PROJECT STORY プロジェクトストーリー 02 オマーン バルカ3・ソハール2発電プロジェクト 村上聡

オマーンの経済発展を支え、人々の生活向上に貢献した発電所。

石油・ガス資源の開発成功を機に急速な経済成長を達成したオマーンにおいて、2009年に国際競争入札として公募されたのが「バルカ3・ソハール2」の発電プロジェクトでした。これはバルカとソハール両地区で発電容量744MWのガス火力発電プラントを建設し、15年間に亘って運転するという双子プロジェクトです。2013年から運転を開始しており、増加する電力需要に応えてオマーンの経済発展を支えるとともに、同国で暮らす人々の生活向上にも貢献しています。

火力発電所の運営とトラブル解決に向けて電力のプロとして提案。

本プロジェクトでは、入札・建設・運転の3つのフェーズに四国電力が関わっています。入札では、コンソーシアムの他社と協力して、練りに練った提案資料を作成しました。入札の大きなポイントは「収益性を損なうことなく、いかに安価な電気料金を提案できるか」。そこで私たちは、電力のプロとして、安定供給とコスト削減を両立できるよう、導入する機器や運転・保守計画などの技術的な確認を実施しました。入札資料の検討はギリギリまで行い、完成したのは締め切り当日の午前3時。持てる力を出し尽くした入札であったので、落札が決定した時は喜びがひとしおでした。
この発電所では、同種のプラントと比べ、比較的順調に工事が進んだと言えると思いますが、それでも、このように大規模な建設工事となると、様々なトラブルが発生するものです。当社は、このようなトラブルのうち大きなものについて、四国内の当社火力発電所への問い合わせ等を行い、事業運営会社の取締役会やその他の機会を通じ、その解決方法をフィードバックしました。また、運転フェーズに入っている現在においても、発電所に不具合やその予兆が発生した場合には、すみやかな解決に向けて様々なアドバイスを続けています。

CFOとして出向し、オマーンが抱える課題に向き合う。

急激な発展を遂げたオマーンには、ひとつの課題があります。不足する労働力を補うために積極的に外国人労働者を受け入れてきたため、総人口のうち約半数を外国人労働者が占めるようになり、自国民の就業難が深刻となったのです。現在、政府は外国人労働者をオマーン人に代替する「オマーン人雇用促進政策」を推進しています。そのような中、運営フェーズに入った1年後の2014年から2018年まで、ソハール2の事業運営会社(アル・バティナ・パワー・カンパニー)にCFO(財務責任者)として出向しました。マネジメントの立場から運営に関わったのです。課題のひとつは政策に沿って、オマーン人労働者を増やすこと。そこで、優秀な人材をリクルートするとともに、積極的なOJTを通じた能力開発に加え、策定した育成計画に沿ったセミナーや夜間大学の受講支援も行って従業員をサポートしました。その結果、従業員17名中6名であったオマーン人を11名まで増加させることができました。彼らとは長く付き合ったからでしょうか、出向を終えて帰国する際には寄せ書きや記念品とともに感謝の言葉をもらいました。オマーンの若者の力になれたのなら、これほど嬉しいことはありません。

海外のマネジメントクラスで通用する力を、いつの間にか四国電力で身に付けていた。

CFOとしてのその他の業務としては、財務、会計、税務管理はもちろんのこと、社内規定の整備を含むコーポレートガバナンスの強化、取締役会や株主総会の運営、報酬決定を含む人事労務管理などがあり、幅広く会社運営の先頭に立ちました。海外での仕事は初めての経験でしたが、まさに自分が成長する絶好の機会となりました。現地の発展に寄与できる仕事を、現地の人と関わりながらできる。慣れない環境の中ではありましたが、これは強いモチベーションになりました。それにしても、CFOとして海外の会社に出向するなんてことは想像もしていなかったことです。出向先の社内に日本人は私だけでしたが、事業の成功により会社の収益拡大にも貢献でき、無事に責任を果たせたと思います。入社以来、四国電力でまじめに働いてきましたが、いつの間にか海外のマネジメントクラスでもやっていける力がついていたのだということを実感しました。

PROFILE / プロフィール 村上聡 1999年 入社 2008年6月 国際事業部異動 2014年9月~2018年1月 バルカ3・ソハール2 発電プロジェクト出向
PROJECT STORY / プロジェクトストーリー

その他のインタビューをご覧いただけます。

03 アラブ首長国連邦 シャルジャ首長国ハムリヤ 火力発電プロジェクト01 カタール ラスラファンC 発電・造水プロジェクト