水力発電所とは

水力発電所の特徴と役割

クリーンな循環エネルギー

川や海の水は、太陽の熱エネルギーで少しずつ蒸発して水蒸気になり、雲に変わります。そして、雨や雪になって再び地上に落ち、川や地下水として海に流れ込んでいきます。
このように水は、自然界に存在する無限でかつ循環しているエネルギーです。
水力発電は、この水の持つエネルギーを利用したクリーンな発電方式です。原子力発電と同様に、CO₂を排出しない地球に優しい発電です。

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電力需要のピークで活躍

水力発電は、使われる電気の量に応じてすばやく発電する量を調整することができます。発電を開始するのに火力では数時間から半日程度かかりますが、水力発電なら5~10分ほど。この長所を活かして、電気の使用量がピークになるときなどに活躍します。

電力需要に合わせた電源の組み合わせ(イメージ図)
電力需要に合わせた電源の組み合わせ(イメージ図)
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水力発電所のしくみ

水力発電は水を高いところから低いところに導き、その水の力で水車を回し、水車につながっている発電機で電気を生みだします。
発電された電気は、変圧器を介して、送電線で変電所に送られたのち、配電線などによりご家庭や工場に送られます。

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A.ダム  主なダムの種類

ダムは水を貯めるために山間部につくられた壮大なスケールの建築物です。
水力発電のシンボルともいえるダムには、大雨の時などに放流を行うための洪水吐ゲートがついており、下流へ安全に水を放流しています。

重力式ダム

ダム自体の重さで水の圧力を支えるコンクリートのダムです。日本にあるほとんどのダムが重力式ダムです。

ダムの洪水吐ゲートとしては
建設当時日本最大を誇った「面河第三ダム」
(愛媛県久万高原町、堤高:42.0m)

アーチ式ダム

水の圧力を左右両岸の岩盤で支えるようにアーチ型に作ったコンクリートのダムです。ダムの厚さが薄いため、少ない材料で作ることができます。

アーチ式の「小見野々ダム」
(徳島県那賀町、堤高:62.5m)

ロックフィルダム

現地で採取できる岩石や土を積み上げて作るダムです。ダムの内部は水を通さない土を使用しています。

四国電力で唯一のロックフィルダム
「稲村ダム」
(高知県いの町、堤高:88.0m)
B.水圧鉄管

ダムから導水路を通ってきた水を水車に導く鉄管で、この中を水が流れます。

C.水車

水圧鉄管で導かれた水の力を、機械的な力(回転する力)に変えるのが水車です。

D.発電機

水車に連結して回転し、電気を発生させます。

E.変圧器

発電機でつくられた電気は、変圧器で電圧を高くして変電所に送られます。

水力発電所の種類

水力発電には、水の利用のしかたによって3つの種類があります。
いずれも水の流れで水車を回し、発電するというしくみは同じですが、地形に合わせた発電システムがつくられています。

揚水式

発電所の上部と下部に調整池をつくり、電気が余っているときは余剰電力を使って下池から上池に水を汲み上げておき、電気が必要なときはその水を下池に落として発電する。

揚水式発電のイメージ(昼) 電気が必要なとき
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揚水式発電のイメージ(昼) 電気が余っているとき
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自流式

川の流れをそのまま利用し、水路に引き込んだ水を利用して発電する。

自流式発電のイメージ
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貯水式(調整池式)

山間にダムをつくり、貯めておいた水を流して発電する。

貯水式発電のイメージ
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