レベニューキャップ制度について

はじめに

当社は、四国エリア(香川県および愛媛県の一部を除く四国4県)において、送電線や変電所、配電線などの送配電設備を維持・運用し、発電所で発電された電気を、お客さま(工場やビル、住宅などの電気の需要家)にお届けしている「一般送配電事業者」です。一般送配電事業者は、当社を含めて全国に10社あり、北海道から沖縄までを10エリア(供給区域)に分割し、各エリアで1社ずつが事業を営んでいます。

<お客さまのもとに電気が届くまで>

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<各一般送配電事業者の供給区域>

<各一般送配電事業者の供給区域>
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(出典)送配電網協議会作成資料より

一般送配電事業者は、電気を運ぶために送配電設備を利用した対価として、電気の使用量に応じて「託送料金」を受け取って、事業活動に充てています。また、託送料金は、一般送配電事業者が、独占的な地位を利用して任意で設定できないように、経済産業大臣の認可が必要となっており、電気事業法によって託送料金に関する制度が整備されています。

この託送料金制度においては、これまで「総括原価方式」が採用されてきましたが、近年の一般送配電事業者を取り巻く事業環境変化を踏まえ、2023年4月1日から新たに「レベニューキャップ制度」が導入されました。また、2024年4月1日からは、「発電側課金制度」が導入されました。

<お客さまの支払う電気料金と託送料金の関係>

<お客さまの支払う電気料金と託送料金の関係>
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<託送料金の認可について>

<託送料金の認可について>
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レベニューキャップ制度が導入された背景

日本の電力需要は、高度経済成長期から大幅に伸び続けてきましたが、近年は人口減少や省エネルギーの進展等により、伸びが頭打ちとなっており、今後は横ばいで推移すると見込まれています。
こうした中において、再生可能エネルギーの導入拡大に対応するために送配電ネットワークの増強が必要となっており、また、激甚化する自然災害に対する安定供給の確保(レジリエンス強化)も一般送配電事業にとって大きな課題となっています。
さらには、今後、全国で高度経済成長期に整備された送配電設備の更新に多額の資金が必要になると見込まれています。

<一般送配電事業者を取り巻く事業環境の変化>

系統電力需要の減少
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接続容量の急増
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接続容量の急増
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(出典)第43回再生可能エネルギー大量導入・
次世代電力ネットワーク小委員会 資料2

事業環境が変化する中において、一般送配電事業は経営効率化の取り組みにより、できる限りコストを抑制しつつも、再生可能エネルギーの導入拡大への対応や安定供給の確保に向けて、計画的に設備投資を行っていくことが求められています。
こうした背景のもと、託送料金制度面から取り組みを推進するため、新たに「レベニューキャップ制度」が導入されました。

レベニューキャップ制度とは

欧州では再生可能エネルギーの導入拡大が進む中において、必要な投資を確保しつつ、コスト効率化を促すためにレベニューキャップ制度が導入されており、日本においても、欧州の制度を参考にして同様の制度が作られました。
レベニューキャップ制度においては、一般送配電事業者が、国の定める指針に基づき、一般送配電事業に係る事業計画および投資・費用の見通し(これを「収入の見通し」と言います)について、規制期間の5か年分策定し、国の厳しい審査を経て収入上限として承認を受けたうえで、託送料金を設定します。
5年間の規制期間の終了後には、国が一般送配電事業者の経営効率化の状況等を評価することとなっており、効率化が図られていれば、事業者は、その効率化努力分の半分を利益として確保でき、一方で、お客さまにも半分を還元することで、託送料金を低減させるような仕組みが導入されます。
この仕組みによって、必要な投資を確保しつつも、コスト効率化を図っていくことがレベニューキャップ制度の大きな狙いです。

<レベニューキャップ制度の運用イメージ>

<レベニューキャップ制度の運用イメージ>
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<運用スケジュール>

<運用スケジュール>
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<総括原価方式とレベニューキャップ制度の主な違い>

<総括原価方式とレベニューキャップ制度の主な違い>
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(出典)第2回持続可能な電力システム構築小委員会 資料1(一部修正)

事業計画について

当社は、最初の規制期間である2023~2027年度の5か年における事業計画を以下のとおり策定しています。
事業計画においては、国の定めた指針に基づき、事業者が達成すべき目標や具体的な投資の内容などを整理しています。
また、達成すべき目標のうち、「顧客満足度」、「デジタル化」、「安全性・環境性の配慮」については、当社ホームページ等においてステークホルダーの皆さまから寄せられたご意見も反映して設定しました。
当社は、事業計画に基づき、送配電設備の更新・増強工事やドローン・AI等の新技術活用などを着実に進めて、再生可能エネルギーの導入拡大への対応やレジリエンス強化といった課題に積極的に対応してまいります。
詳細については、当社の事業計画をご参照ください。

<事業計画の構成>
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<目標項目の一覧>

<目標項目の一覧>
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<第一規制期間における具体的な取り組みの例>

次世代スマートメーターの導入
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ドローンやスマートグラスを活用した巡視・点検業務の効率化および高度化
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収入の見通し、託送料金について

事業計画をもとに見積もった収入の見通し(投資・費用の見通し)は、国の電力・ガス取引監視等委員会の審査を経て、1,560億円(5か年平均)となり、2022年12月に経済産業大臣から収入上限として承認を受けました。その後、2024年4月から発電側課金制度が導入されることに伴い、料金体系の見直しが必要となることを踏まえ、情勢変化による費用の変動を託送料金に反映させるため、新たな収入の見通しを1,568億円(5か年平均)として変更承認申請を行い、2023年11月に経済産業大臣から承認を受けました。

収入の見通し、託送料金について
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託送料金は、上記の収入上限をもとに、算定方法が詳細に規定された経済産業省令に従って算定しており、算定プロセスは、以下のとおりとなっています。
具体的な託送料金メニューについては、2024年1月17日に経済産業大臣から託送供給等約款として認可を受けており、2024年4月1日から見直し後の託送料金を適用しております。

託送供給料金の算定
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  • 端数処理(四捨五入)の関係で合計等が一致しない場合があります。
  • 当社の場合、離島等供給を行っていないため、総離島等供給費について記載を省略しています。

経営効率化の取り組みについて

当社は、従来からの「労働生産性の向上」や「調達コストの削減」などに加え、 2022年度からは、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進体制をより一層強化し、経営全般にわたる効率化に取り組んでおります。
最初の規制期間である2023~2027年度の事業計画においては、2017年度以降の効率化施策に加え、更なる効率化施策による効果として5か年平均で約52億円を織込んでおります。規制期間中においては、更なる効率化の深堀に取り組んでまいります。

<コスト効率化に向けた取り組みのイメージ>

コスト効率化に向けた取り組みのイメージ
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<事業計画に織り込む効率化施策の効果>

事業計画に織り込む効率化施策の効果
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