発がん性評価

世界保健機関(WHO)の協力機関である国際がん研究機関(IARC)が、発がん性について分類しています。送電線などの電力設備から発生する「超低周波磁界」は、漬物と同じ「グループ2B」に分類されています。

IARCによる発がん性分類

発がん性の分類及び分類基準※1 既存分類結果[1003例]※2
グループ1:発がん性がある
人への発がん性を示す十分な証拠がある場合に用いる
カドミウム、アスベスト、ダイオキシン(2・3・7・8-TCDD)、たばこ(能動・受動)、アルコール飲料、ガンマ線、エックス線、紫外線、太陽光、ディーゼルエンジン排ガス、大気汚染、粒子状物質(大気汚染)、PCB、加工肉
[他を含む120例]
グループ2A:おそらく発がん性がある
人への発がん性を示す証拠は限定的であるが、動物への発がん性に対して十分な証拠がある場合に用いる
鉛化合物(無機)、クレオソート、アクリルアミド、日内リズムを乱すシフト労働、理容・美容労働、赤肉
[他を含む81例]
グループ2B:発がん性があるかもしれない
人への発がん性を示す証拠が限定的であり、動物実験での発がん性に対しての証拠が限定的、または十分な証拠が無い場合に用いる
クロロフォルム、鉛、漬物、ガソリン、ガソリンエンジン排ガス、超低周波磁界、無線周波電磁界
[他を含む299例]
グループ3:発がん性を分類できない
人への発がん性を示す証拠が不十分であり、動物実験での発がん性に対しても十分な証拠が無い場合に用いる
コーヒー、カフェイン、原油、水銀(無機)、静磁界、静電界、超低周波電界
[他を含む502例]
グループ4:おそらく発がん性はない
人及び動物実験において発がん性が無いことを示唆する証拠がある場合に用いる
カプロラクタム(ナイロンの原料)
[1例]
  • 分類基準は分類の基本的な考え方を説明したものです。
  • 表中の分類結果は2017年6月28日時点のものです。この分類は新しい証拠をもとに変わることもあります。

出典:IARC

超低周波磁界がグループ2Bに分類された根拠

IARCは超低周波磁界の発がん性を分類する際

  • 疫学研究の結果は「限定的な証拠」である
  • 動物実験の結果は「不十分な証拠」である
  • メカニズム研究の結果は科学的に確立されていない

ことから、全体として発がん性の可能性が「グループ2B」と評価しました。
また、IARCによれば、「発がん性分類されたということは、その因子が発がん性物質であることを意味するのではなく、公表されたデータが審査されたことを意味し、このリストに無いものが全て発がん性がないことを意味するものではない」と言っています。