プルサーマル

プルサーマルとは何ですか?

簡単に言えばウラン燃料のリサイクルです。

原子力発電で使い終わった燃料の中には、まだ燃料として使用できるウランやプルトニウムが残っています。
プルサーマル※1とはそのプルトニウムを取り出して新しい燃料(MOX燃料※2)を作り、原子力発電所で再利用することです。

  • プルトニウムを一般的な原子力発電所(サーマル・リアクター)で使用するという意味の和製英語
  • ウランとプルトニウムを混ぜた燃料
プルサーマルのしくみ
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なぜプルサーマルが必要なのですか?

ウラン燃料をリサイクルすることで、ウラン資源の有効利用がはかれます。

ウラン燃料は石油や石炭などの燃料と違って、リサイクルできます。消費されなかったウランや発電中に生じたプルトニウムを再処理工場で分離・回収して利用する流れを「原子燃料サイクル」と呼んでいます。
原子燃料サイクルを完成させ、ウラン燃料をリサイクルすることで、ウラン資源を有効利用することができます。

プルサーマルは安全なのですか?

プルトニウムはもともと発電に役立っています。

ウラン燃料だけを使っている原子力発電所でも、プルトニウムは発電の途中で生まれ、発電量の約30%はプルトニウムによるものです。プルサーマルでは、最初からプルトニウムが含まれた燃料を使うことにより、この割合が約50%となります。

ウランとプルトニウムの発電割合
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プルサーマルは40年以上も前から世界各国で実施されています。

海外では40年以上も前からプルサーマルが行われ、これまで約6,000体のMOX燃料が安全に使われています。

世界のMOX燃料の使用実績と導入発電所数
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伊方発電所3号機のプルサーマル計画は、国により安全性が確認されています。

原子力発電所の重要な設備を変更する時は、原子炉等規制法に基づき、安全性などについて、国による厳正な審査が行われます。伊方発電所3号機のプルサーマル計画については、約1年半にわたり審査され、2006年3月28日国の許可をいただきました。
また、2013年7月に施行された新規制基準への適合性審査では、既に許可をいただいているMOX燃料40体の使用を前提として、重大事故等への対策が新規制基準へ適合していることについて審査され、2015年7月15日原子力規制委員会の許可をいただきました。

伊方発電所プルサーマル導入までの経緯

【参考】安全性の確認例

制御棒の効き

プルトニウムとウランの性質の違いを考慮し、ウラン燃料とMOX燃料を原子炉内で適切に配置することにより、必要な制御棒の効きをこれまでのウラン炉心と同様、十分に確保することができます。

制御棒の効きに関する評価結果
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原子炉上部から見た燃料配置(例)
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燃料溶融(溶け出す)可能性

MOX燃料は、プルトニウムの含有量が増加すると溶融点(溶け出す温度)がわずかに低下します。また、熱伝導率(熱の伝わりやすさ)もわずかながら低下しますが、下図のとおり、運転中の燃料の温度はほとんど同じであり、溶融点に対して十分な余裕があります。

燃料中心温度と溶融点の比較
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プルサーマル運転中の原子炉の安全性確認方法はどのようになっているのですか?

MOX燃料を装荷した場合でも、運転中の原子炉の安全を確認する方法はウラン燃料だけの場合と変わりません。

原子炉の中でMOX燃料やウラン燃料が設計されたとおりに安全に燃えているかなどの観点から、原子炉施設保安規定に基づいて、下記の3項目について定期的に測定し、制限値を満足していることを確認しています。

  • 最大となるペレットの出力と平均的なペレットの出力の比
  • 最大となる燃料棒の出力と平均的な燃料棒の出力の比
  • 1次冷却材中の臨界ほう素濃度

【参考】伊方3号機プルサーマル運転中の原子炉の安全性確認結果

伊方3号機では、2010年3月からの第13サイクルにおいてMOX燃料16体を初めて装荷して以降、安全にプルサーマル運転を実施しております。最初に装荷したMOX燃料16体は、第15サイクルの運転終了まで安全に使用し、問題なく使用を終了しております。

前回サイクルまでのMOX燃料装荷炉心の安全性確認結果についてはこちら

現在のプルサーマル運転中の安全性確認結果についてはこちら