防災計画

JCO臨界事故を教訓として新たに制定された原子力災害対策特別措置法(以下、「原災法」という。)(2000年6月16日施行)では、万一、原子力発電所等の事故(核燃料物質等の輸送中の事故を含む)により放射性物質が放出されるなどの異常な事態が発生した場合に備え、平常時からさまざまな対策を取ることが定められました。
これに基づき、当社は、原子力災害の発生を未然に防止するための対策、万一原子力災害が発生した場合の災害の拡大防止および復旧対策等について定めた「伊方発電所 原子力事業者防災業務計画」(以下、「防災業務計画」という。)を、2000年6月16日制定しました。
しかしながら、2011年3月11日に東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故における原子力災害が発生しました。この対応を踏まえ、2012年6月に原災法が改正されたことを受けて、当社の防災体制についても、万一原子力災害が発生した場合にも実効的で適切な対応が実施できるよう見直しを行いました。
以降、より実効性の高い原子力防災組織となるよう、検討を進め、必要に応じて防災業務計画の修正を行っています。
防災業務計画の要旨は以下のとおりです。

1.原子力災害予防対策

  • 原子力防災管理者を選任し、原子力防災組織を設置するなど、災害対策活動を行うために必要となる体制を整える。
  • 異常事態が発生した時の社外への通報先および通報要領を定める。
  • 災害対策活動に従事する要員の動員計画を定める。
  • 災害対策活動で使用する施設(緊急時対策所、原子力事業所災害対策支援拠点、原子力施設事態即応センター等)および資機材(放射線測定設備、原子力防災資機材、非常用通信機器、TV会議システム等)を整備する。
  • 社内の防災訓練および防災教育を実施する。訓練の実施にあたっては、計画、実施、評価、改善のプロセスを適切に実施する。また、国または地方公共団体が主催する訓練に参加する。
  • 周辺住民に対する平常時の広報活動を実施する。

2.非常準備体制発令時の措置

非常準備体制発令時の措置

  • 敷地境界付近の放射線量率が0.15マイクロシーベルト/時を超えたとき
  • 蒸気発生器へ給水可能なポンプが残り1台となったとき
  • 愛媛県において、震度6弱以上の地震が発生したとき
  • 愛媛県において、大津波警報が発令されたとき等
  • 事象を確認後15分以内を目途に関係機関へ通報する。
  • 原子力防災管理者が非常準備体制を発令する。
  • 情報の収集と提供を行う。
  • 応急対策のために、災害対策総本部(災害対策本部(高松)および災害対策本部(松山)で構成)、伊方発電所災害対策本部、東京支社災害対策本部を設置する。
  • 発電所周辺の放射線量を測定する。

第1種非常体制発令時の措置

  • 非常用炉心冷却装置が作動したとき
  • 蒸気発生器へ給水するポンプがすべて喪失したとき
  • 使用済燃料等の事業所外運搬中、輸送容器表面から1m離れた場所の放射線量率が100マイクロシーベルト/時以上となったとき等
  • 事象を確認後15分以内を目途に関係機関へ通報する。
  • 原子力防災管理者が第1種非常体制を発令する。
  • 各災害対策本部において、必要な応急対策、事故の分析評価、事故の拡大防止ならびに放射線の影響評価を行う。

第2種非常体制発令時の措置

  • 敷地境界の放射線量率が10分間以上継続して5マイクロシーベルト/時以上となったとき
  • 原子炉が停止不能になったとき
  • 使用済燃料等の事業所外運搬中、輸送容器表面から1m離れた場所の放射線量率が10ミリシーベルト/時以上となったとき等
  • 事象を確認後15分以内を目途に関係機関へ通報する。
  • 原子力防災管理者が第2種非常体制を発令する。
  • 「原子力災害合同対策協議会」へ代表者を派遣する。
  • 発電所周辺の放射線量を測定する要員等をオフサイトセンターへ派遣する。
  • 上記、第1種非常体制発令時の措置<3.>を継続して行う。

3.原子力災害事後対策

  • 復旧計画の策定および速やかな復旧対策を行う。
  • 被災者の損害賠償請求等のための相談窓口を設置する。

4.その他

  • 他の原子力事業所で原子力災害が発生した場合は、要員の派遣および資機材の提供その他必要な協力を行う。
  • 原子力災害対策の支援を行う原子力緊急事態支援組織を他の原子力事業者と共同で整備し、必要な場合は協力を要請する。