パワーアップ講座~プロフェッショナルのミカタ~

飲食業の本質を見失うな

神村 護 氏

IHコンロとガスコンロ(五徳)、電化厨房とガス厨房では後片付け・掃除にかかる時間が大きく違い、スタッフを束縛する時間に大きな差が出る。

IH調理器はフラットな構造なので、掃除がラク。

客席電化とは、お客さまが食事をされるテーブルや座卓に、安全かつ制御可能な電磁調理器を組み込むことである。私はこれを「顧客参加型システム」と呼んでいる。客席電化のメリットは、高い商品レベルを維持しつつ新規性、季節性のあるメニュー投入を可能にするだけではない。最終工程にお客さまを参加させることで、無理なくお客さまに店が発信する価値観を共有していただき、同時にサービスコストの低減をも図ることができる。

その客席電化をいち早く導入したのが、しゃぶしゃぶ専門店としてチェーン展開していた木曽路であった。当時木曽路は客席でガスコンロを使用していたが、いくつかの悩みを抱えていた。ひとつは火力調整など安全管理の問題。二つ目は排熱と水蒸気が出ることによる空調管理の難しさと空調コストの高さだ。窓ガラスが水滴で曇り、ビール瓶が汗をかく、客席の周囲には熱気が漂うこともあった。三つ目は閉店作業に人手と時間がかかること。玉磨きと呼ばれる、卓上コンロのバーナの受台を研磨剤でピカピカに磨く作業に毎日汗を流さなければならなかったからだ。

この悩みを解消する決め手として着目したのが電磁調理器だ。組み込み型電磁調理器テーブルは、表面がフラットなので見ばえが良く、後片付けや掃除が楽。玉磨きもなく、閉店作業の時間と人員が削減できた。夏場はエアコンの効きも良く、鍋料理をオールシーズン食することができるようになり、空調コストも下がる。また火が出ない電磁調理器はお店の雰囲気を壊さず利用でき、その特性を生かして拡がるメニューのバリエーションも導入を決定する大きな要素となった。竹篭に和紙を敷いた紙鍋などお客さまの喜ぶ商品開発もすすんでいる。

(「飲食業の本質を見失うな」おわり)

※次回は「飲食店の業態発想」について掲載予定です。お楽しみに。

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