1、L2、L3へと挑戦し、最後はL0のゼリーで終わるという構成である。

咽頭に残留した食べ物は、誤嚥の原因となるが、咽頭は眼で見る事はできない。そこで咽頭に残留した食べ物をL0のゼラチンゼリーで除去する。これを交互嚥下という。
このことは、「食事はデザートで終わる」という食文化にも合致し、結果としてリスク管理と満足度を同時に得ることができるのである。

4. 電化厨房が可能とするT-T管理

さて、嚥下障害に対しては、口腔・咽頭部に関わる筋肉のリハビリテーションが重要となるわけであるが、食事においても喫食者の負担とならずに、かつ誤嚥することのないように工夫された食事、すなわち嚥下食が必要となることはこれまでにも述べてきたとおりである。患者の命に関わることであり、嚥下食の調理には厳格な品質管理がなされていることが必須条件となる。

そこで重要なのがT-T管理(温度[Temperature]と時間[Time]の管理)というわけなのだが、これを実現してくれるのがスチームコンベクションオーブンやブラストチラーなどの電化厨房機器であり、真空調理法などの新調理システムを構成する調理技法である。

私がこれらに出会ったのは、1989年に東京晴海で行われた「給食産業展」であった。この日は私にとって決定的な1日として深く胸に刻まれている。私が今こうして嚥下食ピラミッドの活用を説くことができるのも、この日の電化厨房との出会いがそもそものきっかけだったのである。

図2. 一般加工品として販売されている嚥下食

一般加工品として販売されている嚥下食

一般加工品として販売されている嚥下食

(次回に続く)

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